女性が引っ張ったアイルランドの独立 「女たちのテロル」(ブレイディみかこ)
2019年 11月 17日
40年以上も前にフランスで買ったカシミヤのオーバーを着なくなって十年、さすがにカミさんが「どうする?」。
袖は擦り切れているし、あの頃凝っていたグリーンのダブダブ。
裾が引きづるようだったので、店の人は「このまま着たらカッコイイ」と言ったけど上げてもらった。
ダブダブの緑色のオーバーを羽織るようにして、ちょっと派手なマフラーなんか垂らして歩いていた。
あの頃は髪もふさふさして、毎月パーマをかけたりしていたから、今のように帽子は被らなかった。
「どうする?」はもう三年越しかもしれない。
着るかもしれない、と思いつつ、いちどなど袖を通してみたが、けっきょくダウンとかジャンパーで出かけてしまう。
寄席、映画、能楽堂、居酒屋、、今行くところにはコートをかける場所がないから、ちょっとしたバッグくらいのカサと重さのコートを膝に抱いていると疲れもする。
音楽ホールなどでクロークに預けると帰るときに面倒だ。 中学生のとき、会ったこともないイトコの着た大きなオーバーを、母が七分丈のコートに作り替えてくれたのを、「東京のお兄ちゃんの着たコートだ」と威張って着て歩いた。
はあちゃんが着ないかなと、つぶやいたら「無理でしょ」。
というわけで、サイナラさいなら!
きのうは、朝からよく働いて、午後は読書。
おととい、アキレタメダカをやったりして歩きすぎたので、サンチの散歩の外は(いい天気なのに)引きこもっていた。 アイルランド独立のために戦った市民軍のリーダー、ジェ―ムズ・コノリーをアメリカから呼び寄せたのは、ヘレナ・モノリ―という舞台女優でもありダブリンのカルチャーシーンの中心に立つセレブリテイであった女性運動家だった。
ヘレナは「アイルランドの女性たち」という新聞を編集していたが、ファッションやインテリア、料理などの記事を掲載する中で、英国風でなくアイルランドの伝統に立ち返ることを啓蒙し、英国の統治に対する痛烈な皮肉や諷刺を盛り込んでいた。
「若い男性たちが買う女性の新聞」として、アイルランドの若い男性たちに革命をアジっていたのだ。
ヘレナとマルキエビッチ伯爵夫人とコノリ―の三人が同志の絆で結ばれており、射撃の名人である伯爵夫人にみこまれた”リケジョスナイパー”・数学教師・マーガレットが本書の主人公の一人だ。
貧困家庭に生まれ、生粋の労働者階級として育ったコノリーは、当時の「ケルテイック・リバイバル」と呼ばれるアイルランド文芸復興の流れに乗ったナショナリスト政党のシン・フェインとは一線を画した。
民族主義者たちは、往々にして自分たちも貧者から血を吸い上げているエスタブリッシュメントであることが多かったのだ。
つまり、コノリーの同志としてアイルランド独立運動を支えたのは女性だった。 一方、朝鮮で祖母に虐待されて、13歳のときに自殺しようとして、とつぜん頭上で鳴き始めた油蝉によって、捨てようとしたこの世界の美しさに目覚めて、無国籍のまま、自分たちを苦しめている人たちに「復讐」してやろうと生き始めた金子文子は、紆余曲折を経て東京で苦学していた。
その頃、つきあった社会主義者について、文子は (熟柿、幸せなり)
もう一人の主人公、赤毛のモナ・リザ、武闘派サフラジェットのなかでもとくに過激な武闘派として名を馳せていた「マッド・エミリー」は刑務所でハンガーストライキに入り、体を押さえつけられ強制的に口をこじ開けられ、器具や管を突っ込まれて望みもしない液体を身体の中に入れられるような体験をして、「死んでもいい」と覚悟を決めていた。
三人のテロリストの過激な真率な生き方が綾なして燃え上がるようだ。
日本でも田村智子や森ゆうこなどが、頼朝なき現在、奢る平家の清盛シンゾウを追いつめている。
男性諸君、しっかりついていくのだぞ。
残りを今日中に読めるだろうか。
袖は擦り切れているし、あの頃凝っていたグリーンのダブダブ。
裾が引きづるようだったので、店の人は「このまま着たらカッコイイ」と言ったけど上げてもらった。
ダブダブの緑色のオーバーを羽織るようにして、ちょっと派手なマフラーなんか垂らして歩いていた。
あの頃は髪もふさふさして、毎月パーマをかけたりしていたから、今のように帽子は被らなかった。
「どうする?」はもう三年越しかもしれない。
着るかもしれない、と思いつつ、いちどなど袖を通してみたが、けっきょくダウンとかジャンパーで出かけてしまう。
寄席、映画、能楽堂、居酒屋、、今行くところにはコートをかける場所がないから、ちょっとしたバッグくらいのカサと重さのコートを膝に抱いていると疲れもする。
音楽ホールなどでクロークに預けると帰るときに面倒だ。
はあちゃんが着ないかなと、つぶやいたら「無理でしょ」。
というわけで、サイナラさいなら!
おととい、アキレタメダカをやったりして歩きすぎたので、サンチの散歩の外は(いい天気なのに)引きこもっていた。
ヘレナは「アイルランドの女性たち」という新聞を編集していたが、ファッションやインテリア、料理などの記事を掲載する中で、英国風でなくアイルランドの伝統に立ち返ることを啓蒙し、英国の統治に対する痛烈な皮肉や諷刺を盛り込んでいた。
「若い男性たちが買う女性の新聞」として、アイルランドの若い男性たちに革命をアジっていたのだ。
ヘレナとマルキエビッチ伯爵夫人とコノリ―の三人が同志の絆で結ばれており、射撃の名人である伯爵夫人にみこまれた”リケジョスナイパー”・数学教師・マーガレットが本書の主人公の一人だ。
貧困家庭に生まれ、生粋の労働者階級として育ったコノリーは、当時の「ケルテイック・リバイバル」と呼ばれるアイルランド文芸復興の流れに乗ったナショナリスト政党のシン・フェインとは一線を画した。
民族主義者たちは、往々にして自分たちも貧者から血を吸い上げているエスタブリッシュメントであることが多かったのだ。
つまり、コノリーの同志としてアイルランド独立運動を支えたのは女性だった。
その頃、つきあった社会主義者について、文子は
社会主義者たちが「体制を破壊して新たな理想社会をつくる」と言っているわりには、現在の体制のなかにある世間的な価値観で「出世する」とか「有名になる」ことを重要視しているように見えた。それでは自分から体制にはまり込んでいっているのと同じことなのに、いったいこの人たちは本気で何かを壊す気などあるのだろうかと思った。そして、「犬ころ」という詩を読んで「ある力強い感動が私の全生命を高くあげていた」感動にうたれて、その作者である朝鮮人・朴烈(パクヨル)とテロルへの道行をたどりはじめる。
もう一人の主人公、赤毛のモナ・リザ、武闘派サフラジェットのなかでもとくに過激な武闘派として名を馳せていた「マッド・エミリー」は刑務所でハンガーストライキに入り、体を押さえつけられ強制的に口をこじ開けられ、器具や管を突っ込まれて望みもしない液体を身体の中に入れられるような体験をして、「死んでもいい」と覚悟を決めていた。
三人のテロリストの過激な真率な生き方が綾なして燃え上がるようだ。
日本でも田村智子や森ゆうこなどが、頼朝なき現在、奢る平家の清盛シンゾウを追いつめている。
男性諸君、しっかりついていくのだぞ。
残りを今日中に読めるだろうか。
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ikuohasegawa at 2019-11-17 15:14
おおっ、美味そうな熟柿。
我は岐阜の子「富有柿をもて」
我は岐阜の子「富有柿をもて」
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saheizi-inokori at 2019-11-17 17:30
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そらぽん
at 2019-11-17 23:18
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「ダブダブの緑色のオーバーを羽織るようにして、
ちょっと派手なマフラーなんか垂らして歩いていた」
以前だとはいえオシャレ~ 緑色ってとこもすごいわ
日米FTAの件、佐平次(@saheiziinokori)で読ませて頂き
コレは惨い条約。国民に知らせず発進とは アベ辞めろ!!
ちょっと派手なマフラーなんか垂らして歩いていた」
以前だとはいえオシャレ~ 緑色ってとこもすごいわ
日米FTAの件、佐平次(@saheiziinokori)で読ませて頂き
コレは惨い条約。国民に知らせず発進とは アベ辞めろ!!
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j-garden-hirasato at 2019-11-18 05:37
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テイク25
at 2019-11-18 09:35
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この表紙、いいですね。ブレイディみかこさんの本は読もう読みたいと思いながら未だ読めていません。book.asahi.comの好書好日という欄にあったインタビューで「パンクな文体で腐った政治を撃つ豪速球投手。」と紹介にも興味を持ちました。
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saheizi-inokori at 2019-11-18 10:26
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saheizi-inokori at 2019-11-18 10:29
> j-garden-hirasatoさん、いろんな思い出があるだけに、ね。
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saheizi-inokori at 2019-11-18 10:30
> テイク25さん、そうそう、パンチの利いた文章でぐいぐい核心をついていきます。
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平名
at 2019-11-24 10:54
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色々と有るが食べるのが基本ですねぇ、、 柿おいしそうですね、、 私は冬柿が好きですが熊が出て柿の木を切る様に行政の指導が出て切っていたら熊に襲われた事件も出ました⁈山に木の実があまりなく町は過疎化 変な時代に、、皆生きるに必死⁉
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saheizi-inokori at 2019-11-24 12:18
by saheizi-inokori
| 2019-11-17 12:46
| 今週の1冊、又は2・3冊
|
Comments(10)