歯科道場から下北沢へ

末期の歯周病は、抜かなくちゃいけないのか、おずおずと尋ねると「抜くか抜かぬかは治療してみて、、抜かないで済むこともあるし、抜くこともあります」と先生。
待合室に入るとお茶をご馳走してくれた歯医者なんて初めてだ。
歯科道場から下北沢へ_e0016828_09390392.jpg
パノラマのレントゲン写真を見せながら、「これは全体を掴み、相互の歯の関係や状態をみます。黒いところはなにも無いこと、この白いところはあること、治療して薬が詰まっている個所」と説明しながら治療の必要な個所を指摘される。
一箇所づつ、かみ合わせをチエックしていく。
来週まで、患者のやることはこれ以上ないというまでひたすら歯を磨くこと。
といいながら、どういう歯ブラシでどういう磨き方がいいか、については「自分で工夫するしかない。人のやることを真似るのではなく自分のスタイルを作り上げるのです」と言われる。
理想の歯ブラシ、なんて理想の歯がない以上はありえない、と。
でも「歯を磨くのか、歯茎をマッサージするのか」という質問には「歯だけを磨きなさい」と明快。
会計のとき、台の上に歯ブラシが並んでいて「歯ブラシ プロスペック アダルト ふつう の使用上の注意」というチラシがおいてあるではないか。
これを薦めなかった真意を推し量りつつも、ついつい安易に(ナイショで)歯ブラシを一本とチラシを一枚求める。
歯磨剤を使わない、それは歯ブラシの毛先を荒らして、歯垢を除去できなくする。
ブラシを立てて押し付けることで歯垢がとれるのだから、こすらない、磨かない。
歯ブラシで歯垢を浮かしては水で流し去る、その繰り返しを。

何だか、カンニングしたようだが、当面これで「工夫」してみよう。
歯科道場から下北沢へ_e0016828_09342980.jpg
食生活など、なにも注意事項はないというので、くる時目をつけておいた、インドカレーの店で昼食をとる。
12時予約で、前の患者と入れ替わりで僕が入って、一時間たっぷり診てくださって、出る時には次の患者が向かいの診察室でスタンバイしていた。
先生はいくら趣味だとしてもご飯を食べないでいいのか。
歯の治療に来たことは確かだが、ちょっと道場に入門したような気分、歯を直すのは手段であって、、みたいな。
歯科道場から下北沢へ_e0016828_09335307.jpg
午後から、冬一番も予想していたので着てきたアノラックをトートの中に押し込むようなポカポカ日和、ひとまず抜歯を免れた安堵感も手伝って、久しぶりの下北沢を歩く。
駅が変わって初めてだが、
歯科道場から下北沢へ_e0016828_09323478.jpg
古着屋に古道具、カフェや食堂、店の感じは変わらないようで、、よくみると、ふくよかさんに、面白いヤカンがあるよと紹介してあげたセンスのいい古道具屋がなくなって、カフェになっているのが、微妙な変化を象徴している。
歯科道場から下北沢へ_e0016828_09321892.jpg
古本屋の一軒に入った。
土地柄で演劇とか文学関係の本が多く、食指をそそられるものもあるが、なんせ図書館から借りた本が待っている。
「こういうの、時間があれば読みたいんだけどなあ」二人連れの男の方がそう言っている。
万国共通の本を読まない言い訳だ。
歯科道場から下北沢へ_e0016828_09315911.jpg
というわけで、隣のカフエに(エレベーターで)上がって、ブレイディみかこの「女たちのテロル」を読むことにした。
歯科道場から下北沢へ_e0016828_10214950.jpg
『百年前の彼女たちから、百年後を生きるあなたへ』とある。
金子文江、エミリー・ディヴィソン、マーガレット・スキニダー。
百年前に自立して、差別の日本に対して、女性参政権のために、アイルランドの独立のためにテロリストたることを選んだ三人の女性の物語を交互に語っていく。
過去の男としての卑怯なふるまいを咎めれられながら読む気持ちになる。
歯科道場から下北沢へ_e0016828_09314045.jpg
夕方、バスで帰ると道の向うの工事中の電波塔が巨大な十字架に見えた。

Commented by そらぽん at 2019-11-15 16:33 x
この医師で全てオーライの感が満々です 読者の勘! 
ステンドグラスが素敵、福音が聞こえる道場ですね

今回、NHKの桜報道に勢いがありおかしいと思った.. 

「自民立憲民主、国民民主3党国対委員長は13日会談し
 日米貿易協定承認案を19日衆院本会議で採決で合意」
桜を目くらましに? 立憲民主なにしてんのよ 怖ろし過ぎ 
Commented by saheizi-inokori at 2019-11-15 16:36
> そらぽんさん、そういう見方もありますが、アベを倒せば!
Commented by そらぽん at 2019-11-15 16:43 x
そっか そうですね

アベ 辞めろ! 
海外でもサクラ報道されはじめましたね
アベ 辞めろ~!!
  
 
Commented by unburro at 2019-11-15 18:44
saheiziさんの読書の守備範囲の広さには、
いつも唖然とさせられます。
頭も心も、柔らかい!
日本の男性としては、桁外れに凄いことです。

その上、眼も身体も丈夫でなくては、
これだけの読書量をこなせない…超人的ですね!
私など、還暦を過ぎたばかりなのに、最近めっきり文字情報に
弱くなりました。すぐ眠たくなってしまいます…(泣)
(自分の文章を、読み書きしていても、眠くなります…)

これで、歯が健康になれば、極超人!
Commented by saheizi-inokori at 2019-11-15 19:06
> そらぽんさん、恥を知らない人はしぶといけれど、ね。
Commented by saheizi-inokori at 2019-11-15 19:12
> unburroさん、私も読書量がめっきり減ってきました。
面白くないことが多くなりました。
以前はつまらないと思っても読み続けていると、興味が出てきたのですが、今は逆に面白いかと思っても、途中でつまらなくなって止めてしまうのです。
努力しないで読める本ばかり読むのも哀しいし、、。
Commented by tona at 2019-11-15 21:03 x
歯の磨き方がとてもとても難しいですね。
果たして佐平次さん、どうやっているのでしょう。
想像しておかしくなってしまいました。
早く改善するといいですね。お大事に。
画像認証が正しくないと出てしまうので3回目にいきましたら、最初のも全部いっていたのですね。すみません。
Commented by saheizi-inokori at 2019-11-15 22:17
> tonaさん、悪戦苦闘、とまではいきませんがいろいろやってます。
気のせいか、きようは調子がよかったです。
Commented by hisako-baaba at 2019-11-15 22:22
理想の歯ブラシなんて無い、素敵な先生。・・・で、理想に近いのをお求めになって歯を残す作戦、頑張ってください。
歯の多くを失ってしまった私は深刻な思いで歯磨き頑張っています。
一番下の画像、素敵な夕景と思ったら、電波塔が不気味な巨人に見えてしまいました。
安倍やめろ!今度こそ!
Commented by doremi730 at 2019-11-15 23:21
>「歯だけを磨きなさい」と明快
そうなんですか~!
歯茎のマッサージが大事なんだと勘違いしてました。。
Commented by fusk-en25 at 2019-11-16 05:17
新婚の時(1971年ですから。あれえ、計算したら50年前に近かった)
東松原に住んでいて。ビンボーだったので。
歩いて下北沢に行って。その当時ちっこいアメ横みたいな
バラックのような市場がまだありましたね。
おしゃれな街になりつつあった時代でしたが。

Commented by at 2019-11-16 06:30 x
管理人様の召しあがるものには、脂っこいものがありますね。自分の周囲の年寄りは、みな敬遠・・・いや、100歳を超えて生きた祖母は、生前天麩羅が好物でした!

Commented by j-garden-hirasato at 2019-11-16 07:04
確かに、
巨大な十字架ですね。
ちょっと太いけど(笑)。
Commented by saheizi-inokori at 2019-11-16 10:20
> j-garden-hirasatoさん、十字架か巨人か、夕陽を背負ってあるいてました。
Commented by saheizi-inokori at 2019-11-16 10:22
> hisako-baabaさん、信頼できそうな先生に会うと症状が軽減するような気持になるから不思議、、でもないか、それが医療なのかな。
巨人or十字架、こっちに向かって歩いてくると思ったら、こっちが歩いていたのでした。
Commented by saheizi-inokori at 2019-11-16 10:29
> doremi730さん、そういう話が多いですね。
先生いわく、人の話を鵜呑みにするな。
歯だけを、というのも私にあわせて言ってるのかも。
Commented by saheizi-inokori at 2019-11-16 10:41
> fusk-en25さん、私は学生時代(61~65)、東松原の叔父の家に栄養補給に行ったり、下北沢のクリーニング屋の家庭教師になったり、池の上のバーで朝方まで飲んで井の頭線を歩いて帰ったり懐かしいところです。
そのわりに、池の上のバーのママに「市場のようなところ」のおでん屋に連れて行ってもらうくらいしか下北のことは知らなかったのです。
現役最後の頃、下北沢のマッサージの先生のところに週一で通って、昼飯を食いながら下北を歩きました。
Commented by saheizi-inokori at 2019-11-16 10:45
> 福さん、そうですか、そう見えるかなあ、自分ではさっぱり系だと思っていましたが。
たしかにステーキとか天ぷら(軽く揚げたもの)も好きです。
脂は好きだけど、脂っこいのは苦手ということかな。
亡父はラードだけを炒めて白いご飯と一緒に弁当のおかずにしていた由、気持ち悪いですね。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2019-11-15 10:40 | こんなところがあったよ | Comments(18)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori