ただ縁を信じ 曽野綾子「夫の後始末」
2018年 06月 12日
曽野綾子のエッセイは、ちらっと読んで敬して遠ざけるようになり手に取ることもなかったが、つい眼科入院のお供に買ったのは、活字が大きいのと、「ボクノ後始末」のことも頭をかすめたからだ。
きつい「正論」を振りかざす人の考えをきいてみようと思った。
料理、掃除、洗濯、庭のことなど、なべて勤勉、ぼくは逆立ちしても真似ができないのだ。
三浦朱門と曽野綾子、63年連れ添った夫婦はユーモアを解し、辛辣なジョークを言い合って楽しむ。
しょっちゅう転んで青あざを作っている朱門は他人に「妻に殴られたんです」と真面目な顔をして言うのだ。
看護師に「ありが十」ではなく「ありが二十」などと深い感謝を示す朱門が死の一週間前には穏やかな顔で低い声で「ありが四十」といった由、義母もかならず「ありがとさん」といい、それを喜ぶ介護士もいたなあ。
妻は夫に対してやっていることは、時々やる「病人いじめ」(呼ばれてもすぐ行かない)や手抜きも含めて自分のできる最善だと思っているし、夫は妻のしてくれることに感謝して何の不平もない。
朱門が倒れるはるか以前からお互いにどのように死んでいくのかについてじっくり話し合って来たらしい。
考えてみれば愛する人間同士の中心テーマはどう生きていくかであり、それはどう死んでいくかに繋がらざるをえない。
相互のまったき信頼と愛が後始末の極意だ。
夫婦がカトリック信者であることも鍵かも知れない。
彼女が中年の頃、日野原重明が曽野に教えた「人間の臨終を楽にする方法」。
僕もそう願おう。
精神論だけでなく具体的なノウハウ(曽野流)もある。
講談社
きつい「正論」を振りかざす人の考えをきいてみようと思った。
介護人は怠け者の方がいい。精神において,厳密の美に陶酔するより、怠けが好きという自覚があった方がいい。いいことをおっしゃるけれど、彼女の「怠け者」は彼女基準の怠け者だから、うっかり鵜呑みにはできない。
怠け者はそもそも働くのが嫌だから自分を追いつめないのである。まあ、こんなところでしょうがないよね、といつも自分と相手に言い聞かせてしまう。怠け者は自分の中の不完全性を許す世の中が、それでも何とか動いていくことの現実を知っている。だから思い上がったり追いつめられたりする気分にならないのである。
料理、掃除、洗濯、庭のことなど、なべて勤勉、ぼくは逆立ちしても真似ができないのだ。
しょっちゅう転んで青あざを作っている朱門は他人に「妻に殴られたんです」と真面目な顔をして言うのだ。
看護師に「ありが十」ではなく「ありが二十」などと深い感謝を示す朱門が死の一週間前には穏やかな顔で低い声で「ありが四十」といった由、義母もかならず「ありがとさん」といい、それを喜ぶ介護士もいたなあ。
朱門が倒れるはるか以前からお互いにどのように死んでいくのかについてじっくり話し合って来たらしい。
考えてみれば愛する人間同士の中心テーマはどう生きていくかであり、それはどう死んでいくかに繋がらざるをえない。
相互のまったき信頼と愛が後始末の極意だ。
夫を見る時、私は社会正義も平等も人道も感じていない。ただ縁を信じ、理由なく夫を見守るのは、国家でも社会でもなく、多分自分しかない、と感じているからなのだ。その納得がいつ迄続くかは問題としても、、、。自宅で夫を介護しようと決意したときの気持ち、「ただ縁を信じ、理由なく」という言葉はことの真実を言い当てている。
夫婦がカトリック信者であることも鍵かも知れない。
○点滴ないしは胃ろうによって延命することその三つをしないこと。
〇気管切開をすること
〇酸素吸入
彼女が中年の頃、日野原重明が曽野に教えた「人間の臨終を楽にする方法」。
僕もそう願おう。
精神論だけでなく具体的なノウハウ(曽野流)もある。
講談社
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at 2018-06-12 13:15
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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saheizi-inokori at 2018-06-12 13:33
> 鍵コメさん、人間ドックももうやめます。
老人はあまり長生きすべきではないと曽野さんはいいます。そういいながら長生きですがね。
老人はあまり長生きすべきではないと曽野さんはいいます。そういいながら長生きですがね。
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sweetmitsuki at 2018-06-12 21:37
いえいえいえいえいえ。
人間ドックだって、あと何十年生きられるかのモノサシじゃないですか。
佐平次さんに急に死なれたら困ります。
このブログ見てる人はみんなそう思ってますよ。絶対。
ありがたいじゃなくて、ありがくじらです。
人間ドックだって、あと何十年生きられるかのモノサシじゃないですか。
佐平次さんに急に死なれたら困ります。
このブログ見てる人はみんなそう思ってますよ。絶対。
ありがたいじゃなくて、ありがくじらです。
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hanamomo08 at 2018-06-12 21:37
ゆうべ母を寝かせてから夫の留守を頼み近くの本屋へ行ったのです。
この本を一度手にとってみたのですが、戻さないで連れてくればよかったよかった!と思いました。
曾野さんの日記を読んでこの人かなり勤勉な人だと思いました。
私も母と自宅で暮らしておりますが、一段落したら私はリビングに戻り別々に過ごします。
自分を解放しないと続かないんです。
ありがとさん・・・いい言葉。あのかわいいおばあちゃまがそう言ったら、介護の人たちも顔がほころんだでしょうね。
感謝って大事ですね。
母も私に一日何度もありがとうを言います。それが私の活力になっているのかもな~。
この本を一度手にとってみたのですが、戻さないで連れてくればよかったよかった!と思いました。
曾野さんの日記を読んでこの人かなり勤勉な人だと思いました。
私も母と自宅で暮らしておりますが、一段落したら私はリビングに戻り別々に過ごします。
自分を解放しないと続かないんです。
ありがとさん・・・いい言葉。あのかわいいおばあちゃまがそう言ったら、介護の人たちも顔がほころんだでしょうね。
感謝って大事ですね。
母も私に一日何度もありがとうを言います。それが私の活力になっているのかもな~。
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saheizi-inokori at 2018-06-12 21:40
> sweetmitsukiさん、おやまあ、困ったなあ^^。
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saheizi-inokori at 2018-06-12 21:44
> hanamomo08さん、先日入院中にみた「ためしてガッテン」で、寝たきり老人にならないのは人に親切することが一番でした。
世の中のためになることをする、自分の好きなことをする、の二つを抑えたのは「ありがとう」といわれることが何かに繋がるのじゃないか、と一緒に見ていた人と話しました。
世の中のためになることをする、自分の好きなことをする、の二つを抑えたのは「ありがとう」といわれることが何かに繋がるのじゃないか、と一緒に見ていた人と話しました。
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doremi730 at 2018-06-12 23:46
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saheizi-inokori at 2018-06-13 06:05
> doremi730さん、ご子息も登場しまふよ。
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平名
at 2018-06-13 12:52
x
蟻が「とう」 が、「10」か? 「20」から「40」、
、「50」か「100」まで頑張れるかな、、 何でも限度があるかもしれません。 私には大原麗子の生き方に感動しました。
病状が可也進行しているのに「さんま」のTVに出て笑いを取り
一人静かに、、 生き方より逝き方の方が難しいですね、、
、「50」か「100」まで頑張れるかな、、 何でも限度があるかもしれません。 私には大原麗子の生き方に感動しました。
病状が可也進行しているのに「さんま」のTVに出て笑いを取り
一人静かに、、 生き方より逝き方の方が難しいですね、、
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saheizi-inokori at 2018-06-13 15:07
> 平名さん、ほんとに、つくづくそう思います。
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wawa38 at 2018-06-13 16:11
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cocomerita at 2018-06-13 16:39
Ciao saheiziさん
人間ドックやめる。のsaheiziさんの意見に座布団100枚!
あれだって、被曝しますでしょ?
そして廃棄物出ます 苦笑
私は歯医者でもレントゲン断ります
扱いにくい患者です
人間ドックやめる。のsaheiziさんの意見に座布団100枚!
あれだって、被曝しますでしょ?
そして廃棄物出ます 苦笑
私は歯医者でもレントゲン断ります
扱いにくい患者です
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unburro at 2018-06-13 17:21
私も、曽野綾子は真っ直ぐ過ぎて…苦手です。
でも、最後の3項目は大賛成です。
最近、高齢者用の介護付き施設などを
ついついネットで調べてしまいます。
もちろん、自分の為にです。
義母を見送った後、夫より長生きしてしまった時、
または、夫の世話が出来ないくらい弱ってしまった時、
子どもと離れて暮らすのが夢、なのですが、その為には
どれ程の準備が必要なのか…どんな施設があるのか…
などと、夜な夜な検索三昧です。
でも、最後の3項目は大賛成です。
最近、高齢者用の介護付き施設などを
ついついネットで調べてしまいます。
もちろん、自分の為にです。
義母を見送った後、夫より長生きしてしまった時、
または、夫の世話が出来ないくらい弱ってしまった時、
子どもと離れて暮らすのが夢、なのですが、その為には
どれ程の準備が必要なのか…どんな施設があるのか…
などと、夜な夜な検索三昧です。
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saheizi-inokori at 2018-06-13 20:50
> wawa38さん、そう願い派が多いですね^^。
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saheizi-inokori at 2018-06-13 20:51
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saheizi-inokori at 2018-06-13 20:54
> unburroさん、かつて亡母が養老院を探していると亡妻が声を潜めて伝えてくれてびっくりしましたが、今になるとよくわかります。
私は亡母と暮らしましたが、母は別の考えがあったのかもしれないです。
私は亡母と暮らしましたが、母は別の考えがあったのかもしれないです。
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cocomerita at 2018-06-13 22:25
私はもう30年以上も薬は一錠も飲まず、検査はもちろん、歯医者以外足を踏み入れたことがありませんし、多分これからも同じだと思います
薬は毒だと思ってるし、医者は鼻から信用してませんから
行かなきゃそれで済むもんです 笑
薬は毒だと思ってるし、医者は鼻から信用してませんから
行かなきゃそれで済むもんです 笑
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saheizi-inokori at 2018-06-14 10:08
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蛸
at 2018-06-14 17:32
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ほんまや、話し合わないかんし、
けど、こっちはその氣でもあっちがなぁ〜
けど、こっちはその氣でもあっちがなぁ〜
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saheizi-inokori at 2018-06-14 18:38
> 蛸さん、あっちつて誰や?
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ikuohasegawa at 2018-06-16 10:02
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saheizi-inokori at 2018-06-16 13:01
> ikuohasegawaさん、壁に書いて貼っておこうかな。
by saheizi-inokori
| 2018-06-12 11:47
| 今週の1冊、又は2・3冊
|
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