日本軍兵士の敵は日本軍だった

「日本軍兵士―アジア・太平洋戦争」（吉田裕）から

１９４４年以降の軍人・軍属、一般民間人の戦没者数は２８１万人と推定され（日本政府は年次ごとの戦没者数を発表していない）、全戦没者のなかに占める割合は実に９１パーセントに達する。日本政府、軍部、そして昭和天皇を中心にした宮中グループの戦争終結決意が遅れたため、このような悲劇がもたらされたのである。

危機管理学部がある大学が三つある。
日大、あとは加計学園グループの千葉科学大学と倉敷芸術科学大学だ。
危機を創り出し危機で飯を食う人がいつの世にもいる。

形式上は戦死か戦病死に区分されているものの、実態上はまったく異なる死のありようとして、非常に数の多いのは日本軍自身による自国民兵士の殺害である。その一つは、「処置」などと呼ばれた傷病兵の殺害である。

１９４０年改定の「作戦要務令」では、退却に際して、「死傷者は万難を排し敵手に任せざる如く勉るを要す」、とある。
これは、なんとかして後送せよ、ということではなく（そんな余裕はなくなっている）、自殺を促すか殺害せよという意味だ。
東條英機の「生きて虜囚の辱めを受けず」という戦陣訓（１９４１・１・８）が決定的だ。
殺された兵士たちは、日本軍が守るべき日本の民だ。
「処置」のほかに食糧強奪のために日本軍兵士による襲撃や「人肉食」すら証言が遺っている。
学生時代にアルバイトをした会社の部長は「トカゲ部長」と呼ばれていた。
５０万人を超える戦没者の６５％は餓死であったという比島防衛戦に参戦、「トカゲなんて最高のご馳走だった」というのが口癖だった。
歯医者がいない。
無線でなくて有線を主に通信手段としたからしょっちゅう通信が途絶した。
トラックや重機を使わず人力で道や空港をつくる。
自動車でなく軍馬（暑さに弱い）・徒歩で移動する。
インパール作戦では、体重に均しいほどの装備を担いで山岳地帯を歩いた。
精神異常になる者、マラリア・結核にかかる者、水虫は復員してからも長くたたった。
気力を奮い起こすために（強い）ヒロポンがふんだんに使われた。
うっ憤を晴らすために私的制裁（リンチ、ときに殺害）が日常的に行われた。
不良兵たちによって統制不能になる部隊もあった。
兵力が不足したため、虚弱な者もほとんど教育を受けないままに戦場に送られて死んだ。
少年兵だけでなく少年船員が１４歳以上がわずか３か月の教育で荒波洗う船に乗せられて死地に赴いた。
米軍の戦車には日本軍の速射砲では太刀打ちできないために「肉攻」・爆薬を抱いた兵士による体当たり攻撃が採用された。
水の沁みてくる鮫皮の底がはがれた靴を履いて、自分より重い装備を担ぎ、食糧も与えられず、病気になっても治療してもらえず、ひたすら歩き続け、歩けなくなったらそこで死を待ち、死ななければ自殺か、殺される。
苦しくても、ここを我慢すればどうなるという見通しもなにもない。
ただ、誰かがもうやめようといわないから、死に続けた。

そこにある権力者たちの無能・無責任・無恥は、今に至るもちっとも変わらない日本。
いや、むしろ劣化しているように思われる。
戦争の態様が変わっても、戦争指導者の能力が人工知能に取って代わられることはない。
それなのに、戦争の出来る国にしようと必死のアベ、その支持者。
国を滅ぼす連中だ。

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