最高裁、大臣、議員、高級官僚はこぞって観るべし 歌舞伎「名高大岡越前裁」@国立劇場
2018年 11月 20日
国立劇場で歌舞伎「名高大岡越前裁」(名は高し大岡さばき)を観た。
天一坊なる男が、偽って八大将軍徳川吉宗のご落胤であると名乗りをあげて世間を騒がした「天一坊事件」、実際にあった事件に大岡越前は関わってはいないが、初代神田伯山が「大岡政談」のひとつとして講釈して評判になったものを、河竹黙阿弥が劇化した。
インチキご落胤チーム4人の「悪だくみ」でニタリ、ここで僕はおそれながら この写真とキャプションを思い出しましたよ。
それがウマくいき、将軍・吉宗は親子の対面をするつもりになったが、敢然と反対して、天一坊の言い分を再吟味させてくれといったのが、大岡越前。
将軍は怒って、大岡を閉門蟄居とする。
大岡の側近たちが、これは切腹・お家断絶は免れないので、切腹の達しが出る前に自ら腹を切って、せめてお家断絶だけは避けるべしと、進言するが、大岡は、どうしても天一坊の再吟味をして化けの皮をはがしたいと、死体に化けて「無常門」から忍びでて(このシーンが喜劇仕立てで大笑い)、小石川の水戸藩主・徳川綱篠に取り成しを頼み、再吟味を始める。
天下のご政道の過ちを防ぐために切腹・お家断絶を覚悟して毅然と立つ、なんざ隣りの最高裁やご近所の議員・官僚の皆さんへのアテツケかと思うのでありましたよ。
(昼飯のお握りを食い始めるとすぐにパラパラと舞い降りてきた雀たち、小さいのが一個しかなかったので、分けてやれなくてゴメン)
名奉行の意気込みも空しく、悪どものインチキを暴く証拠が見つからない。
かたや、天一坊には本物のお墨付きと名刀(所持者のお三婆さんを殺して簒奪したもの)があり、大男(顔も大きい)の知恵者がついていてああ言えばこう言う。
万事休す、かくなる上は妻子もろとも死なねばならない。
白装束の息子は、「天下のために父上と死ぬのは本望」、大岡が短刀で子供の喉をつこうとする腕を押しとどめ「父と同じように切腹したい」とのたもうた。
御年、11歳、昨日はあちゃんも11歳になったんだなあ、と思いを馳せる爺ちゃん。
作法通り、父とシンクロする切腹作法、その作法は誰に教わったと父が問えば、私がと妻がいう。
出処進退の潔さについて、孫たちは誰に教わるのだろう。
大臣や高級官僚のやることを真似てはダメぞよ。
想えば、坊やが切腹で死ぬと言ったために稼いだ時間で、ぎりぎり間に合った紀州探索組の「アリバイ崩し」の朗報、そうなると分かっていてもハラハラ、使者の登場には拍手と安堵の涙がこみ上げるのは忠臣蔵でも同じだ。
勧善懲悪のめでたしめでたし。
我ら国民は塀ひとつ隔てた (あれが最高裁)
劇場のお芝居でしか味わうことは出来ない喜びではあったが、胸がすっとしたのでありました。
インチキご落胤チーム4人の「悪だくみ」でニタリ、ここで僕はおそれながら
それがウマくいき、将軍・吉宗は親子の対面をするつもりになったが、敢然と反対して、天一坊の言い分を再吟味させてくれといったのが、大岡越前。
将軍は怒って、大岡を閉門蟄居とする。
大岡の側近たちが、これは切腹・お家断絶は免れないので、切腹の達しが出る前に自ら腹を切って、せめてお家断絶だけは避けるべしと、進言するが、大岡は、どうしても天一坊の再吟味をして化けの皮をはがしたいと、死体に化けて「無常門」から忍びでて(このシーンが喜劇仕立てで大笑い)、小石川の水戸藩主・徳川綱篠に取り成しを頼み、再吟味を始める。
天下のご政道の過ちを防ぐために切腹・お家断絶を覚悟して毅然と立つ、なんざ隣りの最高裁やご近所の議員・官僚の皆さんへのアテツケかと思うのでありましたよ。
名奉行の意気込みも空しく、悪どものインチキを暴く証拠が見つからない。
かたや、天一坊には本物のお墨付きと名刀(所持者のお三婆さんを殺して簒奪したもの)があり、大男(顔も大きい)の知恵者がついていてああ言えばこう言う。
万事休す、かくなる上は妻子もろとも死なねばならない。
白装束の息子は、「天下のために父上と死ぬのは本望」、大岡が短刀で子供の喉をつこうとする腕を押しとどめ「父と同じように切腹したい」とのたもうた。
御年、11歳、昨日はあちゃんも11歳になったんだなあ、と思いを馳せる爺ちゃん。
作法通り、父とシンクロする切腹作法、その作法は誰に教わったと父が問えば、私がと妻がいう。
出処進退の潔さについて、孫たちは誰に教わるのだろう。
大臣や高級官僚のやることを真似てはダメぞよ。
想えば、坊やが切腹で死ぬと言ったために稼いだ時間で、ぎりぎり間に合った紀州探索組の「アリバイ崩し」の朗報、そうなると分かっていてもハラハラ、使者の登場には拍手と安堵の涙がこみ上げるのは忠臣蔵でも同じだ。
勧善懲悪のめでたしめでたし。
我ら国民は塀ひとつ隔てた
劇場のお芝居でしか味わうことは出来ない喜びではあったが、胸がすっとしたのでありました。
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at 2018-11-20 16:46
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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saheizi-inokori at 2018-11-20 16:56
> 鍵コメさん、ほんとにそつくりでしたよ。
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そらぽん
at 2018-11-20 19:09
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劇場のロビーを見下ろす写真に 心が癒されました~
全く 醜悪男4と魔女1の顔は芝居以上の迫力ですね
他方、甘利もモリカケも忘れた様に ゴーンで騒ぐ国民
「米国の悪しき権力共が好き勝手できるのは、それを
させる米国民ゆえ ~119評」 まんまニホン..??
全く 醜悪男4と魔女1の顔は芝居以上の迫力ですね
他方、甘利もモリカケも忘れた様に ゴーンで騒ぐ国民
「米国の悪しき権力共が好き勝手できるのは、それを
させる米国民ゆえ ~119評」 まんまニホン..??
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saheizi-inokori at 2018-11-20 19:54
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j-garden-hirasato at 2018-11-21 06:56
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j-garden-hirasato at 2018-11-21 06:57
しまします→しまいます
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saheizi-inokori at 2018-11-21 08:42
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喜洛庵上々
at 2018-11-21 10:16
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佐平次さんの鑑賞記を読ませていただきましたら、もう一度観に行きたくなりました^^
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saheizi-inokori at 2018-11-21 11:59
> 喜洛庵上々さん、勘所を抑えた楽しい芝居でしたね。7列目の真ん中、前も両側も空席、贅沢な気分で見ました。
by saheizi-inokori
| 2018-11-20 11:56
| 能・芝居・音楽
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Comments(9)