次作に期待するか 「破局」(遠野遥)
2020年 08月 09日
往復の旅費も惜しかったのだ。
友人が、代わりに見舞いに行ってくれた。
大秀才だった友人は早くに亡くなった。
憎まれっ子僕はまだ生きている。
作者の遠野遥(遥)は、1991年生まれ、2019年の「改良」で文藝賞をとって、二作目の本作品がいきなり芥川賞の候補になり、そのまま受賞、受賞後の本人は「頭がついていない状況」といい、それはそれほど感動しているのかと思うと、文春のインタビューでは「嬉しいとか嬉しくないとか以前に、自分の感情を把握できていないところが、昔からあります」「嬉しいとは何ですか?と聞きたいような感じです」と言ってるから、ちょっと違うのだ。
慶応大学(とみられる)法学部4年生、公務員試験一本に絞ってちゃんと受験勉強をする、母校の高校ラグビーのコーチもして、なんとかして自分のとき達成した準決勝まで進めるチームにしたいとシゴいている。
筋トレに励み、自慰も日課、世の中の正義に忠実で、女性にはやさしくしろという父の言葉に従って女性の意に染まないセックスはしないが、セックスそのものは大好きだ。
子供の頃から同級生だった政治家志望の恋人にふられ、田舎からきた一年生と付き合いだす。
その子は料理が得意で初体験だったが、やがてニンフォマニアのようになる。
ハードボイルドのような淡々とした文体で、さいしょは主人公はテロリストなのかと思ったくらいだが、そこらにいそうな坊ちゃん大学生にすぎないようだ。
好きになれそうもないが、どこか僕にも似ているところがあるとも思う。
無知であった、というところか。
間違いなくやろう、と思っていたのに、自分が得意だと思ったものに足を救われてしまう。
黒いユーモアもある。
でも選者がこぞって受賞作に推して褒めている、それほどのものかと思う。
本人が「破局」は、代表作にはならないと手応えを述べる次作を読んでみようか。
昨夜は怖いほど降りました。
遠野遥のようにすんなりと芥川賞に選ばれる人もいれば、毎回のように候補になりながらかなり経って賞を貰う人もいる。
>嬉しいとか嬉しくないとか以前に、自分の感情を把握できていないところが、昔からあります」「嬉しいとは何ですか?と聞きたいような感じです
嬉しいって嬉しいことですよね。
偶然の受賞なのでしょうか?
選者の顔触れも若いですね。
川上弘美、平野啓一郎・・・・・
この国は、もう少しマシな国になっていたかもしれない!
しかし、
心身の健康のためには、官僚にならなくて良かったですね。
立秋過ぎて、本格的に夏らしくなってきましたね。
どうぞ、お身体に気をつけてお過ごし下さい。