百歳翁が恋に狂い、弁財天が舞う

明日も晴れるから、と今朝に延ばした大掃除なのに曇り空だ。
その上、右肩右腕が痛く、ガマンシイシイダイソン。
箸より重いものを持たない毎日だから、たまの掃除ごときで「変形した骨」が存在を主張する。
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昨夜は満月とか、ベランダの月も真ん丸だった。
能「竹生島」
竹生島も見えたりや
緑樹影沈んで
魚木に上る景色あり、月海上に浮かんでは兎も浪を走るか
面白の浦の景色や
という詞章がでてきた。
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今月は四回目の能楽堂、ご褒美というわけではないが、正面席最前列真ん中の席だった。
役者たちが僕のために歌ったり舞ったりしてくれたぞ。
「女体」という小書きで後シテが龍神とならず弁財天となって(井伊直弼の演出という)、ほがらかに盤渉楽を舞う。
それもよかったが、後ツレの龍神も勇ましくて気持ちが高揚した。
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(能楽堂中庭)

きのうは狂言「枕物狂」の方が面白かった。
百歳の祖父(千作、前の千作かと思うほど似てきた)が、恋に狂う。
片肌抜いて笹を左肩に、右手に扇子という物狂いの姿でフラフラと泳ぐように登場、松のところで眠れない恋の悩みをうたう。
笹の先には枕が結び付けられていて、恋人が来てくれれば膝枕、来なければ手枕なんて色っぽい歌をうたう。

二人の孫が噂がほんとなら爺ちゃんの思いを遂げさせようと、告白させようとするが、とぼけて年甲斐もなく恋なんかするものではないと、先人の例を引いて説教するうちに、ついつい自分が主人公になってオイオイ泣き出してしまう。
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孫が恋人・乙御前を連れてくると、鼻の下を長くして(千作さん、まんま)二人で去っていく。井伊直弼の前でお抱え役者が急に倒れた、その代役を勤めて認められたのが茂山九世千五郎だったという。
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滋賀県に所縁の演目ということで能楽堂に滋賀県の特産が売られていた。
小鮎の山椒炊き、一袋買って来て晩酌のつまみにしたら、うまいのなんの、おつもりのはずが、小さなグラスにもう一杯酒を追加してしまった。
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帰途、いつもの木に挨拶しようと駒沢公園に寄ったら、素人離れの歌声が聞こえた。
東京ラーメンショーのイベント、素人のカラオケ大会だった。
機械の採点は、ウマイより正確が求められるから、あの人は優勝しないかもしれないな。
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せんじつの大風のせいで葉っぱが飛んでしまった木が多い。
いつもの木もなんだかスカスカしているけれど、少しずつ色づいてきた。
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夜、「幻視の座」で宝生閑の言葉を読んでいたら、先日観た「自然居士」のことで土屋恵一郎(どうしてこんなに大仰にゴマをするのかなあ)とのやり取りが出て来て、
(土屋)先生の人商人に対抗できるシテはあまりいないと思うのです。友枝昭世さんだって弱いと思うんです。
(宝生)昭世ちゃんは芸尽くしの方に重点がいっちゃってるから、懸命に子供を取り戻そうっていうふうにはならないんだよね。冷えちゃってるって感じがするんだよね。
といっている。
厳島で友枝昭世と宝生閑の「自然居士」を観たのに、先日の観世清和の方がワクワク感があって楽しかったのは、そういうことかもしれないと思った。


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by saheizi-inokori | 2018-10-26 11:34 | 能・芝居・音楽 | Trackback | Comments(0)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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