川崎を知ろう 磯部 涼「ルポ 川崎」

ドアのノブに袋がぶら下がっていて、なかにジャガイモが五つほどとこの手紙、紙の一番上に一行だけ。
（じゃがいもはいかがたけより）

一年ほど前かな、ピンポンと鳴るので出てみたら、かわいい坊やが立っていて「ママがいない」と言って泣き出した、あれが上の階のたけちゃんと初めての出会い。
あれから幼稚園の行きかえりなどにすれ違うと手を振ったりママとあいさつしたりする。
けさの野菜スープはとくにうまかったよ。



ＢＡＤ　ＨＯＰ、「川崎で有名になりたきゃ人殺すかラッパーになるか」と歌うように、刺青をして、もう少しで（多くの川崎少年たちと同じように）これからはアウトローの世界で生きていくはずだった双子が、全国高校ＲＡＰ選手権で優勝して人生が変わった。
彼らが有名になることによって、多くの暴力団予備軍（全身彫り物、少年院、刑務所経験もふくめ）がラップに憧れまともに生きていこうとしている。
秋田から吹きよせられて来た、友川カズキも川崎の住人だ。



東京と神奈川に挟まれた都会、なのにそこの実態を知る人は少ないのではないだろうか。
「ドヤ街」「中学一年生リンチ殺人事件（２０１５年）」「ソープランド街」「危ない町」、、。
それらの負のイメージは間違っていないだろうが、そういうレッテルを貼っておしまいにしたら、川崎が救われない、いや、川崎が抱える貧困、差別、ヘイト、格差、暴力の跋扈、家庭崩壊、少年非行、児童虐待など、それは日本の社会が抱える問題でもある、それに蓋をして「ないものに」してしまう。
殺人を犯さないでまっとうに生きていこうとしている人たちの戦いをもないものにしてしまう。
なんて、説教臭いことを言わないでも、このルポ、写真も含めて面白い。
僕は、こういう社会が日本の、僕の住んでいるこんな近くにあることを知らなかった。
「田舎くさい小さな都会』、殺伐としているようでどこか人懐っこい街でもある。
先進的な文化が生まれる街。
ヒップホップ関係やら若者世界の言葉をずいぶん教えてもらった（もう忘れてはいるけれど）。

日本人/韓国人/フイリピン人/様々なルーツが/流れる/この街でオレらは／楽しく/生きてる

カウンター活動も盛んだ。

たけちゃんと、彼らは生まれた状況が違うだけ、それだけだもんな。
昨日夕食に作った。
豚肉１８０グラム、茄子二つ、モロヘイヤ一束、炒めた。
他のことをしながらやったので、モロヘイヤの葉っぱをせっかく茎と分けたのに炒めすぎ、肉も硬くなってしまった。
ナスをもう少し薄く切るんだったなあ。
サッカーの西野監督のパス回し戦術。
僕が夜中にテレビをつけたときは試合終了直後、わあわあ喜んでいるから逆転したのかと思って、負けても決勝に出られるなんてくじ引きみたいなもんじゃないかと、ちょとシラケたが、その後、あれは別の試合の情況に鑑み、そのとき取るべき戦術の選択肢の中で、おとといの記事に書いた「相対的な最善の手」を意識的に取ったことを知って、西野監督に敬意を抱いた。