裁判官はトルストイを読むべし 「絶望の裁判所」(瀬木比呂志)

けさは定例検診、「バターナイフを使うように相手の腹を掻き切った」夢で目覚めると、スマホの充電器(コネクター)が不具合で充電がろくにできてない。
バスを降りる前から用意してポケットに出しておいた診察カードが受け付けられずに返ってくる、別の病院のカードだった。
コンビニでDポイントカードを使おうとしたら、ローソンからファミマに変わっていて使えない。
たて続けにケチがつくと、なんだかイヤな気分になってくる。
もしかして禁酒を言い渡されるんじゃああるまいか。
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あいかわらず中性脂肪が高いけれど(前回を上回る)、そのほかは(血液と尿で診る限り)大きな異常はない。
Lの表示がある数値は腎臓のなんとかで、20歳を基準にしているから尿酸値や糖尿が正常だからそれほど気にしなくてよい。
アマニ油はいいですか、よくわからないけれどカロリーの摂り過ぎは、、などと食事のことをちょっと話して、要するにいくら個々の食品に気をつけても食べ過ぎと運動不足に注意すること。
一万歩近く歩いてストレッチも小一時間ほど毎日やってます、そりゃあいい、とは言ってくれた。
来月も採血しますか(ふつうは三カ月おき)、吸血鬼になっちゃう、「はい、ちっとは自制するでしょうからお願いします」、笑いながら予定をいれてくださった。
無罪放免ならカツ丼でも食おうと思っていたが、天下晴れてとも言えないので、蕎麦を食う。
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ドコモショップでコネクターをDポイントで買う(500円)。
毎日歩いているのでこのくらいはポイントがたまっているのだ。
そういったら、係の女性が「一万歩は歩きすぎらしいですよ」「うん、8千歩を目標にしてる、だけどついつい歩きすぎて、いま月平均が9500歩」というと、ちょっとイジワルなような悪戯っぽい目つきで「4・5000歩くらいがいいらしいです」という。
店を出てから彼女のポッコリお腹だったことを思いだした。
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著者は1954年生まれ、東大法学部在学中に司法試験にパスして、東京地裁、最高裁、アメリカ留学とエリートコースを歩みながら、裁判官として歩き続けることに抵抗を感じ、学者に転じ今は明治大学法科大学院専任教授。
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なぜ裁判所が絶望なのか、といえば最高裁判所の長官以下が絶望的な人たちで占められていて、それはシステム化して固定されているから、法曹一元化に制度を変えなければよくならないというのだ。

彼の実体験にもとづく最高裁判事の人物像は4類型に分けられる。
A 人間としての味わい、ふくらみや翳りをも含めた個性豊かな人物 5%
B イヴァン・イリノイチタイプ 45%
トルストイの「イヴァン・イリノチイの死」の主人公、頭がよく、成功しているが価値観や人生観は借り物、善意はあっても、無意識的には自己満足と慢心、スマートで切れ目のない自己欺瞞の体系。
C 俗物、純粋出世主義者 40%
D 分類不能型あるいは「怪物」? 10%
考え方は状況次第で極端に変わる二重人格、「ミスター司法行政」といわれ、裁判官支配、統制を徹底し「もはや無人の野を行くが如し」と評された矢口洪一最高裁元長官の名をあげている。
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こういう人たちが、三権分立を活かすべく、暴走する政治や検察、使命感や矜持を失くした官僚さらに権力に媚びるメデイアに抗して、時代の要求にこたえる画期的な裁判ができようか。
トルストイの「イヴァン・イリノイチ」を読んでいる裁判官は、いるのだろうか(僕も未読)。

2001年司法制度改革審議会意見書に始まり2004年の裁判員法成立(とうじ僕は裁判員制度導入に反対の記事をなんども書いたものだ)、その頃、最高裁経理局長、事務総長、東京高裁長官、14名の先輩を飛び越えて最高裁長官という異例の出世をとげた竹崎博允。
彼がとうしょ反対意見の多かった裁判官を押さえこみ異論を封じて制度導入の立役者になった。
それは、裁判の民主化などの表向きの旗じるしのためというよりも、裁判官のなかで民事系に対して劣勢だった刑事系の挽回、人事のヘゲモニーを握ることが隠された動機であった。
竹崎は最高裁長官時代に、自身に近い刑事畑の人間を異常に厚遇し「上にモノを言えない」「最高裁の意向に忠実な」裁判官だけが生き残れる裁判官統制システムを作り上げる。
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閉塞した官僚システムのなかで、ラットレースに駆り立てられて、本来「優秀(にしてひ弱)」な裁判官たちがハラスメント、非行に走ったり、精神病を患ったり、自殺する人も少なくないという。

けさの「バターナイフ殺人事件」の夢は、せんじつ読み終わった「チンギス紀」のなかの戦い・狩りの場面それとも今読んでいるハードボイルドミステリの殺しの場面に影響されたのかと思ったが、この「絶望の裁判所」にも影響をうけているのかもしれない。
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長野の友人が送ってくれた「蕗の味噌炒め」。

白いご飯で食えばウマイに決まっているが、昼飯のキャベツ多めのパスタに混ぜても絶妙だ。今夜は、二日間節制した酒のアテにするのだ。
献芹(けんきん)、という言葉を友人が教えてくれた。
今や、僕のような人工の都市に住む者にとっては、芹も蕗も高値・高嶺の花、まして御自らお作り下さったものなど、へりくだって献上されては身の置き所に困る。
Commented by jarippe at 2019-04-23 18:02
アマニ油 どうなんですか?
毎日いろいろな所にかけています
血管年齢若くなる? 本当だったらいいけれど
この年になれば完璧な体は無理ですね
それを受け止め受け入れて行かねばなりませんね
Commented by sweetmitsuki at 2019-04-23 21:44
「献芹」という言葉があるのですか。知りませんでした。
以前、蕗味噌の話の中で知人からその言葉を教えてもらったのですが「芹じゃなくて蕗ですよ。」と、間違えを指摘したつもりでいました。ですが間違っていたのは私のほうだったのですね。
いやはや恥ずかしい限りです。
Commented by saheizi-inokori at 2019-04-23 22:27
> jarippeさん、アマニ油、私も毎朝トーストに垂らしたりしています。
「はじめ」のお客さんに教えてもらいました。
スレンダーな彼女は冷奴にかけているそうです。
Commented by saheizi-inokori at 2019-04-23 22:31
> sweetmitsukiさん、私も知らなかったのです。
献蕗ならぬ献芹、なんかいい言葉ですね。
Commented by soymedica at 2019-04-24 00:02
最初(もしかして禁酒を)のところと、最後の蕗の薹を食する計画性に笑いました(*^^*)

亜麻仁油、知りませんでした。
医者ってそういうの知らないんですよ。一時認知症にココナッツオイルが良いと言われていたらしいですが、認知症専門の神経内科の医者は知りませんでしたね。
Commented by j-garden-hirasato at 2019-04-24 06:42
たて続けにケチがつくと、
厄日か確認しちゃいます(笑)。
Commented by saheizi-inokori at 2019-04-24 06:48
> soymedicaさん、酒と肴と、老生の楽しみです。ゆうべは鳴沢で買ってきた「笹一」を冷やして飲みました。三日ぶりの酒、うまかったです。
Commented by saheizi-inokori at 2019-04-24 06:52
> j-garden-hirasatoさん、考えてみれば年のせいでミスが連続しているのでしよう。
こっちを気をつけるとあっちがお留守になります。とくに病院で検査や二つの科を受診したり、いつもと違うことをする日が要注意!
Commented by ikuohasegawa at 2019-04-24 07:25
献芹、覚えました。
Commented by saheizi-inokori at 2019-04-24 08:43
> ikuohasegawaさん、この年になって新しいこういう言葉を覚えるのは喜びです。
Commented by at 2019-04-25 06:30 x
検診後にかつ丼ではなく、自制して蕎麦というのがリアリティがあります。
ここは矢張り短歌形式で歌い上げたいものです。
それにしても、蕎麦は食品のヴィジュアル担当、美味そうですね。
Commented by saheizi-inokori at 2019-04-25 08:38
> 福さん、歌えない哀しさ^^。
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by saheizi-inokori | 2019-04-23 15:42 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(12)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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