我が悔いを彷徨わせる舞

きのうは、おそるおそるバスやエスカレーターにエレベーターを利用して国立能楽堂へ。
狂言「察化」

シテ・太郎冠者・丸石やすし アド・主・松本薫 アド・察化・網谷正美

主は、自分が幹事になった連歌の会の宗匠になってもらおうと都に住む叔父さんを連れて来てくれと太郎冠者に命じる。
へへえ~、エライことを頼まれちゃったなあ、でも都に出るのは久しぶり、楽しんでこようっと。
うきうき、都について、こりゃしまった!叔父さんの貌も住所も聴いてこなんだ。
「おじさ~ん」「おじさ~ん」、物売りじゃないんだから。
それを見ていた見乞いの察化というちったあ知られたスッパ・詐欺師だ。
もしもし、俺がその叔父さんだよ、オレオレ詐欺の元祖だ。
詐欺師を連れ帰るが、主はこれが有名な詐欺師であることを知っていて(なぜだろう)、ふんじばろうという太郎冠者を制して、ああいうのを怒らせるとあとが面倒だから、適当にもてなして帰そう。
太郎冠者は、すっかり態度を変えて、「スッパ!」と呼びつけ、「あとが面倒だからもてなしてやる」とぜんぶしゃべっちゃう。
もてなしを任された太郎冠者の天然ボケにさしものスッパもお手上げ、見かねた主がお前は俺の真似をしておれというと、真似なくてもいいセリフからそれを叱責・折檻まで真似(察化に対して)して、もうしっちゃかめっちゃか。

落語の与太郎やら時次郎やら定吉やらが、ぞろぞろ頭の中に出てくる。
昔々の人たちと同じ笑いを笑ってる感。
そのせいもあったか、丸石の表情豊かで滑稽な演技が現代のコントを見るようで面白かった。
我が悔いを彷徨わせる舞_e0016828_10380922.jpg
(開演前、ロビーで)

能「梅枝」
我が悔いを彷徨わせる舞_e0016828_10375102.jpg
楽人同士の争いで殺された夫・富士を思い嘆き、形見の太鼓を叩き暮らしていたが、死んでしまう。
死んでもなお、夫が恋しく、その死を受け入れられず、身延山の僧の前で夫の舞衣と烏兜をつけて男装の幽霊となって、雅楽の舞を舞う。
僧の経によって安らぎを得るのでもなく、嘆きつつ消えていくのだ。
恋する妻の業の深さということなのか。
後シテの紗に楽器の絵を散らした長絹が美しかった
つけている面(深井)が、イケメンのワキ・福王和幸に、特に横顔の高い鼻梁や、愁いを含んだ眦によく似ていた。
我が悔いを彷徨わせる舞_e0016828_10372639.jpg
後半の見所、シテの「いざいざさらば 妄執雲霧を払う夜の 月も半ばになりけり 夜半楽を奏でん」からの、足を踏み鳴らし狂気すらまとう(しかし、その舞は静かなのだ)舞を美しいと見つつ、我が心は悔やむべき思い出のあれこれを彷徨い続けていた。
そういう舞だったのだろうか。
我が悔いを彷徨わせる舞_e0016828_10384224.jpg
「はじめ」で晩飯を食って帰る。

Commented by soymedica at 2019-06-22 21:57
あの深井の面、良かったですねえ。
Commented by saheizi-inokori at 2019-06-23 05:55
> soymedicaさん、いらっしやいましたか。感想を早く読みたいな。
Commented by j-garden-hirasato at 2019-06-23 05:57
「おそるおそる…」
出かけちゃいましたか。
大丈夫でしたか?
Commented by saheizi-inokori at 2019-06-23 06:01
> j-garden-hirasatoさん、きのうは一日家の中、きようは偲ぶ会、出来るだけ歩かないようにしながら予定はこなしていくつもりです。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2019-06-22 12:20 | 能・芝居・音楽 | Trackback | Comments(4)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori