親子が泣いた 狂言「ぬけから」&能「夜討曽我」

明石順平という弁護士の「アベノミクスによろしく」という本を紹介したことがある。
アベノミクスの成果が上がらないのを、統計のインチキ操作で胡麻化していることを分かりやすく暴露した本だ。
今回、毎月勤労統計のインチキが表に出ても厚労省は、賃金上昇があったと喧伝された2018年の実質賃金の本当の伸び率(減少率)を示そうとはしなかった。
実質賃金は大幅にマイナスだった!
明石氏が試算した数字を野党合同ヒアリングで示したところ、屋敷大臣官房参事官もその数字を追認した。
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ようやく明石さんの言い続けてきたアベノミクスのインチキ数字の一端が公にされたのだ。
その瞬間、
野党議員たちの間から「ウォー」と どよめき が起きた。長妻昭元厚労大臣は「これは凄い」と感嘆の声をあげた。
と、田中龍作ジャーナルは伝えている。
今ごろ、「ウオー」もないもんだとは思うけれど。
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きのうは国立能楽堂、時間があったので千駄ヶ谷の裏道をぶらついてから会場へ。
狂言「ぬけから」
主(アド・深田博治)にお使いを頼まれた太郎冠者(シテ・野村萬斎)は、いつもならお使いを頼むときは酒を飲ませるのに、今回は忘れている、これが前例になっては困ると、遠回しに催促する。
正面切っていいにくいことを、似た言葉を使ったり、他の事例を言挙げしたりして気がつかせよう、僕も身に覚えがある。
これって、こっちの下心に気がつかれるとキマリが悪い、気がつかないふりをしてくれても、それもキマリが悪い、なんか催促したみたいで、なんちゃって。
めでたく主は気がついて酒を飲ませてくれた(そこまでのやり取りが面白い)のはいいけれど、太郎冠者は飲みすぎてしまう。
お世辞を言いながら、意地汚くもう一杯を欲しがる太郎冠者は、若い頃の僕みたいだ。
足をとられふらつき歩く、舞台から落ちないかと心配になる。
とうとう寝てしまったのを見つけた主は鬼の面をかぶせて知らん顔。
目覚めた太郎冠者は、水を飲もうとして清水に写った自分の顔にびっくり仰天。
鬼は使えないから出ていけと言われた太郎冠者が座り込んで泣く姿が可哀そうだ。
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能「夜討曽我 大藤内」
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こんな能もあるんだ。
幽霊も出なければ和歌もない面もつけない。
富士の巻狩りの場を利用して父の敵を討った曽我兄弟の秘話とでもいおうか。
とても分かりやすい言葉で、普通の新劇を見ているようだ。
曽我五郎(シテ・辰巳満次郎)が上背もありいかつい顔の表情豊かに(ふつうの能は、素面でも表情を変えない)侍を演じてお子ちゃまも喜ぶ能、こういうのも必要だったのだろう。

アイ狂言の野村万作と石田幸雄が、面白かった。
卑怯にも女装して曽我兄弟から逃げてきた大藤内という臆病な神主、万作が「助けて下され」と幕から転げでてきた、その姿になんともいえないオーラがあって、万作さんが出ていることに気がついた。
狂言で萬斎が泣き能で万作が泣いた。
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帰り道、「はじめ」で「煮カツ」「ほうれん草のお浸し」「イカと里芋の煮物」を食う。

Commented by ppjunction at 2019-01-31 14:29
「ぬけがら」かと思ってましたが「ぬけから」ですかー・・そうでありました。日本語って濁音を好まない。万作さんの太郎冠者で拝見した事がありましたが、最後には目が点になりました。室町時代にあのストーリーがあるなんて!今時の演劇若造達よ、つべこべ言わずに観て欲しい。
辰巳満次郎氏なら、面は無い方が迫力ですね(^O^)
Commented by saheizi-inokori at 2019-01-31 16:37
> ppjunctionさん、発音は濁っていたようです。狂言は短い時間で人生をつきますね。確かに、あのテレビのお笑い連中なども学んで欲しい。
Commented by jarippe at 2019-01-31 17:06
狂言とか能 面白そうですねー
いつも拝見していて 興味が湧き見たくてたまらなくなってしまいました
Commented by saheizi-inokori at 2019-01-31 18:25
> jarippeさん、国立能楽堂のチケットをネットか電話でとつて行くといいです。国立劇場のホームページで演目などを調べることができます。
Commented by j-garden-hirasato at 2019-02-01 06:11
霞ヶ関では、
相変わらず「忖度」が
飛び交っているようですね。
Commented by saheizi-inokori at 2019-02-01 07:04
> j-garden-hirasatoさん、これは忖度ではなく、麻生の指示だという報道もあります。ちょっと信じられないけれど。
Commented by ikuohasegawa at 2019-02-02 10:49
「はじめ」での、お呑み物は。
Commented by saheizi-inokori at 2019-02-02 11:35
> ikuohasegawaさん、いつものように燗酒、土佐の、、なんたっけ、出てこないなあ。
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by saheizi-inokori | 2019-01-31 12:10 | 能・芝居・音楽 | Trackback | Comments(8)

ホン、映画・寄席・芝居、食べ物、旅、悲憤慷慨、よしなしごと・・


by saheizi-inokori