今こそ求められる彼女たちの闘い 「女たちのテロル」(ブレイディみかこ)
2019年 11月 18日
歩いてみたら、二人の顔なじみと一人の初めての人と話が出来た。
どうも食べ過ぎじゃないかといったら、そうなんです、と言う。
これは親の責任だな。
映画「未来を花束にして」にも描かれる、婦人参政権獲得の戦いに生涯をささげたエミリー・ワイルディング・デイヴィソン(1872 – 1913)は、ダービーで疾走する国王の馬の前に、「スタスタと、異様なほど冷静にコースに歩き出て」死んだ。
生前、彼女の過激な運動に反発していたWSPU(女性社会連合)の幹部たちは彼女を殉教者にすべく、壮麗な葬式行列を行った。
白いドレスで月桂樹のリースを持った少女たちのセクション、紫のアイリスを手に黒いドレスを着たWSPUのメンバーたちのセクション、紫のドレスに赤いシャクヤクを持った女性たちのセクション、白いドレスにユリを持った女性たちのセクション、、、バナーやリースで飾られた馬車、ブラスバンド、エミリーの棺を乗せた四頭立ての馬車、、、五千人以上の女性たちが葬列に参加し、五万人以上のロンドン市民がそれを見守った。さらに労働党や労働組合員の代表、社会主義者なども大勢詰めかけた。
落語「片棒」に語られる放蕩息子の企むオヤジの華麗な葬儀に似て、しかし「死せる者生けるものを動かした」意味ある豪勢な葬儀だ。
「言葉より行動を」と墓石に刻まれたエミリーの死は、
フェミニストの枠にとどまらず、様々の社会問題に取り組んでいる人々にインスピレーションを与え続けている。彼女の葬儀に労働党や組合の男性たちが数多く参加した時代から現代まで、それは変わっていない。と筆者は書く。
「個人主義的または新自由主義的な闘い方」から「私も」「私も」と連帯を呼びかける「ソーシャルな闘い方」にシフトしているフェミニズムという見方(モイラ・ドネガン)があるなかで、社会主義フェミニストとしてのエミリーの現代的な意味を指摘する。
エミリーは、搾取される階級の中にも上下があることを知っていた。そしてこの下側の者たちーつまり女性たちを真に包摂しなければ労働運動はけっして成功しないとわかっていたのだ。と。
この考え方は、百年前を髣髴とさせる経済格差や新たな労働運動のあり方が模索される現代に、再び切実なコンセプトとして浮かび上がってきていないだろうか。
エミリーの死の五年後、第一次世界大戦終戦の年、1918年に英国で初めて女性参政権(30歳以上)が認められる。
17人の女性が国会議員に立候補し、一人が当選する。
その一人こそ、アイルランドのダブリンから出馬した、イースター蜂起の幹部として死刑(英国は降伏した捕虜の幹部を卑劣にも死刑にした)を宣告され、女性なるがゆえに無期に減刑され、そのご恩赦となっていたマルケヴィッチ伯爵夫人だった。
彼女は当選したが、英国王に忠誠を誓うのを良しとせず、一度も登院しなかった。
「虐待も空腹も体の痛みも、このファックな人生」とか「マテリアル・ババア」「あーもう、やってられね」、、現代の若者言葉が飛び交う本書に核心をついて描かれたもう二人についてはまた書くかもしれない。
時の政権が関東大震災後の世論対策のために朝鮮人の虐殺を誘導黙認し、金子文子や朴烈に、無実でありながら大逆罪で死刑を宣告し、つぎには天皇の恩寵によって恩赦にするから転向せよと迫った個所を読んでいて、
法治国家とは言えないようなこの時代、基本的人権のことなど考えもしない権力者たちが、こういう非道・残虐なことを、国民に真実を(いまだに)知らせることもなくやってしまうならば、百年後の今(やはり法治国家というには疑念がある)だって、日本国憲法に定める基本的人権の価値を一顧だにしない政権の連中も同じようなことをしても不思議はないし、しているはずだ。と、つくづく思った。
こちらも現状の知識としてわかりやすいかと思いますので、シェアさせていただきます。夜分に連投失礼いたします。https://t.co/3CD4W4hM6P
— 日米貿易協定反対 (@nacodes___) November 16, 2019
そして文化認識論と云うサイトもいろいろ教えてくれてありがたいです。中身を隠してこそこそと通してしまおうとするアベ政権の卑劣さを許しておいていい訳がない・・・と怒っていますが、しかしどうやって?と考えるとへなへなへな。「言葉より行動を」の言葉が耳に痛いです。
周庭 Agnes Chow TingのTwitterが伝える香港=
デモ付近、若い看護士や医者チームも後ろ手に縛られ
路上に拘束の写真。 各国はどこも救いにいかない
政府に逆らったらこう。他人事じゃないようちの若者よ
イイですねえ。
自分たちも歴史上の権力者たちが犯した犯罪と同じような犯罪を犯していること、そのリアリティを国民の目から隠したいという(ときに潜在的な)衝動もあるのではないでしょうか。