溶けゆく雪のような マーガレット・ミラー「雪の墓標」

きのうの午後読み始めて、けさの五時に起きて残りの100頁を読んだ、ふう~っ。
マーガレット・ミラー。
1994年に79歳で亡くなったミステリ作家、ロス・マクドナルドとも結婚していたことがあり、生活苦から神経を病んで入院中に夫が持ち込んだ大量のミステリに触発されて執筆を始めたという。
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クリスマスを控えた雪降る夜、デトロイト近郊の町で起きた殺人事件。
被害者と一緒にいた泥酔した女が逮捕され、男女関係のもつれかとみられる。
主人公・弁護士は、弁護活動を開始するが、驕慢な女には不利な状況ばかりで、頭を抱えていると、とつぜん若い男が現れ、犯人は自分だと名乗りをあげる、証拠はそろっている。
不治の病に侵され死をまじかにしているひ弱な男だ。

しかし、どうもなぜ彼が殺人を犯したのかが、分からない。
依頼人が釈放されて無用になったはずの弁護士は「同情と友情の気持ち」から、事件の謎に関わっていく。
友情といっても、彼とはこの時に初めてあったのだ。
「Vanish in an Instant」、雪だるまのように「たちまち消え失せる」世界、感情であっても愛は突然に現れる。
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1950年代という時代設定が、一種古風な趣を与えて好ましいが、古臭い小説とはとうてい言い難い。
ミーチャム(主人公)はヴァージニア(殺人犯と目された女)が通り過ぎる列車を見つめ、赤い車掌車に手を振ったときの表情を思い浮かべた。移動、変化、スピード、それらはヴァージニアにとっては必要不可欠なものだった。彼女は常に、世界中を巡り巡ってとまることのない、通過列車に乗っているべきなのだ。
誰だって、そうなのかもしれない。
ごく普通の人々が実はそんな人生を送っているのかもしれない。
弱さと欠点を持て余し、知らぬ間に周りの人たちに迷惑をかけている普通の人々。
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きみはなんでもむきになりすぎる。
、、だから早く走りすぎてつまずくんだ。そのたびに他の人々が地面から助け起こさなければならない。
僕も何度も助け起こされたのかもしれない、自分では分からないうちに。
実際に起こったことの真相となると、わたしたちには決してわからないのかもしれません。おそらく、どんなことにも完全な真実など存在しないのでしょう。ただいくつもの種類、違った色や味わいがあるだけで。アイスクリームのようにね。人はその中で最も気に入ったものを選ぶのです。
そうかもしれないなあ。
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でも「同情と友情」で動き続ける弁護士の前に真犯人は姿を現す。
僕には想像できなかった真犯人が。

面白かったなあ、この人の作品をもう少し読みたくなった。
ミステリとしての巧みな仕掛けもさることながら、心理描写とかディテイルの丁寧な描写(恐るべきアル中!)など、静かなカフェの電灯の灯りで読むには最適だ。
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昨夜は初おでん。
翌日のおでん茶漬け(汁をかけて豆腐を乗せてぐちゃぐちゃにする)も嬉しかった。
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中川美帆子 訳
論創社
Commented by そらぽん at 2018-11-25 18:41 x
[Vanish in an Instant] 魅力的ですね! 
この作者の他作品にも興味がわきました お知らせ嬉しいです
いつもの木が、いよいよお洒落ですね  此方きょうから  
石畳の広場や城の庭にクリスマス市が立ち きらきらします
Commented by saheizi-inokori at 2018-11-25 19:40
> そらぽんさん、ようやく見ごたえが出てきました。マーガレットミラー、他も読んでみます。
読みたい本が又増えて嬉しいような大変なような、、。
Commented by j-garden-hirasato at 2018-11-26 06:33
寝起きに読書ですか。
頭が下がります。
Commented by ikuohasegawa at 2018-11-26 06:34
マーガレットミラー、探してみます。
Commented by saheizi-inokori at 2018-11-26 09:13
> j-garden-hirasatoさん、その前から目は覚めていたのですが、もう少し寝ようとして失敗したのです。
あまり早くからガタガタやると悪いのでホンを読みました、要するに年寄りなのです。
Commented by saheizi-inokori at 2018-11-26 09:14
> ikuohasegawaさん、私も探します、今の在庫を片付けたら。
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by saheizi-inokori | 2018-11-25 10:45 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(6)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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