ずっと移民でいつづけたい 「百年の散歩」(多和田葉子)
2020年 01月 27日
おとといは、録画しておいた、むつ市のうらさびれた飲み屋街を72時間追いかけるというテレビ番組、きのうは地球タクシーという番組で秋田市を走るタクシー運転手たちのルポルタージュ、続けて楽しく懐かしく(むつ市には行ったことがないけれど)見た。
登場する人たちそれぞれに物語があって、苦しみもある。
その苦しさ、寂しさを北国の人たちと自然がゆったりと包んでいる。
かつて母や姉妹たちと自販機の饂飩を食べに来るのが楽しかったことを話して、その岸壁で沈みゆく太陽を眺めながら「秋田では、こんな晴れた(ぼくには曇ってみえたのだが)日はめったにないの、だから、ああ、いい天気だなあというの」と、、まだあったその饂飩をすすりながら話す女性ドライバー(30歳)、「いつも隣に誰かいたから、ひとりで食べると切ない」という。
縁があったら駅裏の居酒屋できりたんぽでもつつこうや。
ぼくよりちょっと若いおじさんドライバーも誘ってさ。 「夜の白梅」って羊羹があったよね。
散歩から帰って、暗い隣家を、きょうもいないなあ、お姉さんやワンちゃんが元気だろうかと心配して見上げたら、不意をついた白梅。 ご飯だよ、今はそんなふうに呼びにくるのだろうか。
呼ばれて、ボールを置き忘れたのか。
誰もいなくなった公園の壁に貼ってあった、豆まきのポスター。
ことしはぼくも参加してみようか、鬼になるほどの元気もないけれど。 終わるのを惜しみつつ読み終わった「百年の散歩」。
マルティン・ルター通りにあった、「無責任きわまりない」カフェで不愉快な目にあって
道行く人を観察して、その人の物語を作り上げてしまう。
百年前の人や飢えて死んだ子供の幽霊と遇う。 つくづく感じるのは、ぼくはいったいどういう人生を送ってきたのだろう。
「無知」「無教養」!
レネー・シンテニアス、コルヴィッツ、トゥホルスキー、、ベルリンの町の通りの名前が表す人を知らない。
感性や想像力の乏しさ!
テレビのようによってたかって教えてもらわないと、生の光景から詩や物語の欠片すら思い浮かばない。
彼女のように、きらきら光る形容詞をひとつでも思いつけたら! でも打ちのめされるためにこの本を読んだのではない。
それに、ほら、あののり子さんも「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」といってる、ばかものにはなるまい。
登場する人たちそれぞれに物語があって、苦しみもある。
その苦しさ、寂しさを北国の人たちと自然がゆったりと包んでいる。
かつて母や姉妹たちと自販機の饂飩を食べに来るのが楽しかったことを話して、その岸壁で沈みゆく太陽を眺めながら「秋田では、こんな晴れた(ぼくには曇ってみえたのだが)日はめったにないの、だから、ああ、いい天気だなあというの」と、、まだあったその饂飩をすすりながら話す女性ドライバー(30歳)、「いつも隣に誰かいたから、ひとりで食べると切ない」という。
縁があったら駅裏の居酒屋できりたんぽでもつつこうや。
ぼくよりちょっと若いおじさんドライバーも誘ってさ。
散歩から帰って、暗い隣家を、きょうもいないなあ、お姉さんやワンちゃんが元気だろうかと心配して見上げたら、不意をついた白梅。
呼ばれて、ボールを置き忘れたのか。
誰もいなくなった公園の壁に貼ってあった、豆まきのポスター。
ことしはぼくも参加してみようか、鬼になるほどの元気もないけれど。
マルティン・ルター通りにあった、「無責任きわまりない」カフェで不愉快な目にあって
こんな時、バナナ・パンを最後まで食べないでお金だけ払って不機嫌な顔をしてそのまま店を出ていってしまう人もいるだろう。でも、私にとっては負の世界に分け入っていくことの方が美味しいものを食べることより魅力的なのだった。そう、ぼくにもそういうところはあるな。
道行く人を観察して、その人の物語を作り上げてしまう。
百年前の人や飢えて死んだ子供の幽霊と遇う。
驚きはミミタブの裏側をカタツムリのようにゆっくりと這い上がってきた。そんな、面白く美しい言葉で飾られる感動をどこでもドアの詩人。
「無知」「無教養」!
レネー・シンテニアス、コルヴィッツ、トゥホルスキー、、ベルリンの町の通りの名前が表す人を知らない。
感性や想像力の乏しさ!
テレビのようによってたかって教えてもらわないと、生の光景から詩や物語の欠片すら思い浮かばない。
彼女のように、きらきら光る形容詞をひとつでも思いつけたら!
大人になっても毎日、手帳に新しく発見した単語を書き記し、語彙を増やしていく人を移民と呼ぶのだ。そういってくれる多和田葉子、ぼくもずっと移民で居続けたい。
それに、ほら、あののり子さんも「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」といってる、ばかものにはなるまい。
同じ場所に留まっている人間は、自分の足首に足枷がはめられていることに気づくことがない。ローザ・ルクセンブルクの言葉も紹介してくれた葉子さん、ありがとう。
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そらぽん
at 2020-01-27 17:30
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ぼくもずっと移民で居続けたい… 胸がしゅんしゅん*
コロナ恐怖から邦人を救出したら、隔離し状態観察をする
既に日本に来ている中国人旅行者も(本人が希望すれば)
日本で状態観察,治療をする 世界は民は繫がっていますね
コロナ恐怖から邦人を救出したら、隔離し状態観察をする
既に日本に来ている中国人旅行者も(本人が希望すれば)
日本で状態観察,治療をする 世界は民は繫がっていますね
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saheizi-inokori at 2020-01-27 18:11
> そらぽんさん、ずっと日本にいる日本人だけど移民でいたい。
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テイク25
at 2020-01-27 19:10
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私もずっと移民でい続けたいです。
新しく発見したことを手帳に書き留めておく姿勢を持っていたいですね。書き留めるだけじゃ移民になれないから、それを基にして考え続けていきたいです。
新しく発見したことを手帳に書き留めておく姿勢を持っていたいですね。書き留めるだけじゃ移民になれないから、それを基にして考え続けていきたいです。
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Deko
at 2020-01-27 19:27
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夜目に白梅きれいですね。まだ咲くには早いように思えますが陽だまりの温かいところにあるのでしょうか。保育園で鬼は外福は内と豆まきですか。楽しそうですね。ポスター見ると鬼を募集しているのでしょうか?
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saheizi-inokori at 2020-01-27 20:34
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saheizi-inokori at 2020-01-27 20:36
> Dekoさん、子供たちがインフルなどにやられないように祈りたいです。
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koro49 at 2020-01-27 20:42
「ワケあり横丁」見て下さってありがとうございます^^。
あの辺りは田名部神社の近くで、昔からあんな飲み屋街だったのかな?と思います。
敷居が高くない、こじんまりした店構えが多いかな?飲めたら楽しめそうだなって思いました。
あの辺りは田名部神社の近くで、昔からあんな飲み屋街だったのかな?と思います。
敷居が高くない、こじんまりした店構えが多いかな?飲めたら楽しめそうだなって思いました。
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saheizi-inokori at 2020-01-27 20:49
> koro49さんのブログにありましたよね。
みなさん、よく飲みよく歌ってました。
還暦野球チームの応援団長とお父さん、妹の暮らしを普通にもどしてやるお兄さん、二回目の成人式の同級生たち、、いい番組でした。
ちょつと行きたくなりましたよ。
みなさん、よく飲みよく歌ってました。
還暦野球チームの応援団長とお父さん、妹の暮らしを普通にもどしてやるお兄さん、二回目の成人式の同級生たち、、いい番組でした。
ちょつと行きたくなりましたよ。
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wawa38 at 2020-01-27 21:05
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saheizi-inokori at 2020-01-27 21:50
by saheizi-inokori
| 2020-01-27 11:28
| 今週の1冊、又は2・3冊
|
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