日本人にとっての不幸は? 「ロシア革命100年の謎」

夕べの天気予報が晴れだったから、ゆうべのうちに一回洗濯をして、朝は早起きして二回洗濯。
ありがたやありがたや。
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きのうの夕方は、パンを買いがてら都立大学まで行ったものの寒い雨が降るので、散歩にならず写真も撮れなかった。
ばっちゃのカフェにばっちゃが描いたらしい看板が出ていたけれど、寄りもせず節約、おとといちょっと使ったからね。
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さいしょは少しづつ楽しみながら読んでいた「ロシア革命100年の謎」、後半は亀山vs沼野の対話に引き込まれて夢中になって読んでしまった。
中身が濃く、どこを読んでも、そうか!と教えられることが多い。
(沼野)(独ソ戦について)ナチスドイツもスターリン時代のソ連も同じような恐ろしい全体主義国家と見てしまいがちな日本人にとっては見えなくなってしまっていますが、ロシア人にとって、ナチスドイツと戦って破ったというのは大変な栄光であり、全国民の誇りでもあった。ファシストを破って世界に平和をもたらしたのはソ連の手柄だと素朴に誇るロシア人は、今でも多いんです。ロシアでファシストという言葉がいまだに最悪の罵り言葉であり続けているというのもその名残でしょうね。ロシア人にとってヒトラーとスターリンは同じような悪ではまったくない。なにしろヒトラーという巨大な悪と戦ってそれを破ったのはスターリン率いるソ連だったわけですから、その点でソ連は偉大なる善であり、正義を体現するものなのです。それが愛国的なロシア人の認識でしょう。
(亀山)そこをアメリカはまったく理解していない。エマニュエル・トッドなんかは、そこのメンタリテイを理解することなく、今の経済制裁、ああいうものはだめだと言う。ナチスドイツを潰したソ連という存在の意味を最後まで考えないとだめということだね。
(沼野)それはある意味では、二十世紀最大と言っていいような人類への貢献でもあった。
今朝の朝日にもモスクワにあるスターリンの大粛清を象徴する建物の商業利用をめぐる動きを伝える中で「対ナチス勝利 評価する動き」にも触れている。
(亀山)行列という問題はソビエト社会主義=悪のシンボルイメージとして流布していくことがあったけれど、スターリン時代の行列と、雪どけ時代の行列と、80年代の行列では違うんじゃないかなという気がしてしかたない。だから一元化されたイメージというかステレオタイプ化されたイメージでソビエト社会がありありと見えてしまう場合と、別の言葉によってまた見えてくるソビエト社会の実質の部分もあるはずなんです。ロシアは季節の問題もあって、夏と冬の対比、季節の印象によっても国のイメージがずいぶん変わってしまう。

この話が始まる前に、根本は何が幸せなのかという問題だろうなと思っていた。(略)すでにもうお金というものが絶対的な価値を持たなくなりはじめた時代が来つつあると思うところがあるわけ。(略)
精神的な喜びのほうがはるかに金銭的なものを上回るみたいな、一定程度の富や喜びを經驗した後に目覚める世代が現れてきつつあるんじゃないか。ロシアの人たちの生活の水準は基本的に貧しいと思うんだよね。貧しいけれどもコンピューターはある。コンピューターから喜びやコミュニケーションを得る。もろもろの喜びが逆に云うとお金では買えないものに変わりつつある。アメリカのラストベルトたちの悲惨な、堕落とは言いたくないけど、その欲求不満ぶりを見るにつけ、ロシアの貧しい労働者たちが日々経験している喜びの質のほうがはるかに救いがあるんじゃないかと思ったりします。そうすると社会主義を經驗し、資本主義の今もなおかなりの貧しい状況にある人たちの生命のあり方がもう一回見直されてくるんじゃないですか。
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ロシア革命が二月でおわっていたら、あるいは十月で終わっていたら、またはレーニンがもうちょっと長生きしていたら、そんな仮定で思考実験「ロシア革命の続編」を書いてみたら?亀山はまんざらでもなさそうだ。
チャーチルは「ロシア人にとって最大の不幸はレーニンが生まれたこと。そして第二の不幸は彼が死んだことだ」といったそうだ。

まあ、あれだね、ほんとになんも勉強しないまま生きてきちゃいましたね。
今の日本人にとっての不幸はアベが総理大臣であることくらいは、勉強しなくてもわかるけれどね。
せんじつ「独ソ戦」という本を買ったのに続き、きのうは古本屋で「スターリン」という評伝を買いましたよ。

Commented by eblo at 2019-11-29 11:35
私は教育も学もないので良く分からないのですが。
本やテレビで知った程度の知識では、レーニンを悪者とはどうしても思えないんですよ。むしろ良い指導者だったと思えてしまいます。
スターリンを後継者にさせないために最後まで頑張ったという内容も読んだ記憶があるし。
銅像まで壊されて、何がそんなに悪かったのでしょう、教えてもらえませんか。
Commented by saheizi-inokori at 2019-11-29 11:46
> ebloさん、私もよくわかりません。
あれだけ大きな国で内戦を乗りきって革命をなしとげるためには暴力強権を振るうことは必須だったから、それが許せない人には悪い人なんでしょう。
こういう人たちについて単純に善悪で分けることは出来ないと思います。好き嫌いはあってもね。
Commented by 平名 at 2019-11-29 13:45 x
 私にはヒットラーもレーニンもスターリンも、どれ程悪かったか、よく分かりません。中ではスターリンが最悪の気がします。
 巡り合せの為か⁈ USAが巨大でUSOを付いて更に巨大化しただけ⁈ 大きすぎると自分のコントロールも不能に⁈ 何とか無事に明日へ、、
Commented by saheizi-inokori at 2019-11-29 15:04
> 平名さん、本書をお勧めします。
Commented by stanislowski at 2019-11-29 16:18
ドイツでもDDR時代がよかったという東ドイツ出身の人がいたりします。
お金はひとを変えちゃう。
わたしは、一般庶民は勉強しないと、安倍ボンクラさんが日本国の首相である不幸が分からないんじゃないかと思います。
Commented by saheizi-inokori at 2019-11-29 19:02
> stanislowskiさん、亀山さんの発言の意味がわからない人たちですね。

Commented by kanekatu at 2019-12-01 18:57
旧ソ連の国へ行くたびに、その国の現地ガイドにソ連時代と現在とではどちらが良いか?と訊くことにしていますが、意見は分かれています。ベラルーシの女性は、国籍はベラルーシだが心はソ連人だと言ってました。スターリンを批判したら、欠点はあるがとにかくナチスを倒した功績は大きいと。最後は、社会主義を外から見るのと中で暮らしたのとでは見方が違いますと言われてしまいました。ウクライナのソ連時代を知らない若いガイドは、ロシア占領地域に住んでいる人が羨ましいと。社会主義対する見方が私の感覚とは大きく違っているのを感じました。
Commented by saheizi-inokori at 2019-12-01 21:47
> kanekatuさん、本書でも、スターリン、プレジネフ時代のソ連の庶民がそれなりに満ち足りていたことが語られていました。
少なくとも新自由主義のお金がすべてという社会ではなかったのですね。
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by saheizi-inokori | 2019-11-29 10:51 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Comments(8)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori