憂国忌に大阪万博と芸協を憂う 末廣亭下席
2018年 11月 26日
憂国忌、抜けるような青空のしたで大阪万博開催を喜ぶ者どもがいる。
「世界の課題を解決する」とかなんとか松井知事が締まりのない顔でしゃべっていた。
ほんきでそうするなら「差別・格差のない世界を創る」をテーマにしたら、ちったあ意味のある万博になるのではあるまいか。
都立大学から副都心線で新宿三丁目、末廣亭にいった。
幸兵衛さんのお誘い、芸協、寿輔と茶楽がお目当てだった。
昼席から夜席の途中まで、27組の高座を見たので、よかったものだけを書く。
萬橘「紀州」
テンポの良いため口で、駅に迎えに来て柱の陰に隠れて脅かそうとする(違う人を脅かす)母親のことなど、笑えるマクラから本題に入るが、脱線にみせて本筋の注釈を兼ねるような軽妙な運びで聴かせた。
きのうの寄席の落語家はほとんどが漫談、みゃくらくのないジョークの連続で終わっていて、それはちっとも満足感を与えないのだが、萬橘は頭抜けていた。
遊三「ぱぴぷぺぽ」
なんという題名なのか知らないので、「ぱぴぷぺぽ」としておいたが、誰もが知っている懐かしい歌謡曲を「ぱぴぷぺぽ ぱぴょぷぴょ」の歌詞で歌うのだ、両手を振りながら。
けっこう頭をつかう、健康になる、なるほど80歳、つやつやしたお顔で、音吐朗々「ぱぴぷ ぺぽ~」と歌うのが下手なギャグよりずっと楽しく和んだ。
寿輔「しりとり都都逸」
下ネタもまじえて都都逸の連発、簡単なようでもリズムが悪いとだめだけど、さすがにトリ、派手な黄色のテトロン着物(模様は貼り付け)に恥じなかった。
僕は他の連中がギャク漫談ばかりだったから、主任くらいは本格古典でしめて欲しかったのだが。
小痴楽「一目上り」
生きが好くて面白く聴けた。
可龍「初天神」
初めて聴く人だったが、切れ味がよく、これから楽しみな感じがした。
宮田章司「物売りの声」
代演で出て、85歳、枯れた芸の域に達した。
やったのは、「宝船」「七草」「唐辛子」「ヒイラギ豆ガラ赤鰯」「朝顔の苗」「甘酒」「豆腐生揚げがんもどき」「ほおずき」「泥鰌」「納豆味噌豆」「おでん、煮込みおでん」「大根」「金魚」「飴」
眼をつぶると逝きし世の影がぼ~っと。
茶楽「厩火事」
ほめ・くさんなどのブログを読んでぜひ高座に接したいと思っていた。
商家の旦那みたいな風情、めりはりのある、しかし軽い(もちろんいい意味の)藝。
笑点派出所みたいな感じのきのうの寄席のなかで、こういう噺を聴けたのは救い也。
松之丞「西行鼓が滝」
松之丞、売り出し当時のオーラは感じられなかった。 (カキフライがあると90%の確率で注文する)
あと四人ほどの出番を残して外に出て、ふたり「居残り会」。
久闊を叙す、「久闊」とはどのくらいの久しぶりなのか分からないが、よもやま話でいい酒を飲むことができた。
〆に呑んだ小樽のなんたらビールもうまかった。
久しぶりの芸協の寄席、数人の例外を除くとレベルが低い。
連休の日曜日、満員の客のかなりが落語初心者に見受けられたが、それに合わせるようにしてつまらないジョークを連発する。
シャレのつもりか、客のレベルの低いのを嘆くような発言も一人や二人ではなかった。
笑わないのは客のレベルが低いからではなく、ギャグの質が低劣で笑う気になれないか、芸人がヘタクソだからだ。
爆笑間違いなしのネタなのに、冷え切った客席、どうしたらあれほどつまらなく話せるのかと腹がたった、寄席で腹をたてさせてどうする!
ジョークで笑うのは雰囲気を盛り上げるには効果があるけれど、それは本来の落語を楽しむ環境をつくるだけのもので、ジョーク自体がすべてになっては、噺が与えられるはずの感動のない寄席になってしまう。
他の出演者
昼席はD51の途中で入り、金の助「子褒め」右左喜「漫談」山上兄弟・兄・「奇術」小文治「浮世床」新山真理「漫談」助六「酔っ払い」圓遊「漫談」ひでや・やすこ「漫才」今輔「漫談」扇鶴「三味線」円丸「悋気の独楽」金遊・落語「題名知らず」まねき猫「物まね」小助・小時「大神楽」笑好「ぜんざい公社」ぴろき「ウクレレ漫談」談修「長短」富丸「漫談」
「世界の課題を解決する」とかなんとか松井知事が締まりのない顔でしゃべっていた。
ほんきでそうするなら「差別・格差のない世界を創る」をテーマにしたら、ちったあ意味のある万博になるのではあるまいか。
幸兵衛さんのお誘い、芸協、寿輔と茶楽がお目当てだった。
昼席から夜席の途中まで、27組の高座を見たので、よかったものだけを書く。
萬橘「紀州」
テンポの良いため口で、駅に迎えに来て柱の陰に隠れて脅かそうとする(違う人を脅かす)母親のことなど、笑えるマクラから本題に入るが、脱線にみせて本筋の注釈を兼ねるような軽妙な運びで聴かせた。
きのうの寄席の落語家はほとんどが漫談、みゃくらくのないジョークの連続で終わっていて、それはちっとも満足感を与えないのだが、萬橘は頭抜けていた。
遊三「ぱぴぷぺぽ」
なんという題名なのか知らないので、「ぱぴぷぺぽ」としておいたが、誰もが知っている懐かしい歌謡曲を「ぱぴぷぺぽ ぱぴょぷぴょ」の歌詞で歌うのだ、両手を振りながら。
けっこう頭をつかう、健康になる、なるほど80歳、つやつやしたお顔で、音吐朗々「ぱぴぷ ぺぽ~」と歌うのが下手なギャグよりずっと楽しく和んだ。
下ネタもまじえて都都逸の連発、簡単なようでもリズムが悪いとだめだけど、さすがにトリ、派手な黄色のテトロン着物(模様は貼り付け)に恥じなかった。
僕は他の連中がギャク漫談ばかりだったから、主任くらいは本格古典でしめて欲しかったのだが。
生きが好くて面白く聴けた。
可龍「初天神」
初めて聴く人だったが、切れ味がよく、これから楽しみな感じがした。
宮田章司「物売りの声」
代演で出て、85歳、枯れた芸の域に達した。
やったのは、「宝船」「七草」「唐辛子」「ヒイラギ豆ガラ赤鰯」「朝顔の苗」「甘酒」「豆腐生揚げがんもどき」「ほおずき」「泥鰌」「納豆味噌豆」「おでん、煮込みおでん」「大根」「金魚」「飴」
眼をつぶると逝きし世の影がぼ~っと。
ほめ・くさんなどのブログを読んでぜひ高座に接したいと思っていた。
商家の旦那みたいな風情、めりはりのある、しかし軽い(もちろんいい意味の)藝。
笑点派出所みたいな感じのきのうの寄席のなかで、こういう噺を聴けたのは救い也。
松之丞「西行鼓が滝」
伝え聞く 鼓ケ滝に 来てみれば 沢辺に咲きし たんぽぽの花西行さんが詠んだ歌を田舎家(きっと夏井家だろう)の爺さん婆さん娘御が寄ってたかって推敲
音に聞く 鼓ケ滝に うちみれば 川辺に咲くや 白百合の花としてしまった。
松之丞、売り出し当時のオーラは感じられなかった。
あと四人ほどの出番を残して外に出て、ふたり「居残り会」。
久闊を叙す、「久闊」とはどのくらいの久しぶりなのか分からないが、よもやま話でいい酒を飲むことができた。
〆に呑んだ小樽のなんたらビールもうまかった。
久しぶりの芸協の寄席、数人の例外を除くとレベルが低い。
連休の日曜日、満員の客のかなりが落語初心者に見受けられたが、それに合わせるようにしてつまらないジョークを連発する。
シャレのつもりか、客のレベルの低いのを嘆くような発言も一人や二人ではなかった。
笑わないのは客のレベルが低いからではなく、ギャグの質が低劣で笑う気になれないか、芸人がヘタクソだからだ。
爆笑間違いなしのネタなのに、冷え切った客席、どうしたらあれほどつまらなく話せるのかと腹がたった、寄席で腹をたてさせてどうする!
ジョークで笑うのは雰囲気を盛り上げるには効果があるけれど、それは本来の落語を楽しむ環境をつくるだけのもので、ジョーク自体がすべてになっては、噺が与えられるはずの感動のない寄席になってしまう。
他の出演者
昼席はD51の途中で入り、金の助「子褒め」右左喜「漫談」山上兄弟・兄・「奇術」小文治「浮世床」新山真理「漫談」助六「酔っ払い」圓遊「漫談」ひでや・やすこ「漫才」今輔「漫談」扇鶴「三味線」円丸「悋気の独楽」金遊・落語「題名知らず」まねき猫「物まね」小助・小時「大神楽」笑好「ぜんざい公社」ぴろき「ウクレレ漫談」談修「長短」富丸「漫談」
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jarippe at 2018-11-26 16:06
今度のオリンピックもそうだけれど
この万博にもなんだかな~ 他にやることあるじゃん
って気がしてしまいます
相乗効果ってあるのでしょうか
その頃自分はどうなっているか分かりませんけれど
この万博にもなんだかな~ 他にやることあるじゃん
って気がしてしまいます
相乗効果ってあるのでしょうか
その頃自分はどうなっているか分かりませんけれど
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saheizi-inokori at 2018-11-26 16:16
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antsuan at 2018-11-26 16:41
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そらぽん
at 2018-11-26 18:01
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チンピラ知事土建屋のヤッタゼ万歳写真が キモチ悪い~
こんな短期のイヴェントで、経済が浮上するなんて嘘 笑
時給叩きで下には締めるブラック企業へ国からの贈物です~
奨学金返済額が1千万円弱の研究院生の話をポツポツ聞いた
ばかりなんで もう殴りかかりたいキモチですわ
こんな短期のイヴェントで、経済が浮上するなんて嘘 笑
時給叩きで下には締めるブラック企業へ国からの贈物です~
奨学金返済額が1千万円弱の研究院生の話をポツポツ聞いた
ばかりなんで もう殴りかかりたいキモチですわ
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kanekatu at 2018-11-26 18:03
今回の大阪万博は、カジノ誘致とセットになっているのが先ず気に入りません。安倍ー維新ラインとしてはしてやったりで、そっちはもっと気に入らない。
アメリカからバカ高い武器を買わされて、その穴埋めに消費税増税。国民よ、もっとしっかりしてくれと言いたくなります。
アメリカからバカ高い武器を買わされて、その穴埋めに消費税増税。国民よ、もっとしっかりしてくれと言いたくなります。
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saheizi-inokori at 2018-11-26 18:51
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saheizi-inokori at 2018-11-26 18:54
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saheizi-inokori at 2018-11-26 19:00
> kanekatuさん、嬉しそうに語る市民よ、あなたは何を期待してそんなに喜ぶんですか?と尋ねたくなりました。お盆の上の小豆、みんな揃って傾きに従う、スバラシキ国民!
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wawa38 at 2018-11-26 20:14
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saheizi-inokori at 2018-11-26 22:00
> wawa38さん、私も大阪も愛知も行かなかったです。あの行列や混雑をテレビで見たら、交通費もちで招待されても行く気にはなれません。
税金は格差是正、差別絶滅のために使って欲しいなあ。
万博の経済効果が格差の拡大につながることを恐れます。
税金は格差是正、差別絶滅のために使って欲しいなあ。
万博の経済効果が格差の拡大につながることを恐れます。
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haru_rara at 2018-11-26 22:02
万博、まったく嬉しくないので、これからこの話題ばっかりなんだろうと思うとうんざりします、オリンピックと同様に。
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saheizi-inokori at 2018-11-26 22:12
> haru_raraさん、あんなことに金を使うなら、もっともっとはるかに大切なことに使って欲しいと、つくづく思います。当選が決まって飛び上がって喜んだような人たちのために使って欲しくない!
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j-garden-hirasato at 2018-11-27 06:26
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saheizi-inokori at 2018-11-27 06:32
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福
at 2018-11-27 06:33
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萬橘、談修の名前がありますね。
芸協が「末廣亭」に限り、圓楽党や立川流をゲストメンバーとして出しているということでしょうか。談修は一見、生徒に人気のある塾講師ですが、語りはテンポがよくて楽しみなヒトです。
芸協が「末廣亭」に限り、圓楽党や立川流をゲストメンバーとして出しているということでしょうか。談修は一見、生徒に人気のある塾講師ですが、語りはテンポがよくて楽しみなヒトです。
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saheizi-inokori at 2018-11-27 06:36
> 福さん、談修は「長短」、もう少し短七にユトリを持たせて欲しかったです。なんか怖い。
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rinrin
at 2018-11-27 09:03
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カキフライお好きなんですか?ダーリンもカキフライに目がなくって、逆に言えばこれを出すとご馳走と喜んでくれます笑
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ikuohasegawa at 2018-11-27 09:22
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saheizi-inokori at 2018-11-27 11:22
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saheizi-inokori at 2018-11-27 11:23
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k_hankichi at 2018-11-27 20:03
憂国忌のことを世間は全く忘れ去ったかのような扱いでしたね。
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saheizi-inokori at 2018-11-27 20:23
> k_hankichiさん、私は三島が好きなわけではないのですが、あの事件は衝撃でした。日本人に問題提起しましたね。
by saheizi-inokori
| 2018-11-26 12:23
| 落語・寄席
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