駒沢公園で井上ひさしと濃厚接触

今日は死ぬのにいい日だ、と云ったインディアンの本を読んだこともあるが、きのうは駒沢公園に行くのにいい日だった。
午前中、サンチと散歩がてら動物病院にフイラリアの薬を取りに行って、一日の歩行限界に近づいたので、公園の入り口までバスを使った。
どうなってるだろう、わくわくしながら行ってみると、おお、良い塩梅に色づき始めた「いつもの木」、今年も会えて良かった。
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ぶらぶらと公園に久闊を叙しながら、コロナ以来になるカフェに行ってみると休み、それではと、新しくできて気になっていた「コメダ珈琲」にいく。
天上の高いゆったりした空間、窓際4人席に座って、コーヒーと「豆菓子」を注文。
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持って行った、井上ひさし「小説をめぐって」を開くときの幸せな気分!
すると、それを妨げるかのような、得も言われぬあのニオイ、隣の席との間には衝立もあり距離も取ってあるのに、ニオイってやつは漂ってくるのだなあ。
衝立を挟んで背中合わせの、パソコンに夢中の女性、知らん顔して、美人に見えた(後姿は)のに油断ならないなあ。
いくら出物腫物ったって。
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まず、豆でも食いながら、と袋を開くと、、おお、あの匂いではないか。
サービスでついてくる小さな袋も同じ豆菓子、あれを開くとこの匂いが漂うようだ。
沢庵をいれた弁当を教室のストーブで温めていると、、教室中にあの匂いが立ち込めて、みんなで大笑いしたことを思い出した。
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(動物病院の前で、きょうは治療じゃないのに、逃げたくて逃げたくて)
井上ワールドは僕のワンダーランドだ。
妙なるニオイのことも忘れて、次々に現れるアトラクションや仕掛けの妙に夢中になった。
戯曲と詩とは血を濃く通わせ合った兄弟分である。戯曲の、台詞や物語の構造の、そのまた下の基底部に、詩というものが溢れ返って渦を巻いていないと、いい戯曲は絶対に生まれない。

冒頭に提出される突飛な謎、練達の会話、構成の妙、―そんなものが「文学」に何の役に立つか、と言われる方もあるだろう。だがいかなる文学もはじめは「物語」だったのだ。

けれども吉村昭さんは、努力を正当に評価されない人間の悲しみをよく知っていた。わたしたち読者は、紙の上だけであっても、こういう人間の悲しさを正しく評価してくれている作家のいることを知って喜ぶのだ。

前まえから藤沢周平さんの小説が好きでした。おさえた筆でさり気なく書きこまれた江戸市民の日常生活、彼等を見舞う小さな運命の波、その運命とけなげにたたかう人びと。どこへも行くあてのない雨の午後、ピーナツと番茶を友として藤沢小説を読みすすむと、まるで自分が江戸庶民のひとりになったような、豊かでしみじみとした錯覚におちいることができます。
あちこちで待ち構えている言葉に頷きながら読みすすむ。
藤沢周平については弔辞も含めておおくの文章が載せられていて、井上・藤沢のどちらにも会ったことはないが、三人の仲間になったような気分を味わえる。
藤沢の小説を読むときは、地図を作りながら読むという井上が作った「海坂藩御城下絵図」が挿入されている。
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(薬をもらって病院から帰る、一刻も早く遠ざかりたいと僕を引っぱる)
よい小説とは、テーマの重さとフットワークの軽さとの同時的成立という逆説を必ず含みこんでいるものなのである。

こうして谷川(俊太郎)の、平仮名による仕事の数々は、例外なく読者を日本語の成り立っている大もとのところへ連れて行く。だから日本語の教科書としてこれ以上のものはないのだ。

その小説家が、その小説のために、どんな言葉を選んだか、そしてその言葉をどのように使っているか。この二つの関所で、あらゆる小説は厳しく篩にかけられるのです。豊かな細部も、立派な構造も、そして実験性も、すべてこのニ点を満足させてからの話、どんな作品も、まず、この関所を通らなければなりません。ここで満点を取らない限り、その作品は「いい小説」にならないのです。

2008年夏からの世界の大変動に揉まれながら右往左往していると、こんなときに米原万里さんならなんと言っただろう。どんなことを書いてくれただろうと、ついムリなことを考えてしまいます。もっと長く生きてもっと書いて喋ってもらいたかった。
万里さんが亡くなってもう14年、その万里さんを惜しんだ井上もその2010年に亡くなっている。
万里さんに贈った言葉をそのままひさしさんにも贈りたい。

3時間近く座って、お尻がいたくなったころ読み終えた。
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(東京新聞・30日朝刊)

いうことの全てがメチャクチャ、出来の悪い高校生でもこんなに脈絡のない言葉を吐きちらしたりしないだろう。
さすがのNHKもこのところ日本学術会議問題ではかなりきびしくスガの言動を批判している。
それでも、どこかでスガ応援団の学者も、と引っ張り出されたのが、なんと日本会議のデマゴーグ・百地章、なんの根拠も示さずに「総理が任命拒否したことは妥当」と言い切り、政治の人事介入が学問の自由を侵害するなんてナンセンスだという。
その理由はと、いやらしい笑いを浮かべていったのが「学術会議にいなくても学問はできるでしょ」、開いた口が塞がらないたあ、このこと。
こういうのを擁護者代表として引っ張り出さざるを得ないところに、すでにスガの言い分が論理もなんもないタワゴトであることが証明されてしまった。
集団的自衛権の法制化のときも、この広い日本で、それを合憲だという学者をスガが(やっと)三人あげたなかの一人がこの人だった。
Commented by rinrin1345 at 2020-10-30 18:27
藤沢周平も井上ひさしも好きです。どちらも山形出身では?端っこを読んでいるだけですけど
Commented by saheizi-inokori at 2020-10-30 18:52
> rinrin1345さん、そうです、山形。
丸谷才一もそうだったかな。
Commented by at 2020-10-30 18:58 x
Shaheiziさん、分かりやすく証明してくださって、さすがです。納得がいきます。政治家の我儘は恥ずかしい。
Commented by りんご at 2020-10-30 19:37 x
「さすがのNHKも。。。 どこかでスガ応援団」

思わずこう読みましたわ どいつもこいつもですね 
通信(Media)と食料を乗っ取られたら国は終焉と学びました
米原万里さん I miss you ~⋆
 

Commented at 2020-10-30 21:21
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2020-10-30 21:38
> 竹さん、秘密国会ではないから世界中の人が見ている国会も恥ずかしいですね。
Commented by saheizi-inokori at 2020-10-30 21:43
> りんごさん、ツイートにはNHKが相変わらず恥知らずな政権擁護をしたと見ている人が多いですね。
私は今回はかなり批判的な意見を時間をとって披露していたように思いました。
Commented by saheizi-inokori at 2020-10-30 21:50
> 鍵コメさん、ご心配がいかばかりか!
私も今似たような状況ですから、また経験もしてきましたからお察し申し上げます。
でもあっという間に笑顔で戻ってこられますよ。
ご自身が体を大事に深呼吸でお過ごしください。
Commented by jyon-non at 2020-10-31 08:20
この国の政治に救いはあるでしょうか。
Commented by noboru-xp at 2020-10-31 08:33
両論併記で中立性を保っているという欺瞞は止めてほしいですね。
Commented by j-garden-hirasato at 2020-10-31 09:14
味はともかく、迷惑な豆菓子です。
みんなお隣さんを、
そういう目で見ているんですねえ。
Commented by saheizi-inokori at 2020-10-31 10:12
> jyon-nonさん、与党には絶望しています。
自浄なんて望むべくもないですね。
野党も、、ああ!
Commented by saheizi-inokori at 2020-10-31 10:14
> noboru-xpさん、ことは言論・報道・表現の自由にもかかわってくるのですものね。
NHKも目覚めてほしいです。
Commented by saheizi-inokori at 2020-10-31 10:19
> j-garden-hirasatoさん、サービスでみんなについてくるので、あちこちにニオウのでした^^。
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by saheizi-inokori | 2020-10-30 12:17 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(14)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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