志ん生vs米朝、深夜の噺くらべ
2020年 09月 18日
ゆうべは2時前に目が覚めて、米朝(「こぶ弁慶」「子ほめ」)、志ん生(NHK名人寄席「たいこ腹」「甲府い」)を聴いても朝までほとんど眠れなかった。
米朝の上方弁は聞き取りやすいほうだが、就眠用に音を低くしていると、分からないことがある。
ふだんは、それが曖昧境地に誘い込んで眠らせてくれるのだが、眠れないときは聞き取ろうとして目がさえてしまう。
「こぶ弁慶」の清八喜六の珍道中のギャグの半分くらいは聞き逃す。
いま、米朝全集の速記録を見て補完してみると、あゝ、この辺はうつらうつらしていたんだ、とわかることもあり、少しは寝ていたようだ。
百姓家のおかみさんが、旅館の手伝いに来るのだが、そのありようは
平生は野良へ出て働いてるさかい、顔の色は陽に焼けてまっくろけ。それでも宿屋へくるときだけは、それへさして三文がんほどこの白粉を塗りまんねんけどな。あれもこの襟筋からきれいに塗り上げるとよろしいが、これだけが顔でございと、この縁取ったりするさかい、なんや面かぶったような。鼻のあたまばっかりポンポンポンポン叩くさかいに、石灰蔵から出てきたイタチみたいな顔して。このへんだけはむやみにこう白なって、でその口へちょっと紅をさしますがな、あの紅というやつも下唇へうすうにちょっとこうさすと可愛らしいもんですが、上下大きな丹前の袖口みたいな分の厚いやつへ、ごってりと塗りつけるもんやさかい、人喰うて来た狼みたいな、涎をくると紅がダラダラ流れて、ざんないことこの上なしですな。鼻は奥へ遠慮してるかわりに、でぼちんはズーッとせり出してます。こんな調子で、手足やお尻などの描写となったら、ここに写すのが憚られるほどだ。
あまりの誇張というか、奇想天外な喩えがききとれないのかもしれない。
丹前の袖口みたいな口、石灰蔵からでてきたイタチ、まあ、よういうわ。
「ざんない」、わかりまっか。
宿で団体客と一緒になって盛り上がり、余興に嫌いな物のいいっこ(饅頭怖い?)から好きな物を言いっこしたら、「壁土が好き」と言ってみんなの前でむしゃむしゃ食ってみせた男がいた。
その男の右の肩からコブが盛り上がり、やがて武蔵坊弁慶になる。
男が喰った壁に塗りこめられていた弁慶なのだ。
その弁慶と旅をする男の身にもなってみろ、いくらこっちは東京だとてゆっくり寝てるわけにもまいるまい。
落ちは『夜のコブは見逃せん』、僕はこの言葉よう知らなんだ。
豆腐が好き、納豆が好き、僕と一緒だ。
豆腐をごはんとかき混ぜて醤油をかけて食べる、僕はおでんの残りでやるけど普段はやらない。
納豆もごはんと混ぜて食べて、食べ終わった茶碗のぬるぬるにかまわず酒をついで飲んだという。
文楽(8代目)も納豆が好きだったが、食べ終わると、その茶碗を弟子が熱湯できれいにしてお茶をついで飲んだ由。
「たいこ腹」、若旦那がイヤらしくてあまり好きな噺ではないが、志ん生のは笑いが主でイヤミがない。
「甲府い」、豆腐屋夫婦と善吉のほのぼのした造型があたたかな湯豆腐の湯気を思わせる。
彼はかねてから、少しでも気に入らないツイートをすぐにブロックすることで知られている。
だから、木村氏が言う通り、ある種河野に批判的な人たちには「110番」の設置は伝わらないだろう。
しかも、110番に投稿する人は、氏名住所にメールアドレスを記入することを求められる。
そもそも、SNSに疎い人たちも行政の縦割りに泣かされていることだって考えられるだろうに。
せっかくやるなら、ちゃんと役所のHPを使うべきだし(このままだと公私混同)、郵送の道も閉ざすべきではない。
●河野氏はツイッターに「無駄な規制、仕事を妨げている規制、役所の縦割りで困っていることなど情報をお送りください」と投稿
— 木村知 (@kimuratomo) September 17, 2020
これはブロックされてる人には届かない。自分の気に入らない国民は行政サービスから排除。国務大臣としてあまりに不適切、いや不適格だ#河野太郎https://t.co/ItwRQeOiCm
なんて書いても無駄かもしれない。
菅が継承したアベ内閣の規制改革担当大臣のこの体たらくを見れば、河野もまたホラをふいているだけかもしれない。
このホラ発言の北村大臣は、菅総理が内閣の最重要分野と唱える規制改革の最高責任者だった。
— 小西ひろゆき (参議院議員) (@konishihiroyuki) September 17, 2020
意味分かりますか?
北村大臣は安倍内閣の「規制改革 特命担当大臣」でもあったのです!
今さら、「縦割り110番」とかやっていることが如何に国民を馬鹿にしたことであるか気付いて頂きたい。 https://t.co/E308Mhf0MM
北村という人は正直なほら吹きだ。
きのうも書いた「アベ院政」を名実ともに進行させようという動きが顕著だ。
アベ神話でも作ろうというのか!?
— 佐平次 (@saheiziinokori) September 18, 2020
https://t.co/RsLr7SLQOg
モーニングショーでは「外交において菅を助けるためにアベの出番はある」がごとき田崎らの発言も。
「どてら」を耳で聞いてイメージできる人は、60代以上でしょうか。
「ざんない」懐かしい言葉です。
酷い、悲惨な、どうしようもない、みたいな雰囲気の言葉ですが、
日常的には、謙遜の意味で、「ざんない物」「ざんない事」
と、話されていたような記憶があります。
もう、使う人のいない言葉かもしれません。
最近「残念な人」とか言いますが、ちょっと近いかもしれません。
ざんない政府やなぁ〜とか?
私もこの落語以前に聞き覚えがあるような感じもします。わかりました、ま、文脈からもね。
東京の悪罵悪口より、表現が豊か、文学的、江戸っ子は敵わないな。
悪はいつか滅びると言うけれど、この歳では滅びる姿を見ることは無さそうです。
「酢豆腐」とは違い、かき混ぜて粘りを出した後に酢を加えてかき混ぜるのですが、好きです。
杉良太郎さんとの関係を誇らしそうにかたっていました。
「東京かわら版」の杉良さんの志ん駒追悼文は今でも胸に残っています。
役者と落語家という立場を超えたリスペクトを感じました。