七つのお願い フェイクであってほしい武漢の「真実」

きのうはパン屋の帰りに、薄暗くてトイレに行くときは客の背中に触らないように注意して蟹歩きしなければならないカウンターだけ、でも珈琲はうまい店で、百年の散歩のつづきを読んだ。

コルヴィッツ通りのとちゅうで町の光景が白黒の絵画に変わると、わたしは数人の子供たちに囲まれた。これは絵画だと思った途端に、子供たちの姿は消えた。
ケーテ・コルヴィッツのポスターは無駄な線がなく、言いたいことが直球で伝わってくるけれど、

でも本当にお腹をすかした子供たちの姿にはこんなにはっきりしたメッセージ性はなかったのではないか。肩をすぼめてとぼとぼ歩いていたり、道端に膝を抱えて座っている子供たちを見て通行人は「空腹」という言葉を思いだすことさえなかったのではないか。

芸術家の、ほんの少しの嘘が気になるばかりで

何も行動できないわたしは世の中の役に立たない人間なのだ。

ケート・コルヴィッツはまだ若くて召集令状もこない次男が「祖国を守るために出征したい」という姿に誇りを感じてしまい、それを察した息子は父親が止めるのを振り切って出征、戦死する。

母親も強く反対し続けるべきだったのだ。それも単に危ないからという理由で反対するのではなく、「祖国のための戦争などありえない」ことを教えてあげるべきだったのだ。隣の国のフランスの同じ年の若者と銃で撃ち合って命を落すなんて、喜劇に仕立てるには悲しすぎるし、悲劇に仕立てるには滑稽すぎる。

トゥホルスキー通りには「七つの願い」という、小さくて可愛くて役に立たない物ばかり売っている店があった。
「わたし」の七つの願いは？

毎晩死んだように深く眠れること、地上から軍隊が消えてなくなること、春みたいな顔を手に入れること、動物たちが人間のせいで苦しむことがなくなること、一生言語的興奮にみはなされないこと、今飢えている人たちがすぐに食べ物を得ること、家族や友人たちが鬱病にかからないこと、東京を大震災が襲わないこと、

あの人と結婚することは入ってない。

ぼくは、「バタンキューで死ねること」「アベがやめて安倍以前の日本に戻ること」というのを入れようと思った。
多和田さんにくらべるとちょっとミミッチクて恥ずかしいけれど。

もうひとつ、緊急時限的なお願い、中国のコロナウイルスが早急に収束することを加えよう。
一昨日まではコロナよりアベの方がよほど恐ろしいと思っていたが、昨日あたりから酷いことになってきたようだ。



「ペスト」（カミュ）の世界？フェイクであってほしい(死体の山とか、いささかクサイけど)。
日本がアベに牛耳られていなければ、ほんとの「真実」を知ることができるのだろうが。