三時間は短すぎた只見のサイクリング
2018年 11月 11日
惜しいけれど会津の空気を洗い落とした洗濯物を干しながら、三日間のことを思いだす。
絢爛豪華な綾錦ではなくてちょっと盛りをすぎた紅葉が、静かな小雨に濡れたりさっと照る日に輝いたりしてみせる風情はとてもやさしくて、すがれつつある年寄りにはけっこうなものだった。 どこの家にも菊の花ばかりなのも子供の頃の原風景を思い出させてくれた。
絢爛豪華な綾錦ではなくてちょっと盛りをすぎた紅葉が、静かな小雨に濡れたりさっと照る日に輝いたりしてみせる風情はとてもやさしくて、すがれつつある年寄りにはけっこうなものだった。
田島ではこんなお宅もあった。 酒井さんがなにくれと面倒をみてくれて、わが搭乗機が颯爽と出番を待つ。 じゃ、行ってくるね!
そういって、向かったのは100メートルも離れていない滝神社、そこで三時間の旅の安全祈願。 会津線の列車に手をふる案山子たちの慰労激励も忘れない。 酒井さんのお薦めコース、その一の只見湖は雨が強そうなので、その二の「たもかく本の街」をめざす。
自転車に乗るのは、何年ぶりだろう。
ハンドルに癖があるのか左に寄り勝ちだが、電動アシスト(初めて)つきなので楽ではある。
走り出してすぐにスマホのアラームが鳴った。
国立演芸場のチケットを予約する時間なのだ。
自転車を止めて横をみると、 酒井さんの地図にはないカフェがある。
掃除機を動かしているご主人が、今開店です、十時五分前、やれ嬉しやと、座ってカフェラテを頼んで、チケットを予約する。
いつもはパソコンなのにスマホだと勝手が違って焦ったが、無事確保できてほっとした(カミさんも誘ったので失敗は許されない)。
男が一人入って来て、「わ、うまそうだなア、ひとつ食っていいですかあ」、気がついたらパン屋さんがカフェをやっているのだった。
彼がむしゃむしゃやっているピザパンがうまそうで、僕も塩ブタとキノコに安納芋のピザを食う、しっかり朝ご飯を食ったばかりなのに、旅は非日常なのだよ。
男は会津坂下からきて町の風呂に入ってきたといい、その地名に反応した僕はなにかとりとめもないやり取りをしたが、もう内容は忘れた、楽しかったという気分だけがまだ残っている。
店の奥さんがレジに出て、訊くとことしの5月にオープンしたばかり、「しんどくなってきたころかな?」よけいなことを励ましの気持ちをこめて言ったら「なんせ、小さな子供がいますので、、」なるほどトイレに行くときに玩具や絵本があった。
焼いたばかりのカンパーニュを一つお土産に買って、がんばってね、古本屋に向かう。 雨がちょっときつくなって(傘をさすほどではないが)、一本道を間違えるはずがないなと不安になったころに着いた不思議な街、といってもショッピングセンターなど、いくつかの建物のほとんどが使われておらず、事務所と古本館が開いていた。
図書館か書庫か、ぎっしり展示してある本はほとんど気軽に読める、エンタメ系だ。
50代くらいの女性がはっきりした声でよもやま話をするのを、レジの女性が言葉少なに笑顔で受けている。
そのやり取りを耳を澄ますというでもなく聞いているのが心地よかった。
せっかくなので、「ビブリア古書堂の事件手帖」を二冊購入、カミさんがこの映画を見て面白かったといってたのでお土産代わりだ。
雨が強くなったので帰ろうかと自転車をまわすと隣りに「只見の土産 じゅうねん油」というのがある、迷わず入ると、40代後半かなあ、奥さんがお茶を振る舞ってくれる。
「じゅうねん油」というのはえごまの油で、食べると10年寿命が延びるからこのあたりの人がそういうのだと、近郷近在の人たちが自作のエゴマを持ち込んで搾油してもらうらしい。
エゴマがとれるまでの図解を観たり、 10年に一度採れるといういう「藤のはちみつ」を買ったり、子供たちにもと「JR只見線復興支援じゅうねん油」売り上げ一本につき百円の復興基金寄付というのを4本買ったり、黒ニンニクや黄な粉飴も買って(大散財!)自宅に送ってもらったのが、さっきついたところだ。
このほかにクルミ、焼酎「ねっか」、絵葉書などをリュックで担いで帰った、僕にしては土産の多い旅也。
さっきのカフエでもここでも酒井さんは評判がいい。
そういえば酒井さんお薦めのタンメンを食べなきゃというと、「早く行かないと行列ができます」、じゃあ、サヨナラ、お元気でね、途中から出て見えたおばあさんにも挨拶をする。
(只見駅、右が坂下方面、今不通)
いったん駅に帰ってタンメンの場所を確かめようと自転車にまたがったが、えらく重い。
久しぶりなので足が悲鳴を上げているのかと、汗をかいてがんばったが、ますます重い。
それでも下りがあったので一キロほど走ってから、よくみるとさっきまでは入っていた電動のスイッチが切れていた。
着いてから酒井さんにそういうと、長い時間走らないで置いとくと切れるのかなあ、とゴメン顔をした。
そこからは近いというので歩いてタンメンを食べに行ったが、初めての道は遠くて迷ったかと思い、郵便局で尋ねようと思ったら昼休みなのか閉まっている。
ふつうの民家で、ごめん下さいと言いかけたら奥のほうで忙しそう、諦めかけて(腹はいっぱいなのだし)自転車を回したらなんとそこが「美松食堂」、奥に見えたのが厨房だった。
工事関係者で一杯の店、大盛りなのだ。
かなりニンニクの風味を効かせたタンメンをふ~ふ~食って、三時間なんてあっけないもんだね、もう帰らなきゃ。
只見小学校にも別れを告げて、酒井さんにもお礼を云って、サヨナラだけが人生だ、タクシー(1500円)で田島に向かった。
けさ食べた只見のカンパーニュ、葡萄がいっぱい、んめえなし。
そういって、向かったのは100メートルも離れていない滝神社、そこで三時間の旅の安全祈願。
自転車に乗るのは、何年ぶりだろう。
ハンドルに癖があるのか左に寄り勝ちだが、電動アシスト(初めて)つきなので楽ではある。
走り出してすぐにスマホのアラームが鳴った。
国立演芸場のチケットを予約する時間なのだ。
自転車を止めて横をみると、
掃除機を動かしているご主人が、今開店です、十時五分前、やれ嬉しやと、座ってカフェラテを頼んで、チケットを予約する。
いつもはパソコンなのにスマホだと勝手が違って焦ったが、無事確保できてほっとした(カミさんも誘ったので失敗は許されない)。
男が一人入って来て、「わ、うまそうだなア、ひとつ食っていいですかあ」、気がついたらパン屋さんがカフェをやっているのだった。
男は会津坂下からきて町の風呂に入ってきたといい、その地名に反応した僕はなにかとりとめもないやり取りをしたが、もう内容は忘れた、楽しかったという気分だけがまだ残っている。
焼いたばかりのカンパーニュを一つお土産に買って、がんばってね、古本屋に向かう。
図書館か書庫か、ぎっしり展示してある本はほとんど気軽に読める、エンタメ系だ。
50代くらいの女性がはっきりした声でよもやま話をするのを、レジの女性が言葉少なに笑顔で受けている。
そのやり取りを耳を澄ますというでもなく聞いているのが心地よかった。
せっかくなので、「ビブリア古書堂の事件手帖」を二冊購入、カミさんがこの映画を見て面白かったといってたのでお土産代わりだ。
エゴマがとれるまでの図解を観たり、
このほかにクルミ、焼酎「ねっか」、絵葉書などをリュックで担いで帰った、僕にしては土産の多い旅也。
そういえば酒井さんお薦めのタンメンを食べなきゃというと、「早く行かないと行列ができます」、じゃあ、サヨナラ、お元気でね、途中から出て見えたおばあさんにも挨拶をする。
いったん駅に帰ってタンメンの場所を確かめようと自転車にまたがったが、えらく重い。
久しぶりなので足が悲鳴を上げているのかと、汗をかいてがんばったが、ますます重い。
それでも下りがあったので一キロほど走ってから、よくみるとさっきまでは入っていた電動のスイッチが切れていた。
着いてから酒井さんにそういうと、長い時間走らないで置いとくと切れるのかなあ、とゴメン顔をした。
そこからは近いというので歩いてタンメンを食べに行ったが、初めての道は遠くて迷ったかと思い、郵便局で尋ねようと思ったら昼休みなのか閉まっている。
かなりニンニクの風味を効かせたタンメンをふ~ふ~食って、三時間なんてあっけないもんだね、もう帰らなきゃ。
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haru_rara at 2018-11-11 14:16
奥会津がこんなふうに素敵に紹介されると嬉しくなってしまいますねえ。
次回はぜひわが町にもお越しください。
たもかく本の街は、古本と只見の森を交換するという画期的な取り組みで、始まった頃とても話題になりました。
新しいパン屋さん。行かなくちゃ。
只見は奥会津でも相当な豪雪地、これから長い長い冬ですね。
次回はぜひわが町にもお越しください。
たもかく本の街は、古本と只見の森を交換するという画期的な取り組みで、始まった頃とても話題になりました。
新しいパン屋さん。行かなくちゃ。
只見は奥会津でも相当な豪雪地、これから長い長い冬ですね。
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saheizi-inokori at 2018-11-11 16:29
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stanislowski at 2018-11-11 16:59
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saheizi-inokori at 2018-11-11 18:04
> stanislowskiさん、みんなでぶらり旅ですか、そりゃ面白いけど大変かな。
お互いに元気が一番ですね。
お互いに元気が一番ですね。
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koro49 at 2018-11-11 19:50
私も会津を旅した気分になりました。
二泊三日の非日常、リフレッシュ出来ましたね!(^^)!
二泊三日の非日常、リフレッシュ出来ましたね!(^^)!
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urontei at 2018-11-11 20:07
11月10日付けの記事がなかったので 「ああ、ついに佐平次さんの連続更新記録が・・・!」 と思ったのですが、9日付けの記事が二つあって、ホッとひと安心 (笑)
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saheizi-inokori at 2018-11-11 23:21
> koro49さん、ほんとに我ながら一皮むけたような気持がします。
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saheizi-inokori at 2018-11-11 23:22
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そらぽん
at 2018-11-12 05:02
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j-garden-hirasato at 2018-11-12 06:50
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saheizi-inokori at 2018-11-12 07:32
> そらぽんさん、旅の空においてこそ人生をしみじみ振り返えるのですね。
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saheizi-inokori at 2018-11-12 07:32
> j-garden-hirasatoさん、ニキロ体重が増えました!
by saheizi-inokori
| 2018-11-11 12:52
| こんなところがあったよ
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Comments(12)