みんなのほんたうのさひはひをさがしに

土曜日、今週も大掃除、大掃除というのは、毎日やっている洗面所とトイレに風呂場掃除、あとはルンバと一緒のちょこっと掃除ではなくて、仏壇をきれいにして家じゅうの棚などにハタキをかけて、タンスやソファの下のホコリを取り、玄関やトイレの床磨きとダイソンの掃除機をかけて、最後に床拭き(モップで)をするのだ。
その前にサンチの散歩をして、その合間に洗濯をする。
いぜんは、一挙に二回目で大物を洗っていたが、さいきんはベッドを動かしたり干すのがしんどくなって、疲れの分散を図って日曜日か月曜日にやるようにした。
だいたい6時前から動き出して、9時過ぎまで汗をかく。
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(きのうの自由が丘駅前)

昔はこんなにいろいろやらなかった。
休日に自分のストレス解消のために掃除や料理を(毎週というのではなく)やりだしたのが、40代前半だったか、すぐに単身赴任になって、出来なくなった。
隠居してから、少しずつやることが増えて、もう限界かもしれない。
見えるところだけ、引き出しの整理などには手が回らない。
小学校は自分の机が決まっていて、引き出しにごちゃごちゃ入れたままで家に帰った。
汚い引き出しの代表が僕だった。

掃除や整理整頓は大嫌いなのだが、掃除や整理整頓した場所は好きである。
好きなら自分でやれるだけやった方がいい、ということだ。
亡妻の手伝いをしてやれなかった、お詫びみたいな気持ちも(少し)ある。
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「サガレン」の一番大事なところを書いておく。
図書館に返さなくてはならないから。
賢治に「手紙」という小品が4篇あって、その「手紙 四」のなかの文章。
チュンセとポーセは兄妹、妹のポーセが死んでいく時に、兄チュンセが雨雪をとってきてたべさせるところは、賢治と妹・トシの永訣の朝と同じだ。
「どなたか、ポーセがほんたうにどうなったか、知ってゐるかたはありませんか。チュンセがさっぱりごはんもたべないで毎日考えへてばかりゐるのです」という手紙を、印刷してみんなに配るように頼まれたというのが、冒頭。
その手紙を言いつけたひとの言葉。
チュンセはポーセをたづねることはむだだ。なぜならどんなこどもでも、またはたけではたらいてゐるひとでも、汽車の中で苹菓(りんご)をたべてゐるひとでも、また歌ふ鳥や歌はない鳥、青や黒やのあらゆる魚、あらゆるけもの、あらゆる虫も、みんな、みんな、むかしからのおたがゐのきゃうだいなのだから。チュンセがもしもポーセをほんたうにかあいそうにおもふなら大きな勇気を出してすべてのいきもののほんたうの幸福をさがさなければいけない。それはナムサダルマプフンダリカサスートラといふものである。チュンセがもし勇気のあるほんたうの男の子ならなぜまっしぐらにそれに向かって進まないか。
ナムサダルマプフンダリカサスートラ、とは南無妙法蓮華経の梵語読み。
そして本書の掉尾は
「大きな勇気を出してすべてのいきもののほんたうの幸福をさがさなければいけない」という言葉。これは「宗谷挽歌」(僕注、賢治がトシの魂を求めたサハリン旅行で書いた詩・「春と修羅」の一編)の「みんなのほんたうの幸福を求めてなら/私たちはこのまゝこのまっくらな/海に封ぜられても悔いてはいけない」という部分を思い起こさせ、さらに、このあと書かれることになる『銀河鉄道の夜』の、「僕もうあんな大きな暗(やみ)の中だってこはくない。きっとみんなのほんたうのさひはひをさがしに行く。どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行かう。」というジョバンニの言葉につながっていく。
賢治が書いた詩だけを頼りに、彼の足跡を追いかけて私はサハリンを旅した。その途中から、賢治は自分の魂の一部をこの島に残していて、深く問いかければきっと答えてくれると思うようになった。そして、旅を終えたいま、以前よりもずっと、賢治を近しい存在に感じている。
サハリンに行ったこともなく、賢治の良い読者でもない僕もサハリンと賢治を近しい存在に感じるようになった。

Commented by tsunojirushi at 2020-09-12 16:26
それは…
私が年末にや(ったりやらなかったりす)る掃除です……。
Commented by Solar18 at 2020-09-12 16:42
えええ?毎日、お掃除をなさり、週末にはそれほどの大掃除をなさるのですか?最初の文を見習って、今日から始めます(って自分に言い聞かせます)。
Commented by rinrin1345 at 2020-09-12 21:59
みんなの本当のさいわい。心から願ってなんとかそれを他の人に伝えようとした賢治の生き方、少しでも理解して学びたいと思いますが、気持ちだけで終わりそうです
Commented by saheizi-inokori at 2020-09-12 22:11
> tsunojirushiさん、子供の頃の大掃除は、畳を外に干してバンバン叩き、障子紙を張り替えて、窓ガラスを弟と両側から拭いて、こたつの灰を作って、押し入れのネズミの巣に大騒ぎするのをいうのです。
Commented by saheizi-inokori at 2020-09-12 22:14
> Solar18さん、そして今ようやく台所の流しとレンジ磨きを終えました。
Commented by saheizi-inokori at 2020-09-12 22:15
> rinrin1345さん、ひとりでもそういう気持ちになる人が増えることが賢治の望みでしたろう。
Commented by tsunojirushi at 2020-09-12 22:18
宮沢賢治の願いは、
ジョン・レノンに通じているように思います。
Commented by りんご at 2020-09-12 22:38 x
あんな大きな暗やみの中だってこはくない。きっとみんなの
ほんたうのさひはひをさがしに行く=  
友のクーヘンを食べ乍ら話をした時 ひび佳き人になって 
なって終わりたいと言ってたなと思って読みました
Commented by saheizi-inokori at 2020-09-12 23:37
> tsunojirushiさん、書いてみたら、私にも考え付く願いですが、それをこころのそこから、むしろ自身の救いとして願っていることが、とても及びもつきません。
Commented by saheizi-inokori at 2020-09-12 23:39
> りんごさん、自分として、相対的によくなっていくこと。
たとえそれでも悪人でも!
Commented by ikuohasegawa at 2020-09-13 05:41
「サガレン」を読んでから、賢治の作品をもう一度、読むべきですね。せめて『春と修羅』『銀河鉄道の夜』
Commented by j-garden-hirasato at 2020-09-13 06:57
家事をしっかりやるだけでも、
かなりの運動になります。
健康管理、ちゃんとできていますね。
Commented by saheizi-inokori at 2020-09-13 08:52
> ikuohasegawaさん、そう思いました。読む本が多いなあ。
Commented by saheizi-inokori at 2020-09-13 08:53
> j-garden-hirasatoさん、私の体力では疲労の領域です。
Commented by unburro at 2020-09-13 10:14
おはようございます。

最近の流行り歌を聞かれることが少ない世代の
方々は、ご存知ないかもしれませんが
当代随一の吟遊詩人である、米津玄師は、
自分の歌を作るにあたって、一番影響を受けたのは
宮沢賢治の『春と修羅』だ、と何処かで語っていました。
暗記するほど読んだ、とか。

賢治の魂は、若い詩人に受け継がれ、形を変えて、
今も生きているのだと、思います。

私も、今、読み直しています。
岩手、花巻へ行きたいなぁ、と思いながら…
この、「サガレン」も読みたいです!
いつも、鋭い本のご紹介ありがとうございます。
Commented by saheizi-inokori at 2020-09-13 11:31
> unburroさん、米津元帥じゃなかったか、読み方も知らないですが、歌は聞いたことがあります。
こんど真面目に聞いてみますね、玄師さん。
Commented by okanouegurasi at 2020-09-14 02:52
なんか私も掃除をよくするようになりました。影響力大!
賢治も...サハリンは遠すぎるけれど。↓の記事。日本の政治家の顔は飲み食いと金の勘定だけしているのか、汚らしいかのっぺらぼう。もうひとつ↓の、サンチが可愛い。歳とらないのですね!
Commented by saheizi-inokori at 2020-09-14 07:14
> okanouegurasiさん、いやいや、年はとりました。私ととともに。
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by saheizi-inokori | 2020-09-12 11:46 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(18)

ホン、映画・寄席・芝居、食べ物、旅、悲憤慷慨、よしなしごと・・


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