旅をいたさねば
2019年 06月 06日
若いとき旅を致さねば老いての物語のない修行僧が住吉天王寺に行くときの動機、金を持たずに旅に出る坊さんは気楽だったか。
狂言「薩摩守」
無賃乗車のことを薩摩の守と、子供の頃は平家物語を知らない人でも多くの人が言ってたね。
「平家の公達」、その心は「薩摩守」、その心は「タダノリ(忠度)」、シャレの好きな船頭をこれで胡麻化して無賃に、と茶屋の主人に教わった、肝心の「タダノリ」が出てこなかった坊さん、はじめに「サツメイケの公達」なんて言ったのは、あれは間違えだろう高野さん。
舟をこぎながら「ウハハハハ」と朗らかに笑う。
あまりに心地よくてこっちも舟をこぎそうになる。
千両役者とはこうしたものか。
能「藤栄」
兄亡き後、遺児の相続すべき所領を分捕った藤栄を、旅の途中の最明寺時頼(北条時頼)が「この肩書が見えないか」と恐れ入らせて子供の土地を安堵する。
一寸先の定めも知らず、楽し気に浦遊びで藤栄の舞と能力の少しエロティックな舞が見どころか。
藤栄の鞨鼓の舞、修行僧の正体を暴こうと扇で顔を隠した時頼に近づく時の眼光は鋭い(直面)。
笛が元気、小鼓の掛声が単調な気がした。
最明寺をワキが演じる、幕を出る時の黒い傘と黒装束にちょっと不気味な存在感があった(装束の、だ)。
こういう心をもって仕事をするから86歳でも元気、前の仏頂面のオジサンよりきれいにしてくれる。
人見知り・サンチがようやくなついてくれて僕の方が嬉しい。
ありがとう、と心でつぶやく。
雪隠近くの湿っぽい所に白い花を開く”忌み花”ながら、上の娘には、その若葉にオリーブオイルを垂らしてサラダにすると超美味だというものの・・・?
で、やっぱり暑過ぎて消えてしまった。
いいなあ、はじめ、みたいな店が近くにあって。