扇風機の人

漢方薬を煎じるのに包み紙から出汁パックに移さなきゃいけないのだが、そのままヤカンにいれようとしたり、ガスレンジの二口を同時に使っていて消さなくていい方を（なんども）消したり、生ごみのバケツに新しいものを入れそうになったり、他にもあったが忘れた、、いずれも危ないところで気がついて事なきを得たが、どうも今日は多すぎる。
気をつけろ、と天の神様のご注意かもしれない。
台風のために一緒に酒を呑みそこなった長男が扇風機を送ってくれた。
ブログかなにかで扇風機を物色していることを知ったらしい。
可愛らしいサイズで、おい大丈夫かと思ったが昨夜ベッドの脇においたらいい感じだった。
小さいから、今朝はキッチンにもっていって使ってみたらなかなかいい。
大学の寮の部屋にはもちろん扇風機なんてしゃれたものはなかった。
ランニングシャツと下着のパンツ（今みたいな洒落たパンツなんかあらばこそ）で、タオルをクビに巻いて滴る汗を拭きながら本を読んだ。
友人が扇風機を買ったというので、もう一人の友人を語らって見学にいった。
真っ黒な卓上扇風機がブンブン回っていて、友人はエラソウに「当たってみろよ」というのだった。
質流れの扇風機をたしか１０００円で買ってきたと得意満面だった。
家庭教師を週二回やって月に５千円のころ、僕には質流れであっても高嶺の花だった。
夏休み、麦わら帽子にゲタッパキで長野から倉敷の漬物やの友人の家に遊びに行ったとき、猛烈に暑かったがすき焼きをご馳走してくれ、そのとき扇風機を二台用意してくれた。
こいつ金持ちだなあと思ったこと、すき焼きにサツマイモを入れたことが忘れられない。
（右上から、「水餃子」「揚げ豚の南蛮漬けと夏野菜」「お通し」「アジの梅醤油漬け」「夏野菜のキムチ豆腐」）

夜は学芸大学前の飲み屋を探そうと思ったが、バスを降りて街を歩いているうちにどの店にも入りたくなくなった。
馬鹿みたいにとぼとぼ歩いたり、バスに乗ったりして戻ってくる途中で１０年くらいまえに一度行ったことのある店を思い出して寄ってみた。
適当に頼んだら、それは量が多すぎるからハーフにしましょうという。
半端ない、っていうほどのうまさではなかったがぜんぶ平らげて帰ってきた、ビールは中瓶一本だ。
アルコールを半端ある飲み方をしているから、どの居酒屋にも入ろうという半端ない気持がもてないのだ。
だいたい中瓶だと二本を終わるころから愉快になるのが生前の僕だった。