彼らが戦争を二年縮めた 「二世兵士激戦の記録 日系アメリカ人の第二次大戦」
2020年 08月 20日
けさの雲助の「私の東京物語」(東京新聞)は、志ん生の家(馬生の家の裏)に、馬生に連れていかれたときのこと。
馬生の家に比べれば立派な家の居間の炬燵に当たってテレビを見ていた、大師匠は、師匠が「今度家に来た駒七だから」といっても、「ちらりとあたしを見たばかりで何も言わずにすぐにテレビに向き直りました。まあ、天下の大師匠だから見習いなぞに声もかける気はしないのでしょうがそれにしても愛想のないことで」と書いている。 息子(馬生)の弟子で隣に住んでいるとなると、いまさら他人行儀の挨拶は無用、いま(テレビ)面白いところなんだから、と言ったところかも。
文楽のところに何人かの弟子と紹介されたときは「いよっ、ひとつ貧乏を教えやしょうか」と言ったそうだ。
志ん輔のブログ「古今亭志ん輔日々是凡日」を読んでいる。
志ん生の次男の志ん朝の弟子だから、雲助(70)とは従兄弟同士になる、志ん輔(66)の方がちょっと若い。
まいにちやったことや食べたものなどが淡々と書いてあって、そこに噺家の気だてや暮らしぶり(仲のいい家族)などが覗われて興味深いのだが、芸にいそしむ姿もさらりと記される。
きのうの記録に
カラオケで稽古をするのだ。
師匠(志ん朝)や大師匠(志ん生)の墓参りも欠かさない。
二人の年には、僕は隠居を決め込んで無為にすごしていたことを思うと、エライもんだ。
1930年、米合衆国の日本人移民は13万8834名だった。
とくに日米開戦時、ハワイには全人口のおよそ4割、15万8千人にも達した。
多くの人が勤勉だったが貧しく、帰化法(帰化できるのは白人のみ、改正後アフリカ系の黒人に拡大)によって、帰化もできず、職業や住居、結婚などで差別を受けた。
稼いだ金を日本に送金し、仲間うちで固まるなど米国文化に同化しようとしない、さらに勤勉なるがゆえに、自作農や商店主、事業家と出世していくと白人社会を脅かす「競争者」として憎悪の対象となる。
そんな背景のもと、真珠湾攻撃で日米戦争が勃発すると、アメリカ本土では不当にも日系移民を強制収容所に移住させる。
そんな日系移民が、欧州戦線におけるアメリカの兵力不足をうけて日系兵1200余のみ(将官は白人)の第100大隊として組織され第442連隊に配属、イタリアのモンテカッシーノの戦い、アンツォの戦いという激戦を戦い、休む間もなく、フランス、ビフォンテテーヌの森(黒い森)の悪夢のような過酷な戦いで、ドイツ軍に包囲されたテキサス師団の「失われた大隊」を救出する。
アラモの戦い以来続く米陸軍最古参の由緒正しい部隊を救えという上院議員のルーズベルト大統領への直訴もあり、大統領の指示もあって、イタリア戦線以来武勲を上げ続ける日系部隊は、捨て石のごとく前線に送り込まれる。
圧倒的に不利な状況のなかで彼らは米兵の救出に成功する。
211名のテキサス兵を救うのに、800名もの二世兵が死傷した。
その描写は凄絶だ。
米陸軍は今「史上最重要の10の戦い」のひとつに数えるという。
救出されたテキサス兵が山をおりていくのに、疲労困憊の日系部隊は逃走するドイツ軍を追撃を命じられ10日間戦う。
戦後、ホワイトハウスの芝生において、第442連隊の生き残り約500名をトルーマン大統領が「諸君は、敵ばかりでなく偏見とも戦った。そして、そのどちらにも勝ったのだ」とねぎらい、部隊にとっては七つ目の大統領部隊感状と特功大統領章を叙勲する。
二世兵は、最終的に勲章を18000個以上も獲得し、米陸軍史上最強の軍団と賞された。
マッカーサーが「陸軍史上、これほど敵を知り抜いた上で戦った戦争はない」といった陰には日系二世たちの貢献があった。
陸軍情報部の語学兵たちに日本語を教える核になったのが、彼らだ。
マッカーサーの情報参謀、チャールズ・ウイロビーは「日系兵は百万の米国人の命を救い、戦争を二年縮めた」といいトルーマンも「二世は我らが秘密兵器」と賞賛を惜しまない。
二世たちは日本語(方言を含む)の読解や、日本兵などに対する伝単(ビラ)の作成、プロパガンダ、暗号解読、スパイ活動などにも従事して成果をあげた。
葉隠れ精神など明治の日本人の「美徳」をそのまま体現していた人が二世には多かった。
戦後もミズーリ号船上の交渉における通訳、東京裁判の通訳、GHQの内部などで二世ならではの活躍が、つまるところ日本の復興にも貢献した。
二つの祖国をもつ移民二世の苦悩についても、触れられている。
戦闘の様子なども詳しい。
彼らがアメリカのために戦ってくれて、バカな戦争を二年縮めてくれた。
それだけ日本人もバカな死に方をしないで済んだのだ。
馬生の家に比べれば立派な家の居間の炬燵に当たってテレビを見ていた、大師匠は、師匠が「今度家に来た駒七だから」といっても、「ちらりとあたしを見たばかりで何も言わずにすぐにテレビに向き直りました。まあ、天下の大師匠だから見習いなぞに声もかける気はしないのでしょうがそれにしても愛想のないことで」と書いている。
文楽のところに何人かの弟子と紹介されたときは「いよっ、ひとつ貧乏を教えやしょうか」と言ったそうだ。
志ん輔のブログ「古今亭志ん輔日々是凡日」を読んでいる。
志ん生の次男の志ん朝の弟子だから、雲助(70)とは従兄弟同士になる、志ん輔(66)の方がちょっと若い。
まいにちやったことや食べたものなどが淡々と書いてあって、そこに噺家の気だてや暮らしぶり(仲のいい家族)などが覗われて興味深いのだが、芸にいそしむ姿もさらりと記される。
きのうの記録に
18時10分「粗忽長屋」をもう1度。段々自信がなくなって来た。欲張り過ぎているかも。とある。
カラオケで稽古をするのだ。
師匠(志ん朝)や大師匠(志ん生)の墓参りも欠かさない。
二人の年には、僕は隠居を決め込んで無為にすごしていたことを思うと、エライもんだ。
とくに日米開戦時、ハワイには全人口のおよそ4割、15万8千人にも達した。
多くの人が勤勉だったが貧しく、帰化法(帰化できるのは白人のみ、改正後アフリカ系の黒人に拡大)によって、帰化もできず、職業や住居、結婚などで差別を受けた。
稼いだ金を日本に送金し、仲間うちで固まるなど米国文化に同化しようとしない、さらに勤勉なるがゆえに、自作農や商店主、事業家と出世していくと白人社会を脅かす「競争者」として憎悪の対象となる。
そんな背景のもと、真珠湾攻撃で日米戦争が勃発すると、アメリカ本土では不当にも日系移民を強制収容所に移住させる。
そんな日系移民が、欧州戦線におけるアメリカの兵力不足をうけて日系兵1200余のみ(将官は白人)の第100大隊として組織され第442連隊に配属、イタリアのモンテカッシーノの戦い、アンツォの戦いという激戦を戦い、休む間もなく、フランス、ビフォンテテーヌの森(黒い森)の悪夢のような過酷な戦いで、ドイツ軍に包囲されたテキサス師団の「失われた大隊」を救出する。
アラモの戦い以来続く米陸軍最古参の由緒正しい部隊を救えという上院議員のルーズベルト大統領への直訴もあり、大統領の指示もあって、イタリア戦線以来武勲を上げ続ける日系部隊は、捨て石のごとく前線に送り込まれる。
圧倒的に不利な状況のなかで彼らは米兵の救出に成功する。
211名のテキサス兵を救うのに、800名もの二世兵が死傷した。
その描写は凄絶だ。
米陸軍は今「史上最重要の10の戦い」のひとつに数えるという。
救出されたテキサス兵が山をおりていくのに、疲労困憊の日系部隊は逃走するドイツ軍を追撃を命じられ10日間戦う。
戦後、ホワイトハウスの芝生において、第442連隊の生き残り約500名をトルーマン大統領が「諸君は、敵ばかりでなく偏見とも戦った。そして、そのどちらにも勝ったのだ」とねぎらい、部隊にとっては七つ目の大統領部隊感状と特功大統領章を叙勲する。
二世兵は、最終的に勲章を18000個以上も獲得し、米陸軍史上最強の軍団と賞された。
陸軍情報部の語学兵たちに日本語を教える核になったのが、彼らだ。
マッカーサーの情報参謀、チャールズ・ウイロビーは「日系兵は百万の米国人の命を救い、戦争を二年縮めた」といいトルーマンも「二世は我らが秘密兵器」と賞賛を惜しまない。
二世たちは日本語(方言を含む)の読解や、日本兵などに対する伝単(ビラ)の作成、プロパガンダ、暗号解読、スパイ活動などにも従事して成果をあげた。
葉隠れ精神など明治の日本人の「美徳」をそのまま体現していた人が二世には多かった。
戦後もミズーリ号船上の交渉における通訳、東京裁判の通訳、GHQの内部などで二世ならではの活躍が、つまるところ日本の復興にも貢献した。
二つの祖国をもつ移民二世の苦悩についても、触れられている。
戦闘の様子なども詳しい。
彼らがアメリカのために戦ってくれて、バカな戦争を二年縮めてくれた。
それだけ日本人もバカな死に方をしないで済んだのだ。
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りんご
at 2020-08-20 15:31
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興味深い本のご紹介解説をありがとうございます
知らないことばかりを痛感です 本って素晴らしい
柳田由紀子氏のTwitterをみた「宿無し弘文
スティーブ・ジョブズの禅僧」も読んでみたくなり
知らないことばかりを痛感です 本って素晴らしい
柳田由紀子氏のTwitterをみた「宿無し弘文
スティーブ・ジョブズの禅僧」も読んでみたくなり
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saheizi-inokori at 2020-08-20 17:25
> りんごさん、この人は多彩な好奇心の持ち主らしくいろんなノンフィクションをものしてるようです。
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j-garden-hirasato at 2020-08-21 07:05
日系二世、辛かったでしょうね。
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saheizi-inokori at 2020-08-21 09:03
> j-garden-hirasatoさん、似たような辛さを在日朝鮮人や難民に与えているのではないかと思います。
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ikuohasegawa at 2020-08-21 17:08
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saheizi-inokori at 2020-08-22 05:44
> ikuohasegawaさんは、隠居といっても社会活動を旺盛にやっておられるら、すばらしいです。
by saheizi-inokori
| 2020-08-20 12:26
| 今週の1冊、又は2・3冊
|
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