池袋演芸場から「はじめ」で忘年会
2019年 11月 28日
幸兵衛さんに誘われて池袋演芸場に、12時開演だと思って行ったら、下席は二時開演。
じゃあ、と池袋時代に昼飯で世話になった「美松」でゆっくり昼飯、厨房を覗いてマスターに挨拶する。
久しぶりなので奮発して牡蠣フライ定食に麦とろをつけて、五穀米で。
値段は少し上がって1720円だが、内容からしてまったく文句なし。
この店や大塚の蕎麦屋など、池袋時代は昼飯天国だった。 ありがたいことに、雨が止んだので、立教大学周辺と構内を散歩した。
すぐ近くで働いていたのに、立教大学の門をくぐったことはなかった。 ちょうど昼休み、学生たちが屈託のない顔をして歩いていた。
大学には生協で下着を買う時くらいしか行かなかった僕は、いつももったいないことをしたと胸が痛むのだ。 大学から駅のほうにむかう道で、女子学生の二人連れと歩く格好になった。
私は彼氏ができないから結婚も出来ないと、明るい声で話す子に、どうして?こんなに可愛いのに、となんどもいう友人、いえいえ、と否定し続ける子、振りかえってみたくなったけれど、我慢した。 開口一番はあられ「二人旅」についで白浪「牛ほめ」
ぎん志「町内の若い衆」
会話のひとつひとつに力が入りすぎている。
「感心バカ」、なんでも感心する人のことをいうらしい。
菊生「権助魚」
「腹にねえ、嘘をつくのは得意中の得意」という権助に浮気のアリバイ工作を金でやらせるが間抜けだから、目刺や蒲鉾を隅田川で獲った魚だなどと言って全部ばれてしまう。
ばれても平気な権力者とは違うから、後が怖い。
間がよくて笑えた。 ニックス・漫才
21年も姉妹で漫才をしているそうだが、僕は久しぶりに見て、急に面白くなったと感じた。
なにかのきっかけをつかむと化けるってことがあるのだろう。
意味のない「そーでしたか」を相槌のように挟むのが、自分がやられたら、馬鹿にしやがってと思うが、漫才で聴くと妙に面白い。
歌武蔵・漫談
二千円の入場料で笑わせてもらおうという了見が甘い、笑うべく努力せよとか、何万円も払っている歌舞伎座の「なんちゃってセレブ・勘違いババア」などと毒舌は、相変わらず、又の名を松井秀喜というが、だいぶ膨れた顔になった元力士。
相撲界の、とくにモンゴル出身の横綱の悪口をヘイトまがいに喋って笑わせる。
レスリングまがいの「エルボー」や土俵入りのみっともなさ、など僕もそう思っているのに、相撲協会や(舞の海をのぞく)メデイアが問題にしないいから、会場は喜んで湧くのだ。
毒のある笑いがなければ寄席に来る甲斐がないというものだ。
伯楽「親子酒」
昭和14年生まれ、どこか悪いのかと心配するほど、暗い表情でよろよろ登場したが、「いだてん」の志ん生のカバン持ちをした思い出や師匠の先代馬生の話が、知っていることだが、リアリテイがあってぞくぞくするほど面白い。
馬生の酒の話から、「え~、せがれ、お前の酒は、人の嫌がることォ突っついては面白がっている悪い酒、俺も付き合うから禁酒!」とネタに入り、ひと呼吸「禁酒!、、禁酒といって守った人、、いませんね」と受けて、婆さんに酒をねだる会話に入って行く。
婆さんが(寒いなら)塩湯でもどうかととぼけると「金魚が目ェ回したんじゃないよ」。
この前池袋演芸場に来た時も小さんが「親子酒」をやって、それなりにウマイと思った(酒がウマそうではなかったが)けれど、伯楽はダンチに面白くて味がある。
枕も含めて、こういう高座を心から楽しめる自分が嬉しくなる。
お仲入りのあと、龍玉「鹿政談」
江戸名物、大阪名物を言い立てて、奈良の名物・鹿を誤って殺しても死刑になった由来から、実直な豆腐屋が、犬と間違えて鹿を殺してしまった噺。
人情家の奉行がなんとかして罪を減じてやろうと、奈良の生れではないのだろうなどと、誘導尋問をするが、正直者だから、三代奈良で育ったなどと本当のことを答える。
困った奉行は、鹿の遺骸を持って来させて、「これは犬だ」といい、居並ぶ部下や町役人たちにも(強引に)同意を求める。
皆が(喜んで)忖度するのに、鹿の守役(代官)だけが、肯んじない。
奉行は代官の鹿の餌代を横領した疑惑について触れて、それを徹底的に追及するぞと脅すと、代官たまらず、「イヌ」ですと謝る。
黒を白と言い、部下たちに忖度させるのが、奉行の保身ではなく弱い立場の男の命を救うためだったから、名裁きなのだよ、アベさん(寄席でもアベのことが頭を離れない僕は重症のアベノセイダーズだ)。
今松「はなむけ」
浪費家の弟がにっちもさっちもいかなくなって吝嗇な兄に無心に行く。
カミさんの入れ知恵で、かつて兄が北海道に行ったときに5円の『はなむけ」をあげたことを思い出させて、自分も旅に出るから、はなむけをくれというが、にべもなく断られる。
弟は腹立ちまぎれに兄の鼻先にブッと屁をして「たびだちにおならひとつか置き土産」と詠むと、兄は「あまりの臭さにはなむけもなし」と応じる。
それだけの短い噺、今松節を楽しむのだ。
仙三郎社中・太神楽
傘、撥、五階茶碗、土瓶、盆、、いつもの曲芸をいつものように楽しむ。
白酒「百川」
マクラは、いつものように、あまり面白くないが、ネタに入ると断然面白くなる。
「ヒャクベチデガス(百兵衛です)」が、もう、おかしいのだ。
百兵衛を隣町からの「掛け合い人」と勘違いする河岸の若い者三様、訳知り顔の兄貴分、それに追随する男、素直に疑問を呈す男のテンポのいいやり取りが、楽しい。
笑わせるためにこれでもかこれでもかとギャグを連発する噺家もいるが、白酒は則を越えない。
それで爆笑させる、そこが好きなのだ。 寄席が跳ねて、居残り会のひと月早い忘年会。
会場はご存知「はじめ」、落語を聴いた3人に会場直行の4人を交え、いつもの通り、しこたま飲んで食べて話して笑った。
10時頃に解散と思いきや、歌を歌おうと言い出す人がいて、それに乗る人がいて、明日健康診断があるという一人を除いて6人で(「はじめ」の上にある)カラオケ酒場で大いに盛り上がるのであった。
無事帰れるのかと心配の遠方の人もいたが、今朝になって、無事帰宅できたというメールがあって一安心。
現役の方もいらして、皆さん、元気だなあ。
じゃあ、と池袋時代に昼飯で世話になった「美松」でゆっくり昼飯、厨房を覗いてマスターに挨拶する。
久しぶりなので奮発して牡蠣フライ定食に麦とろをつけて、五穀米で。
この店や大塚の蕎麦屋など、池袋時代は昼飯天国だった。
すぐ近くで働いていたのに、立教大学の門をくぐったことはなかった。
大学には生協で下着を買う時くらいしか行かなかった僕は、いつももったいないことをしたと胸が痛むのだ。
私は彼氏ができないから結婚も出来ないと、明るい声で話す子に、どうして?こんなに可愛いのに、となんどもいう友人、いえいえ、と否定し続ける子、振りかえってみたくなったけれど、我慢した。
ぎん志「町内の若い衆」
会話のひとつひとつに力が入りすぎている。
「感心バカ」、なんでも感心する人のことをいうらしい。
菊生「権助魚」
「腹にねえ、嘘をつくのは得意中の得意」という権助に浮気のアリバイ工作を金でやらせるが間抜けだから、目刺や蒲鉾を隅田川で獲った魚だなどと言って全部ばれてしまう。
ばれても平気な権力者とは違うから、後が怖い。
間がよくて笑えた。
21年も姉妹で漫才をしているそうだが、僕は久しぶりに見て、急に面白くなったと感じた。
なにかのきっかけをつかむと化けるってことがあるのだろう。
意味のない「そーでしたか」を相槌のように挟むのが、自分がやられたら、馬鹿にしやがってと思うが、漫才で聴くと妙に面白い。
歌武蔵・漫談
二千円の入場料で笑わせてもらおうという了見が甘い、笑うべく努力せよとか、何万円も払っている歌舞伎座の「なんちゃってセレブ・勘違いババア」などと毒舌は、相変わらず、又の名を松井秀喜というが、だいぶ膨れた顔になった元力士。
相撲界の、とくにモンゴル出身の横綱の悪口をヘイトまがいに喋って笑わせる。
レスリングまがいの「エルボー」や土俵入りのみっともなさ、など僕もそう思っているのに、相撲協会や(舞の海をのぞく)メデイアが問題にしないいから、会場は喜んで湧くのだ。
毒のある笑いがなければ寄席に来る甲斐がないというものだ。
伯楽「親子酒」
昭和14年生まれ、どこか悪いのかと心配するほど、暗い表情でよろよろ登場したが、「いだてん」の志ん生のカバン持ちをした思い出や師匠の先代馬生の話が、知っていることだが、リアリテイがあってぞくぞくするほど面白い。
馬生の酒の話から、「え~、せがれ、お前の酒は、人の嫌がることォ突っついては面白がっている悪い酒、俺も付き合うから禁酒!」とネタに入り、ひと呼吸「禁酒!、、禁酒といって守った人、、いませんね」と受けて、婆さんに酒をねだる会話に入って行く。
婆さんが(寒いなら)塩湯でもどうかととぼけると「金魚が目ェ回したんじゃないよ」。
この前池袋演芸場に来た時も小さんが「親子酒」をやって、それなりにウマイと思った(酒がウマそうではなかったが)けれど、伯楽はダンチに面白くて味がある。
枕も含めて、こういう高座を心から楽しめる自分が嬉しくなる。
江戸名物、大阪名物を言い立てて、奈良の名物・鹿を誤って殺しても死刑になった由来から、実直な豆腐屋が、犬と間違えて鹿を殺してしまった噺。
人情家の奉行がなんとかして罪を減じてやろうと、奈良の生れではないのだろうなどと、誘導尋問をするが、正直者だから、三代奈良で育ったなどと本当のことを答える。
困った奉行は、鹿の遺骸を持って来させて、「これは犬だ」といい、居並ぶ部下や町役人たちにも(強引に)同意を求める。
皆が(喜んで)忖度するのに、鹿の守役(代官)だけが、肯んじない。
奉行は代官の鹿の餌代を横領した疑惑について触れて、それを徹底的に追及するぞと脅すと、代官たまらず、「イヌ」ですと謝る。
黒を白と言い、部下たちに忖度させるのが、奉行の保身ではなく弱い立場の男の命を救うためだったから、名裁きなのだよ、アベさん(寄席でもアベのことが頭を離れない僕は重症のアベノセイダーズだ)。
今松「はなむけ」
浪費家の弟がにっちもさっちもいかなくなって吝嗇な兄に無心に行く。
カミさんの入れ知恵で、かつて兄が北海道に行ったときに5円の『はなむけ」をあげたことを思い出させて、自分も旅に出るから、はなむけをくれというが、にべもなく断られる。
弟は腹立ちまぎれに兄の鼻先にブッと屁をして「たびだちにおならひとつか置き土産」と詠むと、兄は「あまりの臭さにはなむけもなし」と応じる。
それだけの短い噺、今松節を楽しむのだ。
仙三郎社中・太神楽
傘、撥、五階茶碗、土瓶、盆、、いつもの曲芸をいつものように楽しむ。
白酒「百川」
マクラは、いつものように、あまり面白くないが、ネタに入ると断然面白くなる。
「ヒャクベチデガス(百兵衛です)」が、もう、おかしいのだ。
百兵衛を隣町からの「掛け合い人」と勘違いする河岸の若い者三様、訳知り顔の兄貴分、それに追随する男、素直に疑問を呈す男のテンポのいいやり取りが、楽しい。
笑わせるためにこれでもかこれでもかとギャグを連発する噺家もいるが、白酒は則を越えない。
それで爆笑させる、そこが好きなのだ。
会場はご存知「はじめ」、落語を聴いた3人に会場直行の4人を交え、いつもの通り、しこたま飲んで食べて話して笑った。
10時頃に解散と思いきや、歌を歌おうと言い出す人がいて、それに乗る人がいて、明日健康診断があるという一人を除いて6人で(「はじめ」の上にある)カラオケ酒場で大いに盛り上がるのであった。
無事帰れるのかと心配の遠方の人もいたが、今朝になって、無事帰宅できたというメールがあって一安心。
現役の方もいらして、皆さん、元気だなあ。
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たま
at 2019-11-29 04:13
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池袋駅近くに住む娘夫婦が4歳にならんとする孫に野球を教え、長嶋ばりに立教高校・大学に入れたら…と言いふらしつつ、その娘も今日(28日)が30代最後の誕生日だったりして…。
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ikuohasegawa at 2019-11-29 05:51
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福
at 2019-11-29 06:29
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j-garden-hirasato at 2019-11-29 06:38
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at 2019-11-29 06:40
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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saheizi-inokori at 2019-11-29 08:25
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saheizi-inokori at 2019-11-29 08:25
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saheizi-inokori at 2019-11-29 08:54
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saheizi-inokori at 2019-11-29 08:55
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saheizi-inokori at 2019-11-29 08:56
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kogotokoubei at 2019-11-29 16:19
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saheizi-inokori at 2019-11-29 19:03
> kogotokoubeiさん、なんだか皆さん、だんだん酒に強くなってきたような感じがしますね。
by saheizi-inokori
| 2019-11-28 12:55
| 落語・寄席
|
Comments(12)