恩返し

朝方の夢見が悪かったせいか、6時過ぎても起き上がる元気が出て来なかった。
火曜日だと思ってゴミを出しに降りて木曜日であることに気づく。
二日も間違えるのは初めてだ。
それでも五月晴れと窓いっぱいから吹き込む風に励まされて洗濯物をベランダに干して、ストレッチをするころには、きょうもかくて始まりぬ、もういちにち頑張んべという気持ちになる。
カミさんが家の中の片づけを、ずっとやっていて、出て来た若い頃の会社の社内壁新聞、ぼくがサマーキャンプで挨拶している写真が載っているのを捨てる前に壁に貼った。
毛髪量の豊かさ!
楽しい懐かしい思い出がたっぷり湧いてくるが、同時に未熟なるがゆえに周りの人に迷惑をかけたこともヒリヒリ。
けさの夢もそれに絡んでいたようだ。
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パク・クネは今牢屋でどんな気持ちだろう。
きのう見た「アナザーストーリーズ」は、朴槿恵がテレビ記者のスクープをきっかけに、国民の怒りが燃え上がる蝋燭革命の話だった。
違法かとも思える隠しカメラ(チェ・スンシルの室内)や他紙の記者との連携(だろうな、テレビではそう言わなかったが)プレーなど、命がけの報道を、記者クラブの発表に頼る日本の記者諸侯はどう思うだろう。
述べ1600万人、半年に渡る大衆動員に警察はきわめて協力的で逮捕者も出なかった。
受験を控えた女子学生が片道5時間もバスに乗って毎週参加するのは、崔順実(チェ・スンシル)の子どもが大学にコネで入学したと聞いたことに我慢ができなかったからだ。
セウォル号事件の不始末も蝋燭の火を燃え上がらせる。
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モリカケ、花見、そしてコロナの不始末、騙されても毟られても蹴られても何があっても、日本人はおとなしい。
大人しい日本人が、アベ政権の韓国に逆立ちしても敵わないコロナ対策の醜態を許している。
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東京駅「銀の鈴」の72時間のルポも見た。
僕にもとてもとても忘れられない思い出がいくつもある場所だ。
台風で新幹線が動かなくなった日に、とつぜん亡くなった大坂の父親を訪ねて、行けるところまで、ちょっとでも近くに、今日一日はここで過ごすつもりの女性。
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テレビクルーであっても胸の内を吐露したい。
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話しているうちに大粒の涙。
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「してし尽せるもんではない」、岩手(だったか?)からの車中、ずっとそのことを考えつづけてきたのだろう。
この先もずっと考えて生きていくのだ(僕もだ)。
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山本七平&増原良彦の「色即是空の研究 般若心経の読み方」は、「日本人とユダヤ人」のひそみに倣って、日本人のものの考え方のなかにある仏教の思想と旧約や新訳、ヒンズー教、、などの思想、もっといえばそういう思想が生まれた社会の成り立ちの違いを説く。
だから「旧約聖書の読み方」であったり「新訳聖書の読み方」であったりもする。
例によって知らないことが出てくるたびにスマホのお世話になって、そうしているうちに頭があらぬ方向へ向いたりして、道草が甚だしい。
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恩を受けた人がそのことを忘れてしまっていいというのが、布施の精神である。これは、欧米でもそうだと思う。日本だけが例外である。受けた恩は忘れてはならない。忘恩の徒に対するののしりが、日本ほど激しいところは無い。恩を忘れてならないことが、日本の戒律になっている。この点に日本における布施の最大の問題があるといえる。

恩をほどこされたことを忘れていい、とはっきり仏教はいっている。ヒンズー教もそうだ。むしろ、受けた恩を忘れろと命じているのが宗教だといえる。
キリスト教やユダヤ教では、その場合、神に感謝するというのが特徴である。
恩をほどこすことにしても、情をかけることにしても、それを保証するものとして神がいるということなのだ。日本人にはそれがない。保証がなくて、あるのは個々の恩、個々の情という事例だけである。
夢見が悪い時の夢の細部は、起きれば忘れてしまって、気分の重さだけが残る。
その重さのよってきたるところは、「恩を忘れている」ことの事例が夢のなかで追いかけてきたからのような気がする。
「日本人的に」恩を受けたことを、ちゃんと、こと挙げして恩返しなどの行動に表さなかった、その相手がいろんな形で夢に現れるのかもしれない。
でも、はたして、あの人たちは「恩を返せ」と罵りにきたのだろうか。
いつか返してもらうことを期待して恩をかけるのか。
そんな恩なら返さなくたっていいじゃないか、と考えるのは不遜で「恩知らず」なのか。
僕は夢のなかで何に追いかけられているのか。
返し尽くせないほどの恩をかけてくれた、あの人の父や僕の母は、恩返しを望んで恩をかけたわけではない。
僕の気持ちが「し尽くせなかった」と判定している。
「尽くせない」のだから、死ぬまで続くのだろうな(だから毎朝仏壇に向かって感謝する)。
「返し尽くせる」程度の恩を忘れているのがよくないのか。
いやいや、それこそ不遜な考え方で、僕が今まで生きてくるについては、どれほど多くの人から深く大きな恩恵を受けているか、僕自身が気がつかない恩義があるはずだ。
気がつかない恩義には報いようがない。
ひたすら感謝するしかない、そこで仏様が出ていらっしゃる、感謝をささげる対象としての仏様か。
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わけのわからないことをグルグル考えている。
それこそ「色即是空」と割り切ればいいのではないか。
Commented by eblo at 2020-05-07 13:04
私だけの個人的な話になりますが。
感謝するようなことをしてくれた相手はそれを忘れていますが、受けた私の方は何十年経っても覚えています。
その相手に恩返しはできませんが別の人に返せればいいと思っています。誰かを助けることをしても、いずれ助けて欲しいとは思いません。でも、その時の「助かった、嬉しい、ありがとう」の気持ちを他の誰かにバトンタッチしてくれればとは思います。
長い間いろいろな人から助けてもらいながら生きてきて、お金を使って感謝を表せない人間はこんな風に考えているというところです。
私の場合は、宗教観とか道徳観とかとは違う話の気がします。
Commented by よっしー at 2020-05-07 13:23 x
平和ボケ。日本人が怒らない最たる理由では。地震の時もそうだった。今度も、対岸の火事に対して気づきがおそいから、検査のシステムもろくにできない。どれだけボケてんだ。おとなしくしている国民も問題だ。衆愚政治。うまく言ったもんだ。絶対次の選挙は国を変えなければもう日本はダメになると思う。
Commented by saheizi-inokori at 2020-05-07 13:38
> ebloさん、そうですね。
そう思ってもみるのですが、、それでは勘定が合わない、お陰の方が多すぎます。
まあ、計算するものではないのですがね。気分の問題として。
Commented by saheizi-inokori at 2020-05-07 13:39
> よっしーさん、次の選挙、どうにかしたいですね。
Commented at 2020-05-07 14:20
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2020-05-07 14:43
> 鍵コメさん、了解しました。
了解しました。
Commented by りんご at 2020-05-07 15:13 x
=頭があらぬ方向へ向いたりして、道草が甚だしい=
と仰る佐平次さんのお陰様で 
丁寧なプロセスの進みから 沢山感じさせてもらっています

恩をほどこされたことを忘れていい
恩や情を保証するものとして神がいる 日本人にはそれがない
。。広大な恩にただ感謝 こう進んでいって生きていたいです 

  
Commented at 2020-05-07 15:22
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2020-05-07 15:56
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 寿限無 at 2020-05-07 16:12 x
無財の七施か……。
Commented at 2020-05-07 16:13
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by tsunojirushi at 2020-05-07 17:56
恩についてのお話は感慨深いです。
病気で使い物にならない私は、情けをかけていただくことが比較的多いのです。
親切な気持ちでなさってくださるのは間違いないのですが、それをどう消化すればいいのかか…、とても苦手なところなのです。ただありがとうと受け取るのでは、おこがましいと言うか図々しいと言うか…。だから、恩は時に私には負債になってしまう。
返せない。返せないことがストレスになります。
こちらに書かれている日本人的な呪縛をまさしく抱えている体質なのかもしれません。
Commented by saheizi-inokori at 2020-05-07 19:12
> りんごさん、恩に義理、オニギリを忘れるなと我が家の日めくりにありました。不義理の多い私にいっているのです。
Commented by saheizi-inokori at 2020-05-07 19:17
> 鍵コメさん、ご教示の文章を読み間違えて、接続を切った状態を故意に作ろうとしたのでした。
Commented by saheizi-inokori at 2020-05-07 19:19
> 鍵コメさん、新しく考えたパスワードを入力してしまいました。
それでにっちもさっちもいかなくなりました。
Commented by saheizi-inokori at 2020-05-07 19:22
> 寿限無さん、なかなか難しいことです。これについても何か言ってました。
明日探してみよう。
Commented by saheizi-inokori at 2020-05-07 19:25
> tsunojirushiさん、それは仏教の教えにしたがって「返さなくてよい」と考えましょう。
相手もその方がありがたいのではないでしょうか。
Commented by soymedica at 2020-05-07 21:31
悪い夢を見たら人に話すと良い、と言いますが、私は話すと夢の記憶が定着してしまうので、話しません。すると午後には内容を思い出せなくなるという…。

それはともかく、髪の毛。先日中学のクラス会をやったのですが、女性は皆お互い思い出せる。男性には誰だかさっぱりわからない人も。やはり女性は体重コントロールに気を使っているのと、髪の毛がある、ということが利点ですよね、へへへ。
Commented by saheizi-inokori at 2020-05-07 21:49
> soymedicaさん、その通り!
自分で見ても三十年前は他人です。
心なしか背丈まで縮みました。
Commented by ikuohasegawa at 2020-05-08 05:17
毎朝仏壇に向かって感謝しています。その瞬間はいろいろ考えません。
それで良いような気がします。
Commented by saheizi-inokori at 2020-05-08 09:28
> ikuohasegawaさん、理屈抜きにすっきりしますね。

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by saheizi-inokori | 2020-05-07 12:24 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(21)

ホン、映画・寄席・芝居、食べ物、旅、悲憤慷慨、よしなしごと・・


by saheizi-inokori