珍しいのう
2019年 03月 22日
息子を見殺しにして逃げのびた親の悲嘆(命が惜しかった)もさることながら、沖合の船まで知盛を背に乗せて泳いだ名馬・井上黒が、舟のまわりを三度周っても舟に乗せてもらえず、岸まで戻って去り行く舟のほうに伸びあがって高嘶きをし足掻く。
そこが心を打った。
どうしたことか、金子文子絡みで、子供の頃見た娼婦のことが気になって(文子は子供の頃、娼婦に売られそうにもなる)、あの人たちはその後どんな生き方が出来たのだろう、そういう想念がこういう非業の死をみると浮かんでくるのだ。
主・丸石やすしが突然の来客にそなえて太郎冠者・茂山千作に和泉堺まで酒肴を買いに行けと命じる。
それを嫌がった太郎冠者は、「イテテイテテ」とシビリ(しびれ)の仮病を使うが、主に見破られる。
千作さん、なんだか足腰が痛むようでちょっと立ちあがるときにふらついた。
それが、この仮病にぴったりなのだ。
僕より二年若いけれど足腰の負担は並大抵じゃないからなあ。
イチローはすごいけれど、やはり世にあるものとして年、エントロピーのオヤジには勝てない。
不肖・僕も若い頃出来たいくつかのことを思いだすと、よくもあんなことが出来た、奇跡的だと思う。
古典の能のレパートリーが約二百曲ある中で、恐らく最も上演の珍しい作品の一つです。ただし、愚作ゆえの上演忘却ではなく、極めて異色ある問題作なのですが、ワキ方の秘曲として、ごく大事に扱われている事、又、子方(こかた、子役)が難役である事などが、上演を稀にしている理由だと思われます。久習会・ 荒木 亮による。
神主に会って梅千代を認知してもらおうとするのだが、手紙を託された神主のカミさんが盗み読みをして悋気の火の玉になる。
首を左右に激しく振って「腹立たしや腹立たしや」、「会いたくないから、早くどこへとも立ち去れ」偽の返書を書いて、母に渡す。
泣き出し呆然とする母親に「僕がしっかりしてるから心配しないで」という梅千代、たしかに子方には難しい謡いまわしが頻出する(間違いもあったけれどご愛敬)。
宿屋の主人・左近尉(母子のシンパサイザーだが、神主のカミさんには勝てない)が、遺体を発見して梅千代を遺体の前に連れて行く。
梅千代は自分も母の跡を追うと言って川に飛び込もうとするのを左近尉が「母の菩提を弔う人がいなくなる」と説得。
後半、神主も遺体改めをするのだが、そのときも死体の有様を生々しく描写する、ちょっと変わった能である。
後半、神主(ワキ)が登場、遺体を改め事の次第を左近尉に聞いて、梅千代が持っていた母の遺書を読み(ここが見どころ、顔色が変わりワナワナ)、梅千代と対面、母とそっくりなことを見、父であることを名乗り、抱き寄せて髪をなでる、感動の場面のはずなのに僕はちょっとシラケている。
神主は、あまりに不憫だからと言って、祝詞(ノット)をあげて母親の再生を祈願する。
お堂の中から声が聞こえて天満天神(菅原道真)が神々しく登場する。
やさしいお母さんが「梅千代~!」と叫んで現れるのを期待していた僕はちょっと当てが外れる。
天神様がお出ましになったからには、もちろんお母さんも生き返ったと云う事なんだろうな。
今日は咲きだしただろう。
いまから見に行こう、な、サンチ!
私は予定があって切符買わなかったのですよね。
藍染川、次に出るのはいつのことやら。檀風も子方が難しい曲でなかなか出ませんが…。
本田光洋は人気シテ方だし、ワキ方も高安流で珍しいし。
でも、saheiziさまのブログのおかげで、観たような気になれました!
さいきん見るのがそうなのか、能にもいろいろあるんだなと思うことが多いです。
正面が取れずにGBでみたからワキ座で左近尉とカミさんのやり取りのあいだうづくまっている姿がとくに良かったです。
お能も狂言も長いこと見ていないけど。
読売はキライ、朝日も最近ツマラナイ!そのとおり。
お酒と甘いものに注意! うーん。
なんだか身につまされることばかり。