なぜタイの母親は息子が僧になると泣くのか 「タイの僧院にて」(青木保)
2020年 06月 17日
昭和51年に出版されて文庫になったときは定価380円、それをコロナの前に食パンを買いに行った店の近くの古本屋で100円で購ってきた。
「タイの僧院にて」(青木保)、まだ読み終わらないのは、難しいとか面白くないとかいうのじゃなくて、単に僕の読書持続力が枯渇してきたからにすぎない。
読みだせば、身近な話題からタイの仏教と文化の奥底が、「昭和二ケタ世代を代表する文字通り気鋭の文化人類学者」(解説・宮田登)であった筆者の瑞々しい感性で説きあかされて面白いのに。 タイの「一時僧」になる動機でいちばん多いのは、「両親の願いを叶えるため」で、筆者が同僚の一時僧に「どうして僧になったのだい」と尋ねると、きまって「お母さんのためさ」と答えたという。
一時僧になることが、なぜ母親孝行になるのか。
タン・ブンということがある。
ブンは徳、タンは得る、タン・ブンこそタイ人の信仰の一切を象徴することばであり行為であるという。
テラワーダ(小乗)仏教の救いは、僧になって、戒律を守り,瞑想を実行し、完璧な修行をすれば涅槃(ニッパン)に至ることが可能である。
しかし、生活のなかに「遊び」が構造化されているような享楽的な一般のタイ人にはそういうことはできない。
一般人にとってニッパン(涅槃)に相当するものはなにか?
それは「サワン」、地上の天国、現世的な欲望が満たされる楽園、うまい食べ物、美女美酒などの快楽の品々が苦も無く手に入るところだ。
それには、どうしたらよいのか?
個々の人が自分のカンマ(カールマ)を善いものにすること、そのためにはブン(徳)を積む以外にない。
カンマは、行いの一挙一動によって微妙に変化している。
タイの人々は心中深くブンとバーブ(不徳)の比率表をいつも用意していて、正確にその計算をしながら日常生活を送っているようだ。 そこで、徳を得る、タン・ブンとなる。
ブンの点数の高いことは?
誰でもあげるのが「僧になること」、次に新寺を建立する、寺に新しい建物を寄進すること、息子を僧にすること、、、飢えた隣人に食べさせることはそれらからみたら点数は低い。
女性は僧になれないから自分の代わりに息子を僧に差し出すことが最大のブンとなる。
息子が僧になって得たブンは母親にいく。
だから、「お母さんのために」僧になる、のだ。
筆者がタイの僧になった写真を母親に送ったら「変わり果てた姿に」泣いたそうだが、タイの母親は息子が一時僧になったときは、嬉し泣きをする。
母の日に何かをプレゼント、その時に「お母さんありがとう」と書き添える?
ちょっとお手軽にすぎないか。
母ではないが、僕は子どもたちが元気でいてくれるのが、いちばん嬉しい。
「タイの僧院にて」(青木保)、まだ読み終わらないのは、難しいとか面白くないとかいうのじゃなくて、単に僕の読書持続力が枯渇してきたからにすぎない。
読みだせば、身近な話題からタイの仏教と文化の奥底が、「昭和二ケタ世代を代表する文字通り気鋭の文化人類学者」(解説・宮田登)であった筆者の瑞々しい感性で説きあかされて面白いのに。
一時僧になることが、なぜ母親孝行になるのか。
タン・ブンということがある。
ブンは徳、タンは得る、タン・ブンこそタイ人の信仰の一切を象徴することばであり行為であるという。
テラワーダ(小乗)仏教の救いは、僧になって、戒律を守り,瞑想を実行し、完璧な修行をすれば涅槃(ニッパン)に至ることが可能である。
しかし、生活のなかに「遊び」が構造化されているような享楽的な一般のタイ人にはそういうことはできない。
一般人にとってニッパン(涅槃)に相当するものはなにか?
それは「サワン」、地上の天国、現世的な欲望が満たされる楽園、うまい食べ物、美女美酒などの快楽の品々が苦も無く手に入るところだ。
それには、どうしたらよいのか?
個々の人が自分のカンマ(カールマ)を善いものにすること、そのためにはブン(徳)を積む以外にない。
カンマは、行いの一挙一動によって微妙に変化している。
タイの人々は心中深くブンとバーブ(不徳)の比率表をいつも用意していて、正確にその計算をしながら日常生活を送っているようだ。
ブンの点数の高いことは?
誰でもあげるのが「僧になること」、次に新寺を建立する、寺に新しい建物を寄進すること、息子を僧にすること、、、飢えた隣人に食べさせることはそれらからみたら点数は低い。
女性は僧になれないから自分の代わりに息子を僧に差し出すことが最大のブンとなる。
息子が僧になって得たブンは母親にいく。
だから、「お母さんのために」僧になる、のだ。
筆者がタイの僧になった写真を母親に送ったら「変わり果てた姿に」泣いたそうだが、タイの母親は息子が一時僧になったときは、嬉し泣きをする。
日本の母親にとって最高のタン・ブンの機会とは何なのだろうか。これという切り札を、私は両親への親孝行をするに際して、どうも持っていない気がするのだ。これは親にとっても子にとっても不幸なことではないだろうか。結局、高い学歴をつけて少しでも金を儲けてよい家に住まわせて、というようなことになってしまうのか。精神的な報償としての親孝行といったものは、もう現代の日本社会では存在しないのだろうか。と、青木保は書く。
母の日に何かをプレゼント、その時に「お母さんありがとう」と書き添える?
ちょっとお手軽にすぎないか。
母ではないが、僕は子どもたちが元気でいてくれるのが、いちばん嬉しい。
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hisako-baaba at 2020-06-17 18:11
お母さんの為に僧になるのですか。男の子たち親孝行なんですね。
山本太郎にはがっかりしています。
小池を喜ばせてしまう。都民じゃないが、支持できませんね。
どうなる事やら?
彼自身も痛い目に遭いそう。勿体無いですね。
山本太郎にはがっかりしています。
小池を喜ばせてしまう。都民じゃないが、支持できませんね。
どうなる事やら?
彼自身も痛い目に遭いそう。勿体無いですね。
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saheizi-inokori at 2020-06-17 21:07
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りんご
at 2020-06-17 22:43
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タン・ブンは息子が母の為に徳積みをするなら
太郎は孝行息子? 母子家庭で10代は貧しい国へ
母のボランテイアで連れて行かれと読みました
Youtubeで郷原信郎の「日本の権力を斬る!」#18
を見まして、都知事選に少々違う視点をもちました
太郎は孝行息子? 母子家庭で10代は貧しい国へ
母のボランテイアで連れて行かれと読みました
Youtubeで郷原信郎の「日本の権力を斬る!」#18
を見まして、都知事選に少々違う視点をもちました
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saheizi-inokori at 2020-06-18 06:18
> りんごさん、郷原は山本出馬会見に大興奮ですね。
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平名
at 2020-06-18 06:58
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感激の喜びの涙か、それとも別れないといけない悲しみの涙か?
日本より厳しい世の中か?
日本より厳しい世の中か?
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soymedica at 2020-06-18 09:38
青木保、国立新美術館の館長だった方ですね。「文化の翻訳」を読んだ記憶があります。
そのとき経歴を調べて面白い人だなあ、と。また何か読んでみようかな。
そのとき経歴を調べて面白い人だなあ、と。また何か読んでみようかな。
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saheizi-inokori at 2020-06-18 09:50
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saheizi-inokori at 2020-06-18 09:51
> soymedicaさん、
偉丈夫で豪快な人という感じです。
偉丈夫で豪快な人という感じです。
by saheizi-inokori
| 2020-06-17 12:14
| 今週の1冊、又は2・3冊
|
Comments(8)