2010年代有終の美を飾る さん喬・権太楼二人会@末廣亭
2019年 12月 30日
餅を送っていただいたので、のしもちを小さく切った。
子どもの頃は、一冬餅で暮らすのでかなりたくさんついてもらって切るのも一仕事だったが、母や弟とワイワイ言いながら切るのは楽しかった。
あの頃は大きな物差しをあてて真っ直ぐに切ったが、今は適当に大きいのもあれば小さいのも曲がったのもありだ。
カルタに切っていくと切れっぱしが出るのを細かく切ってアラレに揚げてもらうのも楽しみだった。
ナマコに搗いてもらって薄く切って、これはかき餅、干して炙って食うのがお菓子の代わり。
雪が融けはじめる前に餅はカビが生えてくる。
こそげたり、水につけてできるだけ赤や青のカビを落として食うのだが、そのころにはもう餅に飽きてくるのだった。
きのうは恒例の新宿末廣亭の特別興行、「さん喬・権太楼二人会」。
長蛇の列ができて二階まで超満員のところを最前列のど真ん中、指定席番号A5、牛肉じゃないけれど最上級の席を確保していただいたNさんに(毎度のことながら)感謝のほかない。
5時、開口一番、り助「子ほめ」のあと権太楼が上がって、これもやや定番になりかかっている前座へのお小言があって、「プログラムには6時から新真打口上とあるが、それまで一時間どうしようと考えて、さん喬さんと落語をすることにしました」。 たしかに、ぼくたちもプログラムを見て、なにかの間違いじゃないかと思っていたのだ。
池袋の老人の暴走事故の話から、自分は運転は「自信をもって下手だといえる」から、今は運転しない、免許証を返納しようかと思っている、だけど若い頃はフエアレデイZのオープンカーをうならかせた、まいかい何もなしで更新することは出来なかった、などと笑い話をして、「代書屋」。
デレキショを借りに行くと、今朝まであったけど、おつけの実にしてしまった、とテンシキ。
(生年月日を大きな声で言ってくれといわれ)セイネンガッピ!も健在なり。 (居残り会@犀門、焼き牡蠣、あん肝、赤ナマコ)
さん喬「締め込み」
はっつあんの機嫌が悪いのをカミさんが「また与太郎と喧嘩したのかい、あんな人と喧嘩してもしょうがないのに」という。
与太郎が喧嘩相手だったのか、いままで聴き逃していたのか。
二人ともあっさりと軽いジャブで場内を喜ばせて、新真打口上。
権之助(ほたる改め)と小志ん(喬の字改め)をまんなかに権太郎とさん喬がならび、こもごもに弟子たちを命名の由来も紹介して挨拶、権太楼が同時に昇進したなかでは、わさびが一歩抜きんでているけれど、二人は追いつくべく努力せよと訓戒を垂れる。
それと長生きすることが大事だ、長生きしていれば下手でもうまいように見えると現役噺家の名前をあげて権之助も含めてずっこけ。 (下仁田葱の天ぷら、うまいのよ)
権之助「居酒屋」
アルフイーの坂崎幸之助の追っかけ、それで「之助」を貰ったという。
奇しくも前夜枕元で聴いていた金馬の「居酒屋」の現代バージョン。
次つぎに放つギャグが、まったくまったく面白くない、話しぶりにもあるが内容も面白くない。
妙に上から目線というか、うまい人なんだみたいなしゃべくりも気になる。
小志ん「お化け長屋」
枕でわさびの悪口を言って、あれで笑いを取るつもりだとしたら、もうそれだけで落語家失格。
噺も聴いているのが苦痛。
弟子をかわいがるのはいいとしても、この企画はよくなかった。
ふたりとも落語家としてやっていけるのか、とても気になった。 (ぶり大根)
ニックス・漫才
最前列で拝む豊満な肉体、圧巻でした。
そうだったんですか!まじにやられたら腹立つな。
小池百合子の築地騒動をからかっていたが、どうせなら桜を見る会でもやればいいのに。
(お腹を心配して車麩を頼んでくださる、優しいね)
二人あがって、リレー落語「文七元結」をやると権太楼、プログラムを見た時に予想した候補の一番手だ。
どっちが先にやるか、ジャンケン、いやお客様に決めてもらおう、和服姿の奥様が権ちゃんを先鋒に指名する。
登場人物の名前や年齢を打ち合わせして、吾妻橋をバトンタッチ地点とする。
権太楼の前半、すっからかんになって帰宅する大工の長兵衛、佐野槌の女将の毅然としてしかも温情溢れる対応、クライマックスの文七とのやり取り、鼈甲屋の主と番頭たちが佐野槌を割り出すところ、どこをとっても、必要にして欠くべからざる会話だけにそぎ落とし、しかも長兵衛の江戸っ子らしい人間の苦悩がまざまざと描かれる。
今まで接した多くの「文七元結」のなかでも飛びぬけてよかった。
バトンを受けたさん喬は、権太楼の残した余韻を壊さずに、カミさんのドタバタもあっさりとしめる。
弟子たちは駄目だが師匠はふたりとも大したもんだよ。
きょう二回目の三本締め。
我等4人、余韻を楽しみつつ犀門へ。
ぼくは10日ぶりの酒、石川の「宗玄」の熱燗をおそるおそる口に含めば、馥郁たる香りがひろがり、喉を過ぎると甘やかな味わいがひろがる。
おおそれみよ!酒はウマいぞよ。
ぜんぶ一皿を四人で仲良くわけあう。
酒ヨシ、人ヨシ、話ヨシ、2010年代有終の美を飾るのでありました。
子どもの頃は、一冬餅で暮らすのでかなりたくさんついてもらって切るのも一仕事だったが、母や弟とワイワイ言いながら切るのは楽しかった。
あの頃は大きな物差しをあてて真っ直ぐに切ったが、今は適当に大きいのもあれば小さいのも曲がったのもありだ。
カルタに切っていくと切れっぱしが出るのを細かく切ってアラレに揚げてもらうのも楽しみだった。
ナマコに搗いてもらって薄く切って、これはかき餅、干して炙って食うのがお菓子の代わり。
雪が融けはじめる前に餅はカビが生えてくる。
こそげたり、水につけてできるだけ赤や青のカビを落として食うのだが、そのころにはもう餅に飽きてくるのだった。
きのうは恒例の新宿末廣亭の特別興行、「さん喬・権太楼二人会」。
長蛇の列ができて二階まで超満員のところを最前列のど真ん中、指定席番号A5、牛肉じゃないけれど最上級の席を確保していただいたNさんに(毎度のことながら)感謝のほかない。
5時、開口一番、り助「子ほめ」のあと権太楼が上がって、これもやや定番になりかかっている前座へのお小言があって、「プログラムには6時から新真打口上とあるが、それまで一時間どうしようと考えて、さん喬さんと落語をすることにしました」。
池袋の老人の暴走事故の話から、自分は運転は「自信をもって下手だといえる」から、今は運転しない、免許証を返納しようかと思っている、だけど若い頃はフエアレデイZのオープンカーをうならかせた、まいかい何もなしで更新することは出来なかった、などと笑い話をして、「代書屋」。
デレキショを借りに行くと、今朝まであったけど、おつけの実にしてしまった、とテンシキ。
(生年月日を大きな声で言ってくれといわれ)セイネンガッピ!も健在なり。
さん喬「締め込み」
はっつあんの機嫌が悪いのをカミさんが「また与太郎と喧嘩したのかい、あんな人と喧嘩してもしょうがないのに」という。
与太郎が喧嘩相手だったのか、いままで聴き逃していたのか。
二人ともあっさりと軽いジャブで場内を喜ばせて、新真打口上。
権之助(ほたる改め)と小志ん(喬の字改め)をまんなかに権太郎とさん喬がならび、こもごもに弟子たちを命名の由来も紹介して挨拶、権太楼が同時に昇進したなかでは、わさびが一歩抜きんでているけれど、二人は追いつくべく努力せよと訓戒を垂れる。
それと長生きすることが大事だ、長生きしていれば下手でもうまいように見えると現役噺家の名前をあげて権之助も含めてずっこけ。
権之助「居酒屋」
アルフイーの坂崎幸之助の追っかけ、それで「之助」を貰ったという。
奇しくも前夜枕元で聴いていた金馬の「居酒屋」の現代バージョン。
次つぎに放つギャグが、まったくまったく面白くない、話しぶりにもあるが内容も面白くない。
妙に上から目線というか、うまい人なんだみたいなしゃべくりも気になる。
小志ん「お化け長屋」
枕でわさびの悪口を言って、あれで笑いを取るつもりだとしたら、もうそれだけで落語家失格。
噺も聴いているのが苦痛。
弟子をかわいがるのはいいとしても、この企画はよくなかった。
ふたりとも落語家としてやっていけるのか、とても気になった。
ニックス・漫才
最前列で拝む豊満な肉体、圧巻でした。
そうだったんですか!まじにやられたら腹立つな。
小池百合子の築地騒動をからかっていたが、どうせなら桜を見る会でもやればいいのに。
二人あがって、リレー落語「文七元結」をやると権太楼、プログラムを見た時に予想した候補の一番手だ。
どっちが先にやるか、ジャンケン、いやお客様に決めてもらおう、和服姿の奥様が権ちゃんを先鋒に指名する。
登場人物の名前や年齢を打ち合わせして、吾妻橋をバトンタッチ地点とする。
権太楼の前半、すっからかんになって帰宅する大工の長兵衛、佐野槌の女将の毅然としてしかも温情溢れる対応、クライマックスの文七とのやり取り、鼈甲屋の主と番頭たちが佐野槌を割り出すところ、どこをとっても、必要にして欠くべからざる会話だけにそぎ落とし、しかも長兵衛の江戸っ子らしい人間の苦悩がまざまざと描かれる。
今まで接した多くの「文七元結」のなかでも飛びぬけてよかった。
バトンを受けたさん喬は、権太楼の残した余韻を壊さずに、カミさんのドタバタもあっさりとしめる。
弟子たちは駄目だが師匠はふたりとも大したもんだよ。
きょう二回目の三本締め。
我等4人、余韻を楽しみつつ犀門へ。
ぼくは10日ぶりの酒、石川の「宗玄」の熱燗をおそるおそる口に含めば、馥郁たる香りがひろがり、喉を過ぎると甘やかな味わいがひろがる。
おおそれみよ!酒はウマいぞよ。
酒ヨシ、人ヨシ、話ヨシ、2010年代有終の美を飾るのでありました。
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そらぽん
at 2019-12-30 14:51
x
おおそれみよ! 味が飛んできました~*
2020年の目玉はアベ退陣でした。。と したいです
2月の京都市長選で福山和人を れいわ+共産が推す
自公維立国 vs 共れ。 わかりやすい図 さぁどうえ
2020年の目玉はアベ退陣でした。。と したいです
2月の京都市長選で福山和人を れいわ+共産が推す
自公維立国 vs 共れ。 わかりやすい図 さぁどうえ
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saheizi-inokori at 2019-12-30 15:56
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hisako-baaba at 2019-12-30 16:06
落語もご馳走も、ただただ羨ましい!
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福
at 2019-12-30 16:44
x
10日ぶりの酒の味はいかがだったでしょう。「芝浜」の夫のような気分、おっと、あれは飲んじゃいないのか!
本年もお世話になりました。きれいなフォトと、街歩きの楽しさ、酒食の醍醐味、素晴らしいですね。
よいお年をお迎えください。
本年もお世話になりました。きれいなフォトと、街歩きの楽しさ、酒食の醍醐味、素晴らしいですね。
よいお年をお迎えください。
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saheizi-inokori at 2019-12-30 17:25
> hisako-baabaさん、すみません。
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saheizi-inokori at 2019-12-30 17:27
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j-garden-hirasato at 2019-12-31 08:14
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saheizi-inokori at 2019-12-31 10:01
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テイク25
at 2019-12-31 14:10
x
真打ち二人への辛口の評がいいですね。
落語家としてやっていけるのかというご心配も。
落語家としてやっていけるのかというご心配も。
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saheizi-inokori at 2019-12-31 14:40
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kanekatu at 2019-12-31 18:18
日々熱い記事を書いておられる、そのエネルギーはどこから来るのかと、(多分?)同年代の私にとっては驚異的としか思えません。
終り良ければ全て良しと10年代を締めて、来たる20年代に希望を持ちましょう。
どうぞお身体に気をつけて、良いお年を!
終り良ければ全て良しと10年代を締めて、来たる20年代に希望を持ちましょう。
どうぞお身体に気をつけて、良いお年を!
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saheizi-inokori at 2019-12-31 21:17
by saheizi-inokori
| 2019-12-30 13:33
| 落語・寄席
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Comments(12)