まずい店

友人が、かつてがんばって良くしたショッピングセンターにふたたび勤めることになった。
彼がいた四年前とちっとも進歩していないのでちょっとガッカリしたけれど、若者を信じてもう一回頑張るとメールがきた。
ショッピングセンターでも会社でもヌカミソと同じ、しょっちゅうかき回していないとまずくなっちゃう。
こんな簡単なことが分かっていないか、分かっていてもやらない指導者が多い。
やるとエラクなれない会社も多い、現場で泥臭くお客様や社員(テナントや委託会社のスタッフを含む)と毎日コミュニケ―ションを取ることはかっこよくないし、すぐには数字に表れないから。
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(初めてショッピングセンターの仕事をしたときに、同じような傘のディスプレイをした、30年近くまえのことだ)

せんじつ紹介した「一億円のさようなら」のなかで、主人公が金沢ではじめた海苔巻きの店が大繁盛して二号店を開き、ついで新しくできるショッピングセンターに三号店の出店を誘われる話。
経営者である主人公は乗り気だったが、海苔巻きをつくる相棒が拒否する。
二号店だけでも職人は辛うじて合格なのに、もう一軒となったら海苔巻きの味が間違いなく落ちるから、と。
上の写真のディスプレイをしたショッピングセンターをやったときに、出店してくれた、全国チエーンの有名大衆料理店の店長が、「白髪ねぎ」の切り方を知らず、ぶつぶつ切って「葱蕎麦」を出した。
聞いてみるとそれまでバンドマンをやっていて、料理職人は初めてだという。
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前年比の売り上げとか出店数ばかりにこだわる経営は、そういうことを平気でやる、というかそういう実態をゴルフに明け暮れる経営者は知らない。

亡妻を偲ぶ会の会場選びで、七軒歩き四軒ほど試食もしてみたが、名の通った店がびっくりするくらいマズイ、それはあちこちに出店している店だ。
オーナーが自分で一軒の店を守っている店はウマイ。
難しい理屈はわからないが、日本経済が停滞しているのは、消費者の満足する商品をちゃんと提供できていないレベルで競争が行われるから、ヒト、モノ、カネ、客、情報という経済の諸要素がすべて低レベルのドツボに落ち込んでしまって、成長どころか後退の一歩をたどっているせいもあるのではないかと思う。

ちゃんとしたものをだすためには、ちゃんとした労働条件でちゃんとした人を働かせて、ちゃんとした食材を用意して、ちゃんとした働き方=給料の客がそれをちゃんと理解・賞味する(中流)社会が存在しなければならない。
アベノミクスとか竹中なんとかなんちゅうものは、そういうことは一切考えず、自分たちだけは贅沢三昧で、国民にはひたすらコストカット、効率・前年比売り上げ至上主義だもの、ダメなことは決まっている。
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きのうは、義母の三回忌兼納骨式だった。
葬儀からずっと来てくれる坊さんの話はいつも「今できることをやることが亡き人に対する追善供養になる」、いつなんどき非常がやってくるかは分からない無常の今を生きる教えだ。
今やらなければならない、部屋の片づけをやらなきゃ、と僕が言ったら、今行かなきゃいつ行けるか分からない旅行に出なければと、カミさんがいって大笑い。
庭のきれいな店で昼からたくさん飲んで食べて義兄もほっとしたようだ。
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緑が濃くなった散歩道を歩きながら義母とここで休んだなあなどと思いだすことの多い日々だった。

テイクさんの所から連れてきた6歳の盲目の坊や。


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Commented by ppjunction at 2019-06-01 12:36
ーー前年比の売り上げとか出店数ばかりにこだわる経営は、そういうことを平気でやる、というかそういう実態をゴルフに明け暮れる経営者は知らない。ーー

おっしゃる通り!
有名老舗店のデパ地下惣菜や出店の不味いこと!
Commented by saheizi-inokori at 2019-06-01 12:40
> ppjunctionさん、いちど自分の店の惣菜を食ってみろといいたい店もありますね。
いや、その方が多いかもしれない。
Commented by eblo at 2019-06-01 14:45
外国の大統領へのおもてなしがハンバーグの時代ですからね。
私たち世代と若い人では味の好みも違うようです。
先日テレビを観ていたら、日本で報道されるほど外国では日本食ブームではないと言っていました。
私と同世代は、お金はあるけれど使いたくないのか使えないのか、外食にはあまりお金をかけません。
結果、東京と違って、ファミレスばかりが繁盛して、美味しいお店はできてすぐ閉店します。
見かけだけで実際は貧しいんですよ、日本は。
東京でメニューを見るとびっくりします、私のような田舎者は。
Commented by saheizi-inokori at 2019-06-01 14:56
> ebloさん、静岡県のある町にとまつてうまい魚をだす居酒屋を探そうとしたら、そもそも居酒屋がない、そのあたりの人は外で飲み食いしないのだそうです。家でうまい魚も酒も飲めてそれで満足しているんだって。それはそれである種の豊かさかと感じました。結局その町には泊まらなかったけれど。
Commented by テイク25 at 2019-06-01 17:31 x
せいぜい二号店まででしょうね。
本店だけでいいのではと思いますが、人気が出ると欲が出るのかなぁ。有名店が全国展開なんかしないで、その土地その土地の食べ物屋さんが繁盛するといいのにと思っています。

6才の彼を連れて来て頂きありがとうございます。
政治屋たちの途切れることのない愚行に怒っている身には彼の演奏が良き精神安定剤となりました。
Commented by saheizi-inokori at 2019-06-01 19:40
> テイク25さん、人材育成とか仕入れの向上力などの面から何軒かを経営するのもありでしようが、提供するサービスの質が確保されるのは当然の前提ですよね。
この坊や、こちらでも慰めてくれました。ありがとう。
Commented by haru_rara at 2019-06-01 23:27
6歳の坊やのボヘミアン・ラプソディ、涙が。。。ピアノも素敵だし、声もすばらしいこと。
フレディが天国から飛んできて抱きしめているでしょう。
ご紹介くださってありがとうございます。
Commented at 2019-06-02 00:11
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2019-06-02 06:48
> haru_raraさん、ミューズは偉大ですね。
Commented by saheizi-inokori at 2019-06-02 06:49
> 鍵コメさん、おやまあ!こんどはお会いできるといいですね。
Commented by j-garden-hirasato at 2019-06-02 07:18
「分かっていてもやらない指導者が多い。」
自分もいい歳になってきたので、
気を付けたいと思います。
Commented by k_hankichi at 2019-06-02 07:28
たしかに複数店舗化したお店だとか、はたまたチェーン店展開したお店には、ほとほとがっかりさせられてきました。
Commented by saheizi-inokori at 2019-06-02 08:35
> j-garden-hirasatoさんはそんなことはまったく心配いらないようにお見受けします。
Commented by saheizi-inokori at 2019-06-02 08:37
> k_hankichiさん、私の知人は五軒ほどの自分の店を毎日まわってスタッフや客と話をします。これくらいが限界ですね。
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by saheizi-inokori | 2019-06-01 12:22 | 梟のゴタク | Trackback | Comments(14)

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