豪勢なメンバー勢揃い 鈴本夏祭り「さん喬・権太楼 特選集」

かれこれ４か月ぶりに鈴本で権太楼以下豪華メンバーの寄席を楽しみ、もっと久しぶりに居残り会メンバーで焼酎のオンザロックをグイグイ飲んだら、二日酔いになった。
もう一杯と言わないでよかった。
朝の一仕事を終えると、ピンポンが鳴るから、荷物かと思ったらハーちゃんとパパが滋賀の実家からの帰りにちょっと寄ってくれて、はあちゃんが１３０匹釣ったという稚鮎の一夜干しをおすそ分け。
裁くのもはあちゃんがやったという。
ラインで釣果を見て、「鮎食いてえ！」とコメントしたのでわざわざ徹夜ドライブの途中で届けてくれたのだ。
二日酔いが吹っ飛ぶ嬉しいサプライズだった。
きのうは「吉例夏夜噺　さん喬・権太楼特選集」という特別企画だった。
前座なしで甚語楼「浮世根問い」から始まる、ね、豪勢でしょ。

地獄と極楽は隣り合わせ、要は気の持ちようでこの世が地獄になったり極楽になったり。
さしづめ二歳の男の子を助けた７８歳のボランテイア爺さんは、どこでなにをしていても極楽だな、自分だけじゃなくて周りの人も極楽気分にしてくれる人だ、なんてぼんやり考えていた。

仙三郎社中　大神楽曲芸
雲助「強情灸」

朝風呂の熱いのに江戸っ子がやせ我慢で入るマクラ、志ん生から馬生と真っ赤な顔をして「ぬるい時になんかゆうなよ」とやってきたのだ。
来る前に燕湯に入ってきたが、ここの熱い方の湯舟には入らなかった、こちとら信州の山猿、イナカッペでェ。
あんな熱い湯に入ったら雲助のセリフじゃないが「ゆで卵がふたつ、できちゃう」。
雲助のセリフと言えば「青瓢箪に屁をひっかけたような男」ってのも、おかしかった。
一之輔「新聞記事」

地味な噺をどう料理するのかと思っていたら、八五郎が隠居の小噺をうろ覚えでパクってやって見せるところが、常套の噺ぶりながら、爆笑又爆笑、うまいもんだ。

市馬「山号寺号」

金龍山浅草寺　成田山新勝寺　オカミサン拭き掃除　看護婦さん赤十字　クロワッサンパリの味　喬太郎さん肥満児　権太楼さんエロ親父
軽妙な味で楽しませる。

ホンキートンク・漫才

ところどころ聞きとれなかったのは耳もだめになってきたのか、しゃべっている内容が分からないようだったか。
露の新治「鹿政談」

新治を初めて見て、その姿や切れ味のよさに驚いたのはもう６年以上も前のこと、久しぶりに見る新治はすっかりお江戸になじんでいるが、持ち味は変わることなく生きていた。

中入り後、小菊・粋曲
さん喬「五人回し」

吉原で花魁に振られて一人膝小僧を抱いて一夜を明かす五人の男の愚痴・泣きの五態、あっさりやると面白いさん喬。
この噺は喜多八がよかったなあ。

正楽・紙切り

「線香花火」「お座敷遊び」「露の新治師匠」（そっくり、鹿も美しい）「盆踊り」
トリは権太楼「子別れ」

ここに来る前、浅草に出てヘンな客に悩まされた噺をしてネタに。
ふつうは二つに分けてやるのを一挙に通しでやったから５０分近い長講となった。
熊、カミさんが涙涙の大熱演といえば格好いいが僕にはイマイチ。
いぜん「藪入り」をやったときも矢鱈にお父さんが泣くのに閉口したが、亀吉のおしゃまな言動で笑わせながらふっとこみ上げてくるというようなやり方ができないはずはないのに、権ちゃん泣くのが好きなのかな。
ぜんたいにちょっと疲れているようなのも気になった。
などと文句をいうのは罰が当たる。
これだけのメンバーが勢揃いして一夜を盛り上げてくれたのが、僕の寄席カムバック一号、そして居残り会５人が連れだって飲みかつ食らい語らったのだから、御の字だ。
その上、皆さんからいろいろお土産をいただいたのも嬉しかった。
眼鏡なしで、後ろ寄りの席から噺家の顔が眼鏡時代よりよく見えた。