失敗が幸せにつながる町・松本

日常に帰って、預けたホテルではあまり食べなかったというサンチの旺盛な食欲に安堵し、洗濯をすませ、熱いコーヒーを淹れてもらって松本・開運堂の「これはうまい」を食ってゴンチチの番組を聴いている。
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きのうの今頃は女鳥羽川に別れをつげて中町蔵の街を歩いていたんだなあ、と余韻を楽しむ。
前にも書いたことがあるけれど、旅に出ると偶然の重なりが思いがけない喜びや感動をもたらすことを痛感する。
とくに当初考えた通りに運ばなかったようなときが、好機到来なのだ。
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ぜんじつ「小麦や」で洋菓子をお土産に買って袋(そのデザインが可愛い)を余計にいれてもらったら、その大きさが間違っていたことにホテルに帰って気がついて、店に電話して明朝取りに行くので開店時間を尋ねたら、なんとそこの社長がホテルまで届けてくれた。
カミさんが恐縮してロビーで受け取って雑談すること暫し、部屋に戻ってきて興奮気味に報告するには、ステキな人で、雑談していたら「小麦や」の前のカフエの若き経営者は、我が家の近くの洋菓子屋「ナオキ」で修業したことが判明、、お詫びの印かお菓子までもらってきた。
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最後の日は松本美術館にでも行こうかと、蔵の街を歩いて方角が分からなくなってウロウロしていたら、こんな店が目についた。
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前日までもなんどか店の前を通っていながら、気がつかなかった吊るし柿のスダレ、そこに浮かぶ丸い大きなお月様、ウサギが二匹見上げている。
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おや、面白いなあ、見ていたら、店の中に人の気配、戸を開けて「ウサギと月に呼ばれました」、どうぞどうぞ、もう開店するところです、とご主人が招きいれる。
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趣味のよい雑貨が美しく置かれている。
急な梯子を上がって(「上がるだけの価値がありますよ」とご主人)みると昭和の香りがする古ぼけた部屋が
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ウサギ君の後ろ姿が可愛らしい。
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気をつけてみるとあちこちににやっと笑いたくなるものがある。
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ことにも
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春秋ヲ重ネ来タリ イマ若キ心ノ憧レニ還リナム イザ 某氏ノ詠
いいね。
松本愛に満ちたご主人で「落語だって毎週のように聴けますよ、、能?う~ん、これは長野まで行かないとねえ」、東京のコンサートや美術展に足を運び行列をつくることも多いらしく、、そんな話を聴くといつも東京に住んでいても怠け者はもったいないことだと申し訳ないような気がする。
ガラスの片口や箸置きなど数点を自分のために、また来るべきプレゼントの用意に贖う。
奥さんも出てらしたので、柿のことなどを話す。
「陶片木」、美術館に行くよりも楽しく目の保養をしたね、と言い交して出ようとすると夫婦揃って見送ってくれた。
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奥さんが包んでくださった柿、
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○○柿っていうんですよ、さあ、その○○が出てこない。
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水木と閉店の店が多かったせいか金曜日は通りの店のウインドウを見て歩くだけで楽しい。
道に迷ってほんとによかった。
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トイレに行きたくなって、見回すと一昨日から気になっていたカフェ「中町カフェ」がOPEN、やれ嬉しやと入ると
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細長い大きな店、奥に子供を遊ばせるコーナーがある。
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つい黒板に日付を書いたのは僕。
ここの経営者が、「小麦や」の社長が話していた「ナオキ」で修業した永野君、トイレから出てみたらカミさんとすっかり意気投合して話し込んでいる。
地域とのつながりを大事にしながら、新しい試みにチャレンジしている。
そんな話の合間に我が家の近所の「ふくちゃん」や「翁寿司」のことなどを語り合い「懐かしいなあ懐かしいなあ」を連発する。
そのあともあちこちで引っかかって、世間は狭いことを痛感したりして、陶片木の主人が教えてくれた蕎麦屋「種村」へ。店内は御嶽海記念館の感じがする。
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尋ねると女将さんのイトコが誰あろう御嶽海だった。
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美味しい蕎麦の食べ方、まず塩ついで辛口の出汁、さいごに甘口の出汁でどうぞ、とぜんぶ出してくれる。
なるほど、うまいもんだ。
余は満足じゃ、といったら、女の子が嬉しそうに笑った。
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松本は大きすぎず、観光地づれしていなく、お洒落で、うまくて、人が優しくて知的で、すなわち失敗と思えたことが、ずっとハッピーな結果につながっていく幸せな街だ。
帰ってくるや、カミさんは「次はいつ行く?」だとさ。

Commented by otebox at 2018-12-01 12:53
思わず引き込まれてしまったのは旅なのか文なのか。
私の問いでもあります。「次はいつ行かれます?」
Commented by jarippe at 2018-12-01 14:52
saheiziさんは凄いです やっぱり
奥様も。 我が街の人たちと楽しくおしゃべりしてくださって
本当に嬉しいですし 気持ちがいいです
私も中町を目線を変えてブラブラしたくなりました
ここ数日のsaheiziさんのブログ記事を
市長に読んでもらいたいです
saheiziさんご夫妻に松本市の観光大使をお願いしたいですね
本を沢山読まれいろんな芸能をたのしまれている
saheiziさんならではの文もいいな~
サンちゃんの尻尾キラキラした目表情を想像します
Commented by saheizi-inokori at 2018-12-01 15:51
> oteboxさん、人生は旅だと教えています。
Commented by saheizi-inokori at 2018-12-01 15:52
> jarippeさん、松本ばんざーい!
Commented by そらぽん at 2018-12-01 19:10 x
どのお店も(きょうのは特別に)レイアウトが
端正で華やかで、何ともいえない素晴らしさがありますね  
日本は抜群の美的センスがあるなと思います
お店の方がエプロン?前垂れ?を着けておられる文化も素敵です
Commented by saheizi-inokori at 2018-12-01 21:36
> そらぽんさん、それでいて近所のおじさんおばさんのように、親しみをもって話ができるのが最高でした。
しかも知性的な話が!
Commented by j-garden-hirasato at 2018-12-02 09:27
奈良井、松本を
存分にお楽しまれたご様子、
何よりです。
どちらも魅力的な町並みです。
Commented by saheizi-inokori at 2018-12-02 11:07
> j-garden-hirasatoさん、丸い郵便ポストを見て、あなたを思い出しましたよ。
Commented by haru_rara at 2018-12-02 12:04
松本に今すぐ行きたくなりました。
お訪ねになった、ここもあそこも、懐かしく思い出多き場所です。
干し柿、市田柿かな?
Commented by saheizi-inokori at 2018-12-02 12:14
> haru_raraさん、市田柿、別の言い方なかったですか?まだ思い出せないけど知っている名前でした。
Commented by doremi730 at 2018-12-03 00:17
おけさ柿ですか?
Commented by at 2018-12-03 00:49 x
良い旅やったね、
こちら、今度はのんびり空気のきれいな所へ行きたいな、
Commented by saheizi-inokori at 2018-12-03 09:10
> doremi730さん、いや、もっと違う名前でした。
Commented by saheizi-inokori at 2018-12-03 09:11
> 蛸さん、ネパールは空気きれいではないのですか。
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by saheizi-inokori | 2018-12-01 11:34 | こんなところがあったよ | Trackback | Comments(14)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori