実効性があるか相談の目安&文楽「新版歌祭文」「傾城反魂香」
2020年 02月 18日
新型肺炎相談センターに相談する「風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上」という目安は、今でも二時間待ちの混雑を考えるとやむを得ない縛りなのかもしれないが、実効性があるのだろうか。
多くの人は相談センターを利用しないで、直接近くのクリニックなどに駆け込んでしまいそうだ。
小さな子供の発熱が続けば、新型肺炎でなくてインフルエンザかもしれないし、他の病気も心配だもの、行きつけの先生に診て貰いたいと思うのが、親の気持ちだろう。
テレビで橋下徹が、「この段階で政治がやるべきことは、一人一人の感染源を追いかけたり、一人でも死なさないということではなくて、これからやってくるピークを少しでも低くして医療体制のキャパに収めるように(はみ出す人を減らす)すること。
そのために、イベントなどを禁止して伝染する機会を減らすことだ」と自分が大阪市長だったかのときに新型インフルエンザ対策として、強引にあらゆる学校を閉鎖したことを語っていた。
今でもインフルエンザで一万人の死者が出ているのに、国民はそれを受け入れている。
それは医療崩壊が起きていないからだ。
新型肺炎をインフルエンザ化すべきだと。
そうはいっても、東京マラソンはやる、オリンピックもやる、それが今の政治だ。
木村知が、インフルエンザかなと思っても、しばらくは家で休んでいるのが社会的にみても大事な対処法だと「病気は社会が引き起こす インフルエンザ大流行のワケ」に書いている。
念のためとか、欠勤届のために受診する人が多いと医療崩壊も起きかねない。 というわけで、どういうわけでもない、一月前に取ってあった切符を持って国立劇場へ。
バスの中で盛んに出た鼻水が止まったのは、あれは花粉症かも知れない。
劇場に入るときはマスクをする。
入り口に置かれた消毒液を手に受けながら「糖尿なもんでね」と連れに語るお爺さん、トイレの洗面所も手を入念に洗う人が多かった。
「新版歌祭文 野崎村の段」
「野崎参りは屋形船で参ろ」、東海林太郎の「野崎小唄」を知っている人の方が多そうな客席だ。
悪者・小助や久松の養父・久作のセリフが、楽しい。
「ハゝべるはべるはべるは喋るは喋るは」、「コリャヤイ留守の間へ来てわっぱさっぱ、様子によって了見せぬぞ」、「あんだらくさい」「やっさもっさ」、、古典芸能を見る楽しみはこういう、今では聞かれない言葉が生き生きと飛び交うところにもある。
田舎育ちのオボコ・おみつは久松と結婚できるかと思って、胸をときめかす。
あわてて髪を整えたり、久作に言われて大根膾を切るためにトントン包丁を使いながら心ここにあらず指を切ったりする。
そこに大阪から、久松と相思相愛のお染がやってくる。
おみつは、中にも入れず、箒をさかさまに立てかけ、意地悪をする。
ストレートな女の感情をむき出しにした争いが、いじらしい。 養父久作の恩に背くわけにはいかない、別れてくれという久松に、それなら死ぬと剃刀を持ち出すお染、「悪縁深き契り」久松もその気になる。
久作が『お夏清十郎」にたとえて恩のある奉公先の娘といっしょになることが世間の義理に反することを、切々と説くと、二人とも「わかりました」というのだが、それではと嫁入り姿のおみつを呼び出すと、綿帽子の下は島田の根元がふっつりと切ってある。
おみつは、お染久松は死ぬことを知って身を引き尼になるのだ。
切の豊竹咲太夫、鶴澤燕三 ツレ燕二郎が素晴らしかった。
「傾城反魂香」
絵師の狩野将監光信の閑居近くの藪に虎がでたのを百姓たちが追いかけて来る。
光信はこれが絵の中から出た虎だと見破り、弟子の修理之介が筆で消し去る。
光信、その功を愛でて土佐光澄の名を許す。
そこで、竹本津駒太夫改め錣太夫が登場、六代目襲名披露口上がある。
修業時代に、師匠の鶴澤寛治が「おいどめくれ」(床本のお尻をだせ)と言ったのを勘違いして、お尻をまくろうとしたというエピソードが紹介される。
土佐将監の弟子、吃りの浮世又平が妻のおとくとやってくる。
弟弟子が名字を許されたことを聞き、自分にも土佐を名乗ることを、吃るので妻が願うが、「絵の道の功がないから」と断られる。
そこへ、元信の弟子が髪振り乱してやってきて、姫(娘?)の危難が伝えられる。
手柄をたてるチャンスとばかりに、自分が救出に向かいたいと又平が、どもりながら願い出る。
聞きどころだ。
三味線がとまり場内かたずをのんで聴く。
どもっているからなおのこと、真情が切々とつたわってくる。
ああ、それでも将監は「武道の功に絵描きの苗字、譲るべき仔細なし」と救出は修理之介に命じる、キビシイネ。
又平、修理之介に縋り付いて、自分に代わってくれと嘆願するが、もとよりそうはいかない。
ずっと見守っていた女房のおとくが、「手水鉢に自画像を描いて、死ね」という。 「生涯の名残りの絵姿は苔に朽つるとも、名は石魂に止まれ」と自画像を描くと、念力だろうか、尺余の御影石の裏にその絵が浮かび上がる。
三味線のツレ弾きが快い。
将監が、それを認めて、土佐光起と命名、姫の救出に向かえという。
将監がドモリでは敵との交渉が出来ないのかと気遣うと、おとくが「節がつくと淀みなくしゃべれる」といい、鼓を打って又平に舞わせる。
姫はどうなると気にしながら、見ている僕。
将監が餞別だといって大刀一閃、石塔(手水鉢)が真っ二つ、又平も横たわる。
「狂ったか」とおとく、そうじゃなくて、手水鉢の絵のなかの心臓を切ってドモリを直したのだと将監。
あらふしぎ、又平起き上がって
大当たり!向うから声があって、僕もいい気持になって「ハハハァハハハァ」と胸の内で笑って帰った。
多くの人は相談センターを利用しないで、直接近くのクリニックなどに駆け込んでしまいそうだ。
小さな子供の発熱が続けば、新型肺炎でなくてインフルエンザかもしれないし、他の病気も心配だもの、行きつけの先生に診て貰いたいと思うのが、親の気持ちだろう。
テレビで橋下徹が、「この段階で政治がやるべきことは、一人一人の感染源を追いかけたり、一人でも死なさないということではなくて、これからやってくるピークを少しでも低くして医療体制のキャパに収めるように(はみ出す人を減らす)すること。
そのために、イベントなどを禁止して伝染する機会を減らすことだ」と自分が大阪市長だったかのときに新型インフルエンザ対策として、強引にあらゆる学校を閉鎖したことを語っていた。
今でもインフルエンザで一万人の死者が出ているのに、国民はそれを受け入れている。
それは医療崩壊が起きていないからだ。
新型肺炎をインフルエンザ化すべきだと。
そうはいっても、東京マラソンはやる、オリンピックもやる、それが今の政治だ。
木村知が、インフルエンザかなと思っても、しばらくは家で休んでいるのが社会的にみても大事な対処法だと「病気は社会が引き起こす インフルエンザ大流行のワケ」に書いている。
念のためとか、欠勤届のために受診する人が多いと医療崩壊も起きかねない。
バスの中で盛んに出た鼻水が止まったのは、あれは花粉症かも知れない。
劇場に入るときはマスクをする。
入り口に置かれた消毒液を手に受けながら「糖尿なもんでね」と連れに語るお爺さん、トイレの洗面所も手を入念に洗う人が多かった。
「新版歌祭文 野崎村の段」
「野崎参りは屋形船で参ろ」、東海林太郎の「野崎小唄」を知っている人の方が多そうな客席だ。
悪者・小助や久松の養父・久作のセリフが、楽しい。
「ハゝべるはべるはべるは喋るは喋るは」、「コリャヤイ留守の間へ来てわっぱさっぱ、様子によって了見せぬぞ」、「あんだらくさい」「やっさもっさ」、、古典芸能を見る楽しみはこういう、今では聞かれない言葉が生き生きと飛び交うところにもある。
田舎育ちのオボコ・おみつは久松と結婚できるかと思って、胸をときめかす。
あわてて髪を整えたり、久作に言われて大根膾を切るためにトントン包丁を使いながら心ここにあらず指を切ったりする。
そこに大阪から、久松と相思相愛のお染がやってくる。
おみつは、中にも入れず、箒をさかさまに立てかけ、意地悪をする。
ストレートな女の感情をむき出しにした争いが、いじらしい。
久作が『お夏清十郎」にたとえて恩のある奉公先の娘といっしょになることが世間の義理に反することを、切々と説くと、二人とも「わかりました」というのだが、それではと嫁入り姿のおみつを呼び出すと、綿帽子の下は島田の根元がふっつりと切ってある。
おみつは、お染久松は死ぬことを知って身を引き尼になるのだ。
切の豊竹咲太夫、鶴澤燕三 ツレ燕二郎が素晴らしかった。
「傾城反魂香」
絵師の狩野将監光信の閑居近くの藪に虎がでたのを百姓たちが追いかけて来る。
光信はこれが絵の中から出た虎だと見破り、弟子の修理之介が筆で消し去る。
光信、その功を愛でて土佐光澄の名を許す。
そこで、竹本津駒太夫改め錣太夫が登場、六代目襲名披露口上がある。
修業時代に、師匠の鶴澤寛治が「おいどめくれ」(床本のお尻をだせ)と言ったのを勘違いして、お尻をまくろうとしたというエピソードが紹介される。
土佐将監の弟子、吃りの浮世又平が妻のおとくとやってくる。
弟弟子が名字を許されたことを聞き、自分にも土佐を名乗ることを、吃るので妻が願うが、「絵の道の功がないから」と断られる。
そこへ、元信の弟子が髪振り乱してやってきて、姫(娘?)の危難が伝えられる。
手柄をたてるチャンスとばかりに、自分が救出に向かいたいと又平が、どもりながら願い出る。
聞きどころだ。
三味線がとまり場内かたずをのんで聴く。
どもっているからなおのこと、真情が切々とつたわってくる。
ああ、それでも将監は「武道の功に絵描きの苗字、譲るべき仔細なし」と救出は修理之介に命じる、キビシイネ。
又平、修理之介に縋り付いて、自分に代わってくれと嘆願するが、もとよりそうはいかない。
ずっと見守っていた女房のおとくが、「手水鉢に自画像を描いて、死ね」という。
三味線のツレ弾きが快い。
将監が、それを認めて、土佐光起と命名、姫の救出に向かえという。
将監がドモリでは敵との交渉が出来ないのかと気遣うと、おとくが「節がつくと淀みなくしゃべれる」といい、鼓を打って又平に舞わせる。
姫はどうなると気にしながら、見ている僕。
将監が餞別だといって大刀一閃、石塔(手水鉢)が真っ二つ、又平も横たわる。
「狂ったか」とおとく、そうじゃなくて、手水鉢の絵のなかの心臓を切ってドモリを直したのだと将監。
あらふしぎ、又平起き上がって
らりるれろ。まみむめも。プウさしすせそ。かきくけこ。アリャアリャ直った直った直った直った直ったアハハハいふはいふは何をいふ。狸百本。天王寺のたうたう念佛。十申せば仏になる。誓願寺の仏の誓ひ。ハハァ桐竹勘十郎の又平も凄かった。
大当たり!向うから声があって、僕もいい気持になって「ハハハァハハハァ」と胸の内で笑って帰った。
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そらぽん
at 2020-02-18 20:49
x
「非常事態宣言をして戒厳状態にし
集会や街頭演説等の活動を禁止にしてほしい。。」
きたー。 きょうYahooコメで目にしました
狡猾なアベノウイルスに要注意ですね
集会や街頭演説等の活動を禁止にしてほしい。。」
きたー。 きょうYahooコメで目にしました
狡猾なアベノウイルスに要注意ですね
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saheizi-inokori at 2020-02-18 20:59
> そらぽんさん、橋下のイベント禁止論にもきなくささを感じます。
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j-garden-hirasato at 2020-02-19 07:00
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soymedica at 2020-02-19 08:44
https://note.com/chocolat_psyder/n/n37115c09d500?fbclid=IwAR3sx__b1ojejbuUWP_CU8g1pn_9bGIhHpnSM6ahmE3GMG0WdtK-6nL72Ws
ですって。岩田先生は感染管理業界ではきちんとしたことを言う人、という評価だそうです。
ですって。岩田先生は感染管理業界ではきちんとしたことを言う人、という評価だそうです。
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saheizi-inokori at 2020-02-19 10:22
> j-garden-hirasatoさん、ベストはないでしょうが、ましなことをやればいいのです。
どうも政府はより悪いことをしてしまったような気がします。
中国からの水ぎわ作戦のテオクレと不徹底やクルーズ船の誤った判断とその後の処置など。
専門家がすべてを理解しているとは思いませんが、その意見を徴することもしなかったなんて信じられないです。
どうも政府はより悪いことをしてしまったような気がします。
中国からの水ぎわ作戦のテオクレと不徹底やクルーズ船の誤った判断とその後の処置など。
専門家がすべてを理解しているとは思いませんが、その意見を徴することもしなかったなんて信じられないです。
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saheizi-inokori at 2020-02-19 10:23
> soymedicaさん、せっかくのご教示ですが、そのアドレスにアクセスできません。
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saheizi-inokori at 2020-02-19 10:35
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kanekatu at 2020-02-19 11:26
横浜にぎわい座で兼好が、この会場内で感染者が見つかったら会場が封鎖されるんででょうかって言ってましたが、もはや冗談で済まなくなりました。
コロナウイルス悪乗り論の方がもっと恐ろしい。
コロナウイルス悪乗り論の方がもっと恐ろしい。
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saheizi-inokori at 2020-02-19 13:54
> kanekatuさん、戦時中の夜、映画でしか知らないけれどあんな風になるかもしれないですね。
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saheizi-inokori at 2020-02-19 18:03
> saheizi-inokoriさん、動画もみました。想像した通りでした。
by saheizi-inokori
| 2020-02-18 13:25
| 能・芝居・音楽
|
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