冷たい人

夜は鬼おろしそば、ゴロゴロした大根おろしがうまい。
昼は昨日もオクラ納豆ソーメン、大葉がない代わりにゴマを散らした。
どちらもうまいけれど、「たんぱく質が足りないね」（これは何のＣＭだったっけ）。
とくに今朝は朝飯抜きで採血検査、いつもより遅く１０時過ぎの採血、この暑さに耐えられるかと洗濯物を干しながら思った。
せめて生卵のひとつでも割入れるんだった。
おとといの二子玉で、イベントの片づけをしているところ。
舞台を見ているようだった。

それが今ごろだったかを忘れたが、ある男が電話をしてきた。
「悔しくて悔しくて、そのことをいちど佐平次さんに話したい」、病気を養っているという男に「早く良くなって話をしようよ」と言った。

それほど親しいわけでもなかつた。
会社から疎んじられて辛い仕事をしていることは知っていた。
真っ直ぐな男でもあった。
真っ直ぐな故に会社の指示に逆らえず無理筋の仕事・汚れ仕事もやっていたことも知っていた。

それから一週間もしないうちに男の訃報を聞いた。
何故、枕元に駆けつけて一言でも二言でも恨みつらみを聞かなかったのかと、今になって年を追うごとに悔しさが募る。
あったこともない人と酒を呑むためにホイホイでかけるくせに。
僕は本質的に冷たい男だと思う。
東京オリンピックの暑さ対策を「熱に浮かれた」ように楽し気に紹介したと思ったら「それにしても日本選手の活躍が楽しみですね」と快活に言ったＮＨＫ。

「命に係わる」「不要な外出」を避けるようにと真剣なふりをして喋っている本音はそれか。
オリンピックってのは戦争だね。
決死の覚悟で国のために戦わなくちゃならねえんだ。