ボルシチを食いたい
2020年 06月 21日
このところサンチの元気がすぐれない。
あんなにガツガツ食いしん坊だったのに、朝ご飯を食べない。
それでも好物のリンゴの薄片は食べるし、それで食欲をそそられるからか、ドッグフードのほうも昼頃にはなくなっているから、気候のせいかと思ったが、念のため医者に連れていって(カミさんが)血液検査をしてもらったら、とくに異常なし。
一週間ほど前には、以前にもあった足が攣ったような変な格好をしたので、僕が連れて行ったのだが、これは足腰が弱っているうえに、神経を圧迫されていることが解っている。
それなりの手当をしてもらって、夜は元気に食べていた。 (プレゼントのメロンに生ハムを巻いて食べたらうまいので、追加をこんどはそのまま、出してもらった。味は同じ)
今朝はカミさんの調子が悪い。
あれあれと、一人で卵を焼いたりトマトや青野菜を切ってヨーグルトとトーストで朝飯。
そしたら今度はパソコンが「ファイルシステムのエラー」、あれあれのあれあれだ。
それでもサンチは飯を食ったし、カミさんも朝より元気そうになって父プレを受け取ってくれたりしている。
パソコンもすぐに直した。
ガタピシガタピシ、なんとか動き続ける我が家車。
房総BQの場所は富津、黄金鯵なんて知らなかった。
房総BQをことしもやるのか、やれば行きたいのはやまやまだけれど、来月だと僕は勇気がでてこないかもしれない。
カミさんと僕と、どっちが倒れても二人とも致命的なダメジを受けるのは必至だから、なんとか生き延びなければならない。
映画を見に行きたいと思うが、大事をとって我慢している。
行政やメデイアの言うことが信用できないのだ。 きのう散歩しているときに、なぜか脳裏に去来したのは「ボルシチ」、夏なのにオカシイね。
大学に入って寮生活で貧乏暮らしをしていると、ときどき都内の叔父や伯母のところに行きたくなった。
ご機嫌伺などという殊勝なものでなく、栄養補給を兼ねて生活費を浮かすことが目的だ。
伯母の家でご相伴にあずかったのが「ボルシチ」。
聞いたことも見たこともない赤いスープに、牛肉や玉葱、ジャガイモ、ニンジンなどがごろごろ入っていて、サワークリームを入れたかどうかは忘れたが、うまいのなんの、何杯もお代わりした。
入学祝いとして、南浦園の回るテーブルで食べた、鯉のから揚げなどの出てくる中華料理や燃える前のホテルニュージャパンのレストランで食べたフランス料理、いずれもポット出の大学生を陶然とさせて、いかにも新世界に登場したような気分にならせてもらった。
しかし、うまかったということになると、伯母の家で食べたボルシチのほうが上だと思う。
それは、もしかしたらリラックスして食べたから、とかこういう(ロシアの)田舎料理が僕の好みだということかもしれない。
でも、料理の質として、伯母の作ってくれたボルシチが一流店の中華やフレンチに決して劣るどころか、おそらくその上をいくものだったのではないか、と今の僕は思う。
”高級”といっても、数をこなすレストランの食材や調理による料理が、家庭で、同じ値段で手に入る食材を使って念入りに作る料理に負けることは不思議でもなんでもない。
とくにボルシチのような、職人芸などとは無縁の料理においておや。 家庭を持って、会社の仕事のせいもあって、うつ病になりかかったころ、森田療法の本を読むことも有効だったが、料理と掃除をすることで、ストレスを発散することができた。
その教科書のひとつが、「檀流クッキング」だ。
上の写真の本は二代目、初代(産経版)は誰かにあげたかもしれない。
見ながら料理したからシミだらけのはずだ。
本書のメニューの半分くらいは挑戦してみた。
「ドジョウの丸鍋」「クラム・チャウダー」「からし蓮根」「大根もち」などが懐かしい。
ボルシチも本書に教わりながら作った。
ビーツを買ってきて酢漬けにする、真っ赤になるのが感動的だった。
牛スネを買えたかどうか、月桂樹やグローブなどの香料も求めて池袋西武の地下をうろついたことを覚えている。
ジャガイモは丸ごと、玉葱やトマトなども大きすぎるくらいに大きく切って、一握りの白米も投げ入れ、ニンジンの輪切りをいれて、「キャベツは一枚、一枚むしりいれて」、冷えた肉塊を筒切りにして投げ入れ、(なんでも投げ入れなのだ)、さいごにマッシュルームがなかったら、シメジでもエノキダケでもいいから投げ入れて、好みによっては湯通ししたベーコンを加えたらよいだろう、ベーコンは入れたかなあ、なんでも可能な限り檀さんの言うとおりにした。
小さじ○パイみたいな細かいことを一切言わない檀流は日曜クッキングにはとっつきやすかった。
暮らしの手帖とその別冊のいくつかや「四季の味」なども先生になってくれて、こっちのほうはもう少し細かなレシピだった。
檀流のアバウトなレシピで本を片手に作ってほとんど失敗しなかったのは、そこが檀流の優れたところなのか、そのころの僕には料理の才があったのか、それとも家族がやさしくてなんでも「うまいうまい」と言ってくれたのか。 子供たちが来る正月のお煮しめをさいごに料理らしいことをしなくなった。
あんなにガツガツ食いしん坊だったのに、朝ご飯を食べない。
それでも好物のリンゴの薄片は食べるし、それで食欲をそそられるからか、ドッグフードのほうも昼頃にはなくなっているから、気候のせいかと思ったが、念のため医者に連れていって(カミさんが)血液検査をしてもらったら、とくに異常なし。
一週間ほど前には、以前にもあった足が攣ったような変な格好をしたので、僕が連れて行ったのだが、これは足腰が弱っているうえに、神経を圧迫されていることが解っている。
それなりの手当をしてもらって、夜は元気に食べていた。
今朝はカミさんの調子が悪い。
あれあれと、一人で卵を焼いたりトマトや青野菜を切ってヨーグルトとトーストで朝飯。
そしたら今度はパソコンが「ファイルシステムのエラー」、あれあれのあれあれだ。
それでもサンチは飯を食ったし、カミさんも朝より元気そうになって父プレを受け取ってくれたりしている。
パソコンもすぐに直した。
ガタピシガタピシ、なんとか動き続ける我が家車。
房総BQをことしもやるのか、やれば行きたいのはやまやまだけれど、来月だと僕は勇気がでてこないかもしれない。
カミさんと僕と、どっちが倒れても二人とも致命的なダメジを受けるのは必至だから、なんとか生き延びなければならない。
映画を見に行きたいと思うが、大事をとって我慢している。
行政やメデイアの言うことが信用できないのだ。
大学に入って寮生活で貧乏暮らしをしていると、ときどき都内の叔父や伯母のところに行きたくなった。
ご機嫌伺などという殊勝なものでなく、栄養補給を兼ねて生活費を浮かすことが目的だ。
伯母の家でご相伴にあずかったのが「ボルシチ」。
聞いたことも見たこともない赤いスープに、牛肉や玉葱、ジャガイモ、ニンジンなどがごろごろ入っていて、サワークリームを入れたかどうかは忘れたが、うまいのなんの、何杯もお代わりした。
入学祝いとして、南浦園の回るテーブルで食べた、鯉のから揚げなどの出てくる中華料理や燃える前のホテルニュージャパンのレストランで食べたフランス料理、いずれもポット出の大学生を陶然とさせて、いかにも新世界に登場したような気分にならせてもらった。
しかし、うまかったということになると、伯母の家で食べたボルシチのほうが上だと思う。
それは、もしかしたらリラックスして食べたから、とかこういう(ロシアの)田舎料理が僕の好みだということかもしれない。
でも、料理の質として、伯母の作ってくれたボルシチが一流店の中華やフレンチに決して劣るどころか、おそらくその上をいくものだったのではないか、と今の僕は思う。
”高級”といっても、数をこなすレストランの食材や調理による料理が、家庭で、同じ値段で手に入る食材を使って念入りに作る料理に負けることは不思議でもなんでもない。
とくにボルシチのような、職人芸などとは無縁の料理においておや。
その教科書のひとつが、「檀流クッキング」だ。
上の写真の本は二代目、初代(産経版)は誰かにあげたかもしれない。
見ながら料理したからシミだらけのはずだ。
本書のメニューの半分くらいは挑戦してみた。
「ドジョウの丸鍋」「クラム・チャウダー」「からし蓮根」「大根もち」などが懐かしい。
ボルシチも本書に教わりながら作った。
私の知っているロシア人は、ボルシチをつくるのに実に鷹揚なものであって、台所のカマドの上にデカいアルミのバケツを乗せ、そのバケツの中でボルシチを煮込むわけである。これが書き出し、どの料理も書き出しがうまくて、作る気持ちにさせるのだ。
肉は牛肉の足一本を投げ入れるように見えたが、今考えてみると足一本分の牛スネであったわけだろう。
ビーツを買ってきて酢漬けにする、真っ赤になるのが感動的だった。
牛スネを買えたかどうか、月桂樹やグローブなどの香料も求めて池袋西武の地下をうろついたことを覚えている。
ジャガイモは丸ごと、玉葱やトマトなども大きすぎるくらいに大きく切って、一握りの白米も投げ入れ、ニンジンの輪切りをいれて、「キャベツは一枚、一枚むしりいれて」、冷えた肉塊を筒切りにして投げ入れ、(なんでも投げ入れなのだ)、さいごにマッシュルームがなかったら、シメジでもエノキダケでもいいから投げ入れて、好みによっては湯通ししたベーコンを加えたらよいだろう、ベーコンは入れたかなあ、なんでも可能な限り檀さんの言うとおりにした。
小さじ○パイみたいな細かいことを一切言わない檀流は日曜クッキングにはとっつきやすかった。
暮らしの手帖とその別冊のいくつかや「四季の味」なども先生になってくれて、こっちのほうはもう少し細かなレシピだった。
檀流のアバウトなレシピで本を片手に作ってほとんど失敗しなかったのは、そこが檀流の優れたところなのか、そのころの僕には料理の才があったのか、それとも家族がやさしくてなんでも「うまいうまい」と言ってくれたのか。
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jyariko-2 at 2020-06-21 14:15
ぜひ またsaheizi流クッキングをお願いします
〝ビタミンあい”たっぷりふりかけて
〝ビタミンあい”たっぷりふりかけて
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saheizi-inokori at 2020-06-21 14:55
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doremi730 at 2020-06-21 17:05
saheizi流ボルシチ、お相伴に預かりたいものです♪
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saheizi-inokori at 2020-06-21 18:05
> doremi730さん、うまかった、と思いますよ。
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rinrin1345 at 2020-06-21 18:11
久しく食べていないボルシチ、北上にトロイカと言う美味しいお店がありますがね、急に行きたくなりました。
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fusk-en25 at 2020-06-21 18:36
私もこの本の半分くらいは作りました。
大根もちもこの本で初めて知って。
その後。香港の大衆食堂で。点心のカートを押してくるおばさんに。
「ロウコウポ」と言うとさっと出してくれて。(ちょっと感激。笑)
でも団式の方がはるかに美味しかった。
大根もちもこの本で初めて知って。
その後。香港の大衆食堂で。点心のカートを押してくるおばさんに。
「ロウコウポ」と言うとさっと出してくれて。(ちょっと感激。笑)
でも団式の方がはるかに美味しかった。
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Deko
at 2020-06-21 19:41
x
サンチくん元気がないのですね。動物は口がきけないので飼い主が察知してあげなければですね。年齢にもよるのでしょうか。大型犬より小型犬のほうが病院に連れて行きやすいですね。あの時代にボルシチハイカラな叔母さまだったのですね。
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りんご
at 2020-06-21 20:31
x
どの料理も書き出しがうまくて,作る気持ちにさせるのだ=
それと私、料理に纏わる話にも惹かれます
石井好子の質素なパリ留学生活で描かれる、太葱の
白い部分のぶつ切りとジャガイモ片で作るアスパラ
のつもりスープ。若い頃に読んで今も作ったりします~
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saheizi-inokori at 2020-06-21 21:36
> rinrin1345さん、岩手県はロシア料理が似合うような気がします。
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urontei at 2020-06-21 21:38
〔檀流クッキング〕、僕も中公文庫版と、集英社が出したムック版と、二冊持ってます!
中身は同じなんですが、ムック版には実際に作った料理の写真が載っていて、それはそれで美味しそうなんですけど、あのアバウトな文章からあれこれ自分で想像しながら作るのが、また楽しいんですよね。
いま、寒暖差が意外とあったりしますから、サンチ、奥様ともども、どうぞご自愛くださいませ。
中身は同じなんですが、ムック版には実際に作った料理の写真が載っていて、それはそれで美味しそうなんですけど、あのアバウトな文章からあれこれ自分で想像しながら作るのが、また楽しいんですよね。
いま、寒暖差が意外とあったりしますから、サンチ、奥様ともども、どうぞご自愛くださいませ。
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saheizi-inokori at 2020-06-21 21:39
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saheizi-inokori at 2020-06-21 21:42
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saheizi-inokori at 2020-06-21 21:47
> りんごさん、パリの屋根の下オムレツの匂いが流れる、でしたっけ。
椎名誠の貧窮時代の来る日も来る日もモヤシ痛めみたいな時代、それを経験しない人は語るに足りません。
私は煮干しの大袋を買ってきて、ビールのつまみにしました。
椎名誠の貧窮時代の来る日も来る日もモヤシ痛めみたいな時代、それを経験しない人は語るに足りません。
私は煮干しの大袋を買ってきて、ビールのつまみにしました。
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saheizi-inokori at 2020-06-21 21:50
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福
at 2020-06-22 06:42
x
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j-garden-hirasato at 2020-06-22 07:05
サンチくん、どうしましたかね。
食欲が少し戻ってヨカッタです。
食欲が少し戻ってヨカッタです。
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よっしー
at 2020-06-22 07:36
x
檀さんが、こんな本出していたの知りませんでした。石神井公園のそばに住んでいたような。散歩でおうちの前を通ったことあります(笑)
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saheizi-inokori at 2020-06-22 08:11
> 福さん、ロゴスキーは横目で見て通りすぎていました。垣根が高い感じがしたのです。
世田谷に住むようになったら近所に支店がありました。
思いきって入ってみたのですが、ボルシチは頼みませんでした。
すぐに閉店して、けっきよくあの有名なボルシチは未体験のままです。
世田谷に住むようになったら近所に支店がありました。
思いきって入ってみたのですが、ボルシチは頼みませんでした。
すぐに閉店して、けっきよくあの有名なボルシチは未体験のままです。
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saheizi-inokori at 2020-06-22 08:12
> j-garden-hirasatoさん、老化でしょうね。
ちょっと早いけれど。
ちょっと早いけれど。
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saheizi-inokori at 2020-06-22 08:13
> よっしーさん、鍋をしょって世界を放浪したという作家、料理随筆は楽しいですよ。
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kimiyasuII at 2020-06-22 16:25
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saheizi-inokori at 2020-06-22 18:28
> kimiyasuIIさん、早速みました。
ますます食べたくなりました。
トマトがはいらないのですね。野菜を小さく切った方が子供はたべやすいかな。
アパートがソ連を舞台にしたミステリを思わせました。
ありがとう。
ますます食べたくなりました。
トマトがはいらないのですね。野菜を小さく切った方が子供はたべやすいかな。
アパートがソ連を舞台にしたミステリを思わせました。
ありがとう。
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Hana3131H at 2020-06-22 21:04
「ボルシチ」の初体験は加藤登紀子さんのお父さんがやっていた新宿にあったロシア料理のレストラン。それから渋谷の「ロゴスキー」も何度か行きました。ランチはリーズナブルで美味しかったですよ。今はあの場所にあるのかな?
壇 一雄、壇 太郎、そして壇 晴子、楽しい料理、そして生きることは生かされていることなんだと教えてくれた本、まだ持っています。
トイプードルはお腹が弱いですよね。気を遣う犬、ストレスもたまるのです。梅雨の天気もすっきりしませんが、saheizi さんもあまり気を遣いすぎないように、
壇 一雄、壇 太郎、そして壇 晴子、楽しい料理、そして生きることは生かされていることなんだと教えてくれた本、まだ持っています。
トイプードルはお腹が弱いですよね。気を遣う犬、ストレスもたまるのです。梅雨の天気もすっきりしませんが、saheizi さんもあまり気を遣いすぎないように、
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saheizi-inokori at 2020-06-23 07:20
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tona
at 2020-06-23 09:10
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あの頃ボルシチ、ホワイトシチュー、洋風料理をたくさん作りましたね。
今はボルシチだけは外食で。もうほとんど洋風料理は食べなくなって和食へ。まさかこんなになるとはあの頃は思わなかった。もっと食べておけばよかったなんて。
サンチ君も奥さんも心配ですね。早くよくなりますように。
今はボルシチだけは外食で。もうほとんど洋風料理は食べなくなって和食へ。まさかこんなになるとはあの頃は思わなかった。もっと食べておけばよかったなんて。
サンチ君も奥さんも心配ですね。早くよくなりますように。
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saheizi-inokori at 2020-06-23 10:00
by saheizi-inokori
| 2020-06-21 13:35
| 人生の御馳走帖
|
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