歌舞伎って面白いのか 「通し狂言 増補双級巴―石川五右衛門」＠国立劇場

歌舞伎ってのは、なんちゃってセレブのもの、こちとらには縁がない。
大学の歌舞伎研究会に入って、その会費のあまりに高い・オボツチヤマプライスなのに呆れて即脱退。
そんなこんなで、ずっと歌舞伎を観ないできたのに、このところ国立劇場（歌舞伎座に比べると安い、セレブっぽくない雰囲気）の歌舞伎を予約するようになったのは、忠臣蔵の通しを観て以来か。
毎週と言わず隔日のようにアチコチのホールや寄席で落語を聴くのにちょっと飽きたせいもあるかもしれない。

せんげつの体制側のヒーロー大岡越前に続き今月は反体制ヒーローの石川五右衛門を観に行った。握ってもらった赤飯お握りを外で食ったが、大岡のときは寄ってきた雀が一羽もこない。
「中村吉右衛門宙乗りにてつづら抜け相勤め申し候」、「盗賊としての痛快な活躍だけでなく、五右衛門の家族への情愛や胸中の葛藤に焦点を当てた人間ドラマ」、「４０年ぶり」「７０年ぶり」「９０年ぶり」といろいろ盛沢山の「平成３０年の掉尾を飾る必見の舞台」とパンフレットに書いてある。
期待に小さな胸をふくらませていい席を奮発したのだが、、。
ちょっと満足度は低かった。
それは、吉右衛門の熱演が空振りだったのではなく、僕の方に原因がありそうだ。
歌舞伎の見所である大見得がなんどもあって、会場は拍手や掛声で湧いても、僕の体温は上がらなかった。
乗れなかった。
３時間ちょっとの間に詰め込みすぎの感も、とくに活劇と人間ドラマってやつの混在、革命家（ではないが）の子どもの悲劇なら、そこをもう少し掘り下げたほうがいいのに、と僕は思えども歌舞伎ってのはそういうものじゃないか。
（休憩時間にお濠ばたを散歩した）

耳が遠くなってセリフが聴き取れず（前から７列の真ん中なのに）、筋がつかめなくなることもあった。

でも、そういうことじゃなく、、どうも早くも歌舞伎に飽きたのかもしれない。
日本の文化財産ともいえる忠臣蔵は、この世の土産にと観て興奮もしたが、石川五右衛門は「真説　石川五右衛門」（檀一雄）の方がずっと面白い、なんて読書と観劇をくらべるのも愚かではあるのだが、見たり聞いたりするものは、丁寧にやればやるほど想像力の働く余地が少なくなってしまう。
辺野古のことが気になって、どこか後ろめたい気持もあった。
「バラエティショーに興じる」ってことに。
防衛軍事費を何十兆円も使うから、安心できない（変な話）し。
吹っ切れない、いじいじ爺、困ったもんだね、サザエさん。