さすがは居残り会 「子別れ」をリレーで熱演
2018年 12月 09日
そして僕ら・落語仲間の居残り会の忘年会の日でもあった。
僕の今冬初ダウン着用の日でもあった。
入れ違いに上がっていく女性が番台に「おやすみなさい」、そうかそういう挨拶だったな。
脱衣所でウロウロしているおじいさんにロッカー番号を訊いて場所を教えてあげた、小さな親切ってのもあったな。
店の場所は知っているけれど、わざとスマホの言うなりに歩いてみたら、迷ってしまう。
スマホを矯めつ眇めつして、ひょいと前を見たら、今日のお友達・Nさんもスマホに見入っている。
一本裏の狭い路地をスマホアプリが検出できないがためのミスだった。
ソフトバンクは損害賠償をどの範囲でどういう基準でやるのだろう、ぜんぜんやらないのかもしれない。
小上りに上がる前に一人でカウンターに座って冷たい・ウマイビールを飲みながら親方の顔をしみじみと眺める。
親方は訊きもしないのに、病気のことを丁寧に話す。
忙しく配膳の支度をしているお母さんの顔が明るい。
こんな時間(6時)に乾杯できるのが、なんだか新鮮な気持ち。
親方は、それぞれ由緒正しい産地から届いた食材を丁寧にあつらえてくれて、どれもウマイウマイ。
基本手酌でぐいぐいやりながら話が弾み、一時間も過ぎた頃合い、本日のお楽しみが始まる。
新年会でお約束にしておいた、幸兵衛さんとヨッシーのリレー落語、お題は「子別れ」の全編。
噺家も誰でもやれるとは言えない大ネタ、半分冗談のつもりで僕が提案したのをお二人が果敢に受けてたったのだ。
酒好きの熊さんが葬式の後、止める大家に罵詈雑言して紙屑やとともに吉原に流れ込む。(「強飯の女郎買い」)
書けば短いが、この部分が面白くまた演者には難しいところだ。
4日間の居続けのあと、しょぼくれて、申し訳ない気持を押し包み虚勢を張って馴染みの女に持てた噺をする熊さん。
さすがのおっかさんも愛想が尽きて幼い亀吉を連れて家を出ていく。
代わりに女郎と暮して見たが、「やはり野におけレンゲソウ」、朝昼晩ごろごろ寝て呑んで家事は出来ない、追い出そうとしたが、向こうから出ていってしまう。
ようやく目が覚めた熊さん、きっぱり酒をやめて働きだした(「中」)。
端折ったところなんて分からない、むしろ僕の知らなかった細かいセリフも入って、まあ、凄いもんだ。
熊五郎がのろけるところは、幸兵衛さん、ほんとに嬉しそうに、まるで経験者のごとくだった。
亀の口から、別れた二人が元気で暮らしていること、カミさんは独身を通していて、熊にたいする愛情も醒めていないらしいこと、カミさんの仕立て仕事でたてるタツキが厳しく、亀も屈辱的な思いをすることもある、そんなことを聞きだして、子供には分不相応な50銭の小遣いを与え、明日は鰻を食わせることを約束する。
家に帰った亀が50銭を見咎められて、熊との約束でほんとのことが言えないために、おっ母は玄翁をもちだし、これをおとっつあんだと思えと振りかざすから、たまりかねた亀ちゃんは父親にあったこと、明日鰻をご馳走になることを喋ってしまう。
翌日、カミさんは鰻屋に様子を見に行って、めでたく三人は元の一家におさまる。
決して流暢とは言えないが、かえってその『間』に子煩悩なヨッシーの想いが滲んで、みんなし~んと聞き入った。
落語は、生で近くで聴くべきものということが改めて思い知らされた二人の高座(高くはなかったけど)なりき。
さいごは恒例により親方夫妻もいっしょにウマイビールで乾杯、よいお年を!
それでも、う~っ、寒い日曜日。
美味しい肴と酒、そして、何より楽しい会話。
団欒のご主人も順調に快復しているようで、何より。
なお、熊さんのノロケぶりは、実体験とは一切関係ございませんので、誤解なきよう^^
経験を生かして五人まわしなどいかがですか。
毎年なんにも見ない、聞かない気がします。
この日はジョン・レノンの命日でもあって、ファンだったので、毎年、彼の平和を願う「イマジン」を聴きます。
お仲間と楽しいお酒、いいですね!
東京も寒くなりましたね。どうぞお大事にお過ごしくださいね。