初夏の糺の森を想った 能「加茂」&狂言「文荷」
2019年 05月 18日
家事がいい運動になるというのはほんとだね。
朝飯前にサンチと散歩、時間が早いせいか土曜日のせいか、掃除のおばさん、トイプードルの奥さん、バーニーズマウンテンドッグの若い女性、トイプードルの奥さん2、ふたたび掃除のおばさん、隣の奥さん、いろんな人と話をした。
掃除をしたそのまんまのへんてこな服装、上下ちぐはぐな長袖とトレパン、帽子は釣りに使う首筋をカバーできるやつ、大きなサングラス、外出するときにはそれなりに気を遣うのだが、こんな格好で歩いたって、みんなに声をかけてもらえるならかまやしないのか、あ、そうかサンチのおかげか。
まあ、おしゃれは人に見せるというより、自分がいい気分になるためのものではある。
さきに狂言「文荷」
能「恋の重荷」のパロディみたい、太郎冠者と次郎冠者が能「恋の重荷」に出て来る謡を歌いながら竹竿に吊るした手紙を担ぐ。
主に頼まれて人に届ける手紙、一人に頼むと道草をするから二人でやれ、なるほどたしかにあまり真面目そうじゃない。
たった一通の手紙をおっつけっこ、妙に重く感じられる、じゃあ二人で担ごう、重いのはもしかすると恋の手紙じゃなかろうか、よせばいいのに覗いてしまう。
15分という短い狂言だが、老練の山本則俊、東次郎のコンビがとても楽しい。
隣に巨漢のロシア人、見渡すとロシア人のグループに囲まれていた、みなさん大人しく見ていたが面白かったのかなあ。
ご神体が一体だという室の明神の神職が加茂明神に参ると白羽の矢が祀ってある。
そこに二人の女が来て
むかし秦の氏女がまいにち川の水を汲んで神に供えていたのだが、ある日白羽の矢が流れてきた。と話して、水を汲みながら京都の清らかな川の様を語って消える。
持ち帰って家の軒にさしておいたら懐胎して男の子を生んだ。
その親子と白羽の矢で示された別雷の神の三体を賀茂三所の神とした
どうやら女たちはここの神さまらしい。
賀茂神社の神職が早乙女を指揮して神田の田植えをするのだ。
七人の美しく着飾った早乙女とちょっとセクハラっぽい戯れ言をやり取り(歌)したり、山の椿の花をめでたりして田植えをする。
神職は柄振りを持って高い大きな声で歌いっぱなし、しかも飛んだり跳ねたりで、(さすがに最後は苦しそうだったが)楽しかった。
前半の最後、女が退場するときのお囃子「来序」、ヤア~トンと太鼓、ついでオ~ポンと小鼓と大鼓の長い繰り返しが余韻を引いていい感じだった。
いろんな趣向が盛沢山で退屈しないけれど、ロシア人たちはどうだったか。
ぜいたくをいえば、もうちょっとシテ(前も後も)とお囃子に迫力が欲しかった。
あの西洋人の団体はロシア人だったのですねえ。
御田。これ目当てにチケット買いました。華やかでしたねえ。そして後見の人間国宝東次郎が時々苦ーい顔したりするのが面白くて…。
「三田」という地名、東京には目黒と港区にありますが、もともとは一つの地域で、天皇家だか徳川だかの所有だったそうで「御田」といったそうです。
今回の謡の中でも「みた」と「おんた」と発声するところがあってなるほど、と思いました。