自然に働きかけ、働きかけられる 雪舟、等伯などの山水画@「日本精神史」(長谷川宏)

きのうはサンチが膝の上で丸くなって、どこうとしないので、かみさんが買い物から帰って来るまで待ってから散歩にでた。
北風ぴ~ぷ~につきサンチはつれていかない。
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富士山がはっきり見える澄み切った空のしたで子供たちはギリギリまで遊んでいる。
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暗くなる直前の空の蒼さは、深い深い、果てしなく深~い水底を思わせる。
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スマホでは到底撮れない、高性能カメラでも、無理かもしれない。
見るものではなく感じる深みだ。
畏るべき蒼さ・深みだ。
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「那智滝図」
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雪舟の「四季山水図巻」「秋冬山水図」「天橋立」、
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(「秋冬山水図」の冬)

そして長谷川等伯の「松林図」。
長谷川宏「日本精神史」第27章は「山水画に宿る霊気」と題してこれらの絵を鑑賞する。
朝5時前、腕が冷たいので服に着かえて、温かいベッドのなかで読んだ。

「那智滝図」の右上に見える日輪/後光が、絵の前にも広がって滝/ご神体を包みこみ浮かび上がらせる。
滝の輝きは「命」の輝きではないか。

雪舟の「秋冬山水図」の「冬」は、髙村光太郎の詩
きっぱりと冬がきた
(略)
冬よ
僕に来い
僕は冬の力、冬は僕の餌食だ
(略)
刃物のやうな冬が来た
を思わせると長谷川はいう。
絵の中の不可解な太く強い墨線を
冬の自然からやってくる強烈な威力と、それにひるむことなく立ちむかい、自然の力を絵の力に転じようとする画家の気迫とがぶつかった、そのぶつかり合いが生んだのがこの墨線だ
と。
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長谷川等伯「松林図」は見たことがある。
人間が体をもって生きる存在である以上、自然に働きかけ、自然から生きる糧を得ることは不可欠であり、霊信仰が廃れても自然との交流は基本の感覚として消えることはない。
「松林図屏風」が呼びさますのはそうした基本の感覚だ。
かつては畏怖され尊崇された霊が、ここでは澄明にして清純な気となって松とまわりの自然のあいだを自在に行き来する。気は松に乗りうつり、松林の動きに合わせてみずからも動き、松と松林はその存在が流動化して、目に見えぬ気を象徴するものとなる。画面の全体に遍満する気は奥へ奥へとどこまでも広がっていくとともに、見ているこちら側にも漂い出てくるかのごとくだ。そうやって、すべてを包みこむ清浄にして至純の気の世界が現出する。
国立博物館の、この屏風が飾られた一室の空気がとくべつに感じられたのは、そういうことだったのか。
雪舟の絵も本書の長谷川のような眼で見てみたい。
だいたい本物をみたかどうかも曖昧なんだから。
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けさのベランダからの空、朝焼けは天気が崩れるというが、いまのところはよく晴れて一生懸命洗濯物を乾かしてくれている。

Commented by ppjunction at 2018-12-25 16:20
長谷川等伯「松林図」何度か拝見してます。
静寂、眼福ですね。
期待していた息子を亡くされ、作風がそれまでの障壁画とはガラッと変わった、作と聞いてます。

Commented by saheizi-inokori at 2018-12-25 16:49
> ppjunctionさん、「楓」の絵などは狩野派に近いですものね。
Commented by ikuohasegawa at 2018-12-26 07:29
長谷川宏の日本精神史。長谷川等伯の松林図。もう一人の長谷川はこのところ、開いてもおりません。
宿題やったのって言われた子供のような気分です。「これから、やるよ」
Commented by saheizi-inokori at 2018-12-26 07:56
> ikuohasegawaさん、冬休みはこれからです、そのあとは春休みが待ってます。
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by saheizi-inokori | 2018-12-25 12:05 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(4)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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