中村哲さんの「後始末」 「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る アフガンとの約束」

五時前だった、目が覚めたらはっと気がついた。
中村哲さんが伊藤和也さんが殺されたあとも一人でペシャワールに残ったことの凄さ。
きのう途中まで読んだ本のことが頭のなかで一晩中うごめいていたらしい。

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伊藤さんが殺される以前から中村さんはアフガニスタンが、とくに2001年10月の米軍空爆開始後、危険な場所であることは承知していた。
首都カブール周辺に集まった難民・避難民を深刻な食糧危機が襲っていたが、外国救援組織はすべてアフガンを撤退する。
中村さんはペシャワールに残って救援資金の呼びかけを行う。
ペシャワールからカブールにどうやって食糧を運ぶかが問題だった。
(中村)空爆の真っ最中です。現地のスタッフから、20名のボランテイアを送り出した。食糧の運搬にみんな志願したのです。笑顔で出かけたのが感動的でした。おそらく2~3名は、生きて帰れないだろうなと思いながら送ったわけですよ。日本側は、「よくやった」と言う以外はひと言もいわなかった。あのなかに日本人がおったらどうなるか。おそらくとめたでしょう。それだけ日本の社会全体が内向きといいますか、、。
(澤地)閉鎖状態ですね。閉鎖的ですね。
(中村)ほかの国の人の命は考え切れない。その非国際性というものを感じます。
(澤地)「自分のところだけよければいい」になって、そこからはみ出していった人たちは「自己責任」とかいって切るでしょう。
(中村)利用できるときは、するだけで。
伊藤さんの死について、こうも言っている。
実は、向こうでの殉職者は6人目なんですね。5人のアフガン人職員が殉職したときは、日本側は何も言わなかったです。「気の毒に」ということは言いましたけれど。
さらに、「危ないから、皆、引きあげろ」でしょ。危ないから引きあげろだったら、なぜいままでそれを言わなかったのか。危ないということは、私は一昨年から言ってるのに。
それでも務まっていたのは、いまは大干ばつの真っ最中で、何十万人かの命を預かっているという、その責任感でおったわけです。「引きあげろ。引きあげろというが、現地の人の命はどうなる。殉職した5人の人権はどうなるのか」と言いたかった。
(澤地)いのちの重さは同じです。
伊藤さんが亡くなって日本の世論が許さないこともあって、中村さんは24名の日本人スタッフを全員帰国させて、自分一人が残った。
(中村)まあ、後始末については、身から出たサビとしか言いようがないので、後始末は自分でするのは当然の、、。
(澤地)後始末って、何をなさるんですか。
(中村)後始末は、いまの事業の完成ですね。しかも、人を犠牲にせずにということであれば、若いものを帰して、第2の犠牲者を出さないで、落しまえはつける。
それから10年後、中村さんも殺される。
タリバンは「襲撃に関与していない。この団体は復興に関わっており、タリバンと良好な関係を持っていた。ペシャワール会は誰も標的ではない」との声明を発表した。
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そうなんだよなあ、僕がこんなにもコロナに怯えているのは、やるべき務めを終えて(終えたつもりになって)、内向きになっているからなんだ。
徹夜(ほんとに寝ない)の連続で、保身のことなど考えずにある種の使命感をもって仕事をしていたこともあった。
あの頃なら、もうちょっとシャンとしていたと思う。

いま、命がけで医療を支えている人たちは中村さんの子どもたちなのかもしれない。
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久しぶりの快晴、洗濯を2回、ちょっと腰が痛いのを除けばいい気持だ。
もう中村さんのようには生きられないから、生きる度胸がないから、せめて中村さんの言葉をかみしめて一日を過ごそう。
Commented by よっしー at 2020-04-14 13:13 x
中村さんが亡くなった時、国の扱いが非常に低かった印象が強かったです。いまの、あの方には、こういう日本にとってどれだけ大切なひとだったか。全くわかってません。自分の地位と名誉しかかんがえられない。愚かな人たちです(嘆)
Commented by saheizi-inokori at 2020-04-14 13:16
> よっしーさん、私はボケなので亡くなってからその人のエラさを知ることが多いです。ぺシャワール会には入っていますが、中村さんのエラさを知ったのも今ごろです。
Commented by テイク25 at 2020-04-14 13:37 x
中村哲さんのことを思い続ける。
その後を継いで灌漑事業を続けている現地人や日本人のことを思い続ける。
今、コロナと最前線で対峙している医療従事者のことを思い続ける。
他にもさまざまな場面で私たちを助けてくれている人のことを思い続ける。
世の中には素晴らしい人たちがたくさんいますね。

中村哲さんは、何かしら自分にできる小さなことをやり続けることの支えです。本棚からこの本を引っ張り出して読み直そうと思いました。
Commented by saheizi-inokori at 2020-04-14 13:56
> テイク25さん、ユーモアがあるのもいいですね。
Commented by Deko at 2020-04-14 20:23 x
こんばんわ
生涯をアフガンにささげた中村哲さん荒れ果てた(現地の人が何が一番必要か)アフガンの高原に井戸を掘り水を引き緑多い地域に生まれ変わらせ全力で奉仕活動等本当に素晴らしい方すごい人だなあと思っています。
Commented by hisako-baaba at 2020-04-14 21:01
私もこの本古本で注文しています。読んで子や孫に回そうと。
Commented by saheizi-inokori at 2020-04-14 22:12
> Dekoさん、きれいな言葉大きな言葉でなくて、そこでいちばん必要とされることをやりとげる。
エッセンシャルワーカーの皆さんが今果たしている役割を壮大な規模でやったのですね。
Commented by saheizi-inokori at 2020-04-14 22:14
> hisako-baabaさん、私は友人から借りました。孫に薦めようかな。
Commented by okanouegurasi at 2020-04-15 05:18
本当に尊敬できる人っていますね。
鳴り物入りで英雄視される、というのではなく。
いつか誰かが中村さんのような地味だけれど、金や名誉のためではなく、人間のために働き続けた人の記録を書き残してほしい。語り続けないと表の歴史には、残らないですもの。


Commented by saheizi-inokori at 2020-04-15 05:49
> okanouegurasiさん、本書は澤地さんがその思いでインタビューを重ねたものです。合間に客観的な事実を解説したり、珍しい子供の頃の写真などを載せたりして面白く読める工夫もなされています。
Commented by j-garden-hirasato at 2020-04-15 06:26
命を懸けるとは、
こういうことですよね。
自分には、とても…。
Commented by saheizi-inokori at 2020-04-15 07:08
> j-garden-hirasatoさん、せめて中村さんの生き方、アフガンの今も続く悲惨に目を向けていることなら、私にもできるかと思います。
Commented by rinrin1345 at 2020-04-15 07:20
読んで見たい本ですね。早速注文しました
Commented by saheizi-inokori at 2020-04-15 08:14
> rinrin1345さん、ユーモアもあって楽しく刺激をうけつつ読み終えました。
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by saheizi-inokori | 2020-04-14 11:29 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(14)

ホン、映画・寄席・芝居、食べ物、旅、悲憤慷慨、よしなしごと・・


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