知らなかった!「大覚醒」だ 「アメリカ」(橋爪大三郎 大澤真幸)
2019年 01月 29日

雨が降らないから、カラカラ、ちょっとした火でメラメラと燃え上がってしまいそうだ。
「私には回心体験がない。私は神から見放されている。回心体験さえあれば社会のフルメンバーになって、一人前の市民として皆から認められるのに」こういうフラストレーションが、多くのニューカマーの間に広まっていく。
いわば、枯れ草が積み上がった状態です。どこかで火がつくと、一挙にめらめらと燃え上がる。うらやましいので、回心が伝染していくのです。

教会の外で起きた。むしろ信仰と縁のなかった人びとの、集団的熱狂。キリスト教(プロテスタント)であれば、カルヴァン派、クエーカー、なんでもいい。「イエス・キリストに目覚めた」というクリスチャン「一般」になって教会にいくから、もともとバラバラだった教会が似たり寄ったりになって、地域の垣根もなくなって「アメリカン」「クリスチャン」「プロテスト一般」が出来上がっていく。
それがアメリカ独立戦争の基盤になった。
その後もアメリカ人の「代替わり」のたびに第二次第三次第四次と起きてそのたびに、南北戦争のような重要な出来事が起きたという「大覚醒運動」。

ちっとも知らなかった。
もしかして忘れたのかと思って、年表を調べてみたが載っていない。
ググってみたら、内山敬康が代表を務める「知的社会研究所」に、かなり詳しく解説が載っていた。
さて、ここで当然出てくる疑問は、このような物質的な繁栄の結果、アメリカは「丘の上の町」であることをやめて、ただの物質的、現世的な楽園になってしまう危険をどのようにして排除したのか、という点です。という魅力的な書き出しだ。
「神はただある人々を選んで他の人々を選ばなかったのではなく、いわばご自身の善と美を善男善女の魂に降り注ぎ、そうした人々をご自身の一部とされる」と説き、これを「神への参加」と呼び、「神はご自身の美しさ、つまりその麗しい似姿をその人たちの魂に与えられる」とした。アメリカ史上初の思想家であるジョナサン・エドワーズの言葉が多くの人に影響を与える。
1740年からの30年間に7度の大陸横断旅行を試みている。人々は信仰復興伝道集会に出かけ、1万人の集会も珍しくなかったという、「大説教師」ジョージ・ホイットフィールドやジョン・ダヴェンポートたちが、点火された枯れ草を燃えがらせた。
独立運動の指導者であり第二代大統領でもあるジョン・アダムズはこう述べている。「革命は戦争が始まる前になしとげられていた。革命は人々の頭と心の中にあった。自分たちの義務と恩義について宗教的な感情が変化していたのである」。啓蒙運動によって触発されたアメリカ人エリートの合理主義と大衆の間に生まれた大覚醒の精神が一つになって、革命という政治的な目的へ向かう世論の高まりが可能になった。革命そのものがやがて来たるべき終末の出できごとと同一視される。

でもまあ、今頃になってでも、少しは学んだことを嘉すべきだろう。
そんなにも素晴らしい宗教的情熱によって誕生したアメリカが、今や「ただの物質的、現世的な楽園」、いや「楽園」とはとうてい言い難いか、になってしまっている。
そのことは、「アメリカ」を読んでいけば説きあかされるのかな。
この稿の引用は後半も「アメリカ」ですか。