キレルジジイ

子供の頃、クリニックなんて言葉も知らず病気といえば「宮沢先生」、風邪、腹痛、発熱、弟が蜂に刺されたときもお世話になったかもしれない。
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気丈な母が「今日は休む」というときは、ほんとにオロオロした。
あの頃の毎晩寝る前の恐怖は「母が死んだらどうしよう」だった。

300メートルほど離れたところの公衆電話から往診を頼む。
洗面器とタオルにお湯を沸かして待つ。
七輪に火を熾して鍋のお湯をわかした。
プロパンガスが入ったのは中学の同級生に勧められてからだ。
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「だいじょうぶ?」となんべんも訊いては先生の来るのを今や遅しと待ち構えた(学校が休みだったのか、休んだのか記憶が定かでない)。

きい~っとブレーキの音がして自転車から先生が降りてくる。
看護婦さんと二人乗りだ。
洗面器にお湯をとって出すと、手を洗って(水道がなかった)、脈を診たり聴診器を当てたり、喉をのぞいたり、問診をする。
固唾をのんで見守る僕(弟が同席していたかどうか)にも聞こえるように、結果を伝えニッコリ笑って「暖かくしてあげてね」と言ってもういちど手を洗って帰る。
深刻な病気ではないと分かったときのほっとした気持ちが今でも忘れられない。
子供心にも「宮沢先生」は頼りになる万能先生だったのだ。
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玄関まで送るといっても6畳と4畳半のバラックなのだが、靴を履きながら「○○子と同級だってね、よろしくね」と言ったことも忘れられない。
そのとき、お金を払ったかどうか、どうもあとから母が病院に行って払ったような気がする。
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数年前に小学校の先生を訪ねたときに、このあたりだったかなあと歩いてみたら、立派な病院が通りに面して(あの頃は裏通りだった)建っていた。
ネットで調べてみると僕の高校の後輩・○○子ちゃんの弟が院長で、
医療法人宮沢医院は、先代の院長がそれまで勤務していた国立療養所東長野病院(現・独立行政法人 国立病院機構 東長野病院)を退職後、昭和22年に長野市吉田 町に開業しました。以来70年余りにわたり、日常一般診療はもとより、往診や訪問看護をはじめとした在宅医療も積極的に行うなど、地域に密着した医療を提供し てまいりました。
とあいさつ文を書いている。

あの頃は大変お世話になりました。
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夕べ、買い物に出て雨に濡れた花を撮りながら歩いていたら、雨脚が激しくなり、けっこう濡れてしまった。
帰りはちょっと待ってバスに乗って(短い距離なのに)帰った。
ユニフォームの女子高校生集団が、まことにうるさい。
バス停の屋根のある部分にだらしなく屯するから隠居ははみ出して買い物袋をぶら下げて傘を差し続ける。
バスが着くと空席は彼女たちで占領される。
引き続きうるさい。
車内で空席ができると、お互いに「先輩どうぞ」「私は試合に出なかったから」などとヘラヘラ笑いながら譲り合う、親たちのつまらない社交を見習っているのだ。
親の顔が、、みたくもない、そんなのばかりだもの。
降りるときに「ありがとございましたあ」なんてシャラくせえことをいうようなのに多いバカ面だ。
「働かせ改悪」のことなんて少しも関心のない連中だ。

そのうち一人の子がよろけて、背中の大きなリュックが僕の身体にぶつかったものだから、思わず「早く坐れよ!」その声が思った以上に大きくて自分でも驚く。
「ね、そのリュックが大きいから邪魔になるんだよ」とフオローしたつもりだが、どうも「切れるジジイ」になりつつあるなあ。
イライラしているときが危ない、気をつけよう。

Commented by jyon-non at 2018-06-11 13:47
今日は。色々なお話を伺ってまるで映画を見ているようなありありとその情景が浮かびました。お母様の御病気の時のこと、親切な宮沢先生という方の温かいお人柄のこと。いいお話ですね。 
Commented by saheizi-inokori at 2018-06-11 14:28
> jyon-nonさん、あの柔らかな先生の手を思い出すことができます。
Commented by wawa38 at 2018-06-11 15:25
もうムクゲの花咲く季節なんですね。
紫陽花も半夏生も雨に濡れて美しいです。

洗面器にお湯・・・子供のころを思い出しました。車のある家が少なかった当時は、今よりも往診をお願いすることが多かったように思います。町医者の先生は地域に溶け込んでいました。

「働かせ改悪」、なるほどその通りかと。
若い人たちが自分のこととして、もっと関心をもってくれるとよいのですが。
Commented by ジュ at 2018-06-11 15:51 x
お気をつけて^^ 世の中いろいろあります。真の優しさのさへいじさん、静かに頑張りましょう(*^^)v
Commented by cocomerita at 2018-06-11 15:53
Ciao saheiziさん
わかります、わかります
こちらでもリュックを背負っている人は、とても多く、そう言う私も使っていますが、リュックの使い方に、その人の無神経さが如実に現れて、うんざりすることしきりです。
リュックを背負う。と言うことは、自分の身体の幅が2倍になると言うことに全く気づいていない人がとても多いのです。
私は、電車やバスなど人混みの中に入ると、リュックを肩から外して、手に持ち替えるようにしますが、そんなことをする人などほとんどいず、それで身体を振り回すから、今回saheiziさんに起きたようなこと、座っている人の頭を直撃したりします
何故か、太ってる人にそう言うことが多いように感じます
自分の幅を過信してるのでしょうかね、、苦笑

私も時々 キレはしませんが、言いますよ、本人に
座席に靴を乗っけてる人とか、
そう言う「ちゃんと注意する」大人は 必要だと思っています

お母様の具合を心配して オロオロするsaheiziさん、かわいいなあ
そして頼りになるやさしい宮沢先生
なんだかそう言う大人が少なくなった気がします
近所のおっかないおじいちゃんも、、。
Commented by saheizi-inokori at 2018-06-11 16:21
> cocomeritaさん、通勤電車ではリュックを前で抱えている人が多いけど子供がダメです。
今もバスの降り口の左右に男子高校生がふたり後ろ向いているのですが、そのリュックの間を通るのに一苦労でした。
以前美容院の若い子達と落語を聴く前に銭湯に入ったのですが、怖いオバサンに叱られたとベロを出していました。
Commented by saheizi-inokori at 2018-06-11 16:24
> wawa38さん、いまだに日大と紀州のドンファンばつかり!
もうワヤです。
Commented by saheizi-inokori at 2018-06-11 16:25
> ジュさん、女の子でもキレると怖いですからね。
Commented by 平名 at 2018-06-12 00:14 x
好い時代でしたね、、  佐藤様がノーベル平和賞を頂いた頃から変だと想っていましたが、   今は米と北の犯罪者のトップが、一番近いか?!  
 水道が無かったり 個人が直接タッチ出来る時代を懐かしいと思います。 只、都合よく組立てているだけかも、、
Commented by saheizi-inokori at 2018-06-12 06:19
> 平名さん、二度と戻らない人の温もりを感じられる時代でした。
Commented by j-garden-hirasato at 2018-06-12 06:47
短気は損気です。
お気をつけください(笑)。
Commented by ikuohasegawa at 2018-06-12 08:46
子どものころは私自身が病弱だったので、医者と言えば小児科でした。
加納先生に「今日は、どうした?」って迎えられていました。
ここまで、元気でいられて有難いです。
Commented by saheizi-inokori at 2018-06-12 09:32
> j-garden-hirasatoさん、そうはいてもドスンとぶつかられた時はびっくりしましたよ。
もっと小さな声でいえばよかったのでしょうが、ね。
Commented by saheizi-inokori at 2018-06-12 09:35
> ikuohasegawaさん、病弱の子が育つとかえって長生きするっていいますね。
Commented by jarippe at 2018-06-12 10:24
子供の頃 祖母のところにお医者様が来てくださいました
往診ってことですね そんな言葉も知らずにいたこと
ある面幸せだったってことですね
結婚して義父母は町医者の毎日の往診でした
とても助かりました
我々の時はどうなるのかしら・・・・・

明日は東京へ行きます
娘の誘いに乗って 人混みがちょっと怖い気がしています
Commented by saheizi-inokori at 2018-06-12 11:50
> jarippeさん、明日はまだ天気もよさそうです。
楽しんでください。
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by saheizi-inokori | 2018-06-11 11:43 | よしなしごと | Trackback | Comments(16)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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