襲名
2018年 05月 19日
「本朝廿四孝」
武田信玄と上杉謙信の物語に、足利将軍暗殺犯人捜し、軍師・山本勘助の名跡の行方、それに唐土伝来の廿四孝などの話がごちゃまぜに入った複雑な噺を三段目からやるのだから、前後の脈絡がわかりにくい。
しかし、前後の脈絡なんか分からなくても、その場その場の緊迫感や哀切な状況は十分に味わえた。
越後(信濃)領と甲斐領の境で、甲斐・武田の奴が馬草を刈ったことから、越後・長尾(上杉の事)の奴と争いが起き、武田家の執権高坂弾正の妻対長尾家の執権越名弾正の妻、逃げの弾正対槍の弾正、親孝行でどんなに横暴な指示(雪の中で筍を掘って来い)に対しても従う弟対老母に足を洗わせるような親不孝で横道者の兄、父に捨てられ、雪の中に放置され最後は殺される薄幸の赤んぼ(弟の子)対大事に育てられる兄の子・実は将軍の子、、対照的な性格・運命の人々の対立が緊迫感を盛り上げる。
降りしきる雪のなかで、実の乳飲み子が門の外に捨てられ、座敷のなかには兄の子が寝かされて、母は二人の赤んぼの鳴き声に身を引き裂かれるような思い、ついには
また降りしきる白雪に外に泣く声八寒地獄、剣を呑むより身に堪へ、思はず知らず転び(まろび)降り『砕けよ破(わ)れよ』の念力に、外るゝ戸より身は先へ「コリャ坊よ〱〱」と我が子を肌に抱き締め、、やっと救われたかと思ったら、誰かの懐剣で刺殺されてしまう。
お種の吉田和生の好演。
そこから人形が大きくなったようで天晴れ三国無双の弓取りになる。
そうかあ、山本勘助の襲名と五代目玉助の襲名がかけてあったのか。
寛治、清治の三味線にうっとりした。
吉田蓑助(後半)・桐竹勘十郎(前半)の老母も憎らしいなかに品があった。
間に挟まった襲名披露口上
吉田蓑二郎が司会、吉田玉男、吉田和生、桐竹勘十郎が挨拶。
背景に吉野山、満開の桜の中に三味線と太夫が九人づつ、壮観だ。
桐竹勘十郎が白狐で登場、舞台を縦横に跳ね、前足を舐めたり、いかにも生きている狐のようなしぐさに場内が沸く。
早変わりで忠信になって、静御前と舞う姿が素晴らしかった。
社会人同期会、名付けて「喜寿の会」に出席した。
この種の会はいっさい欠席していたのだが、喜寿の人も出て来てそろそろ顔の見納めかもしれない。
会えば懐かしい人ばかり、出席率の高いのにも驚いた。
とはいえ、大勢の宴会はやはり苦手で開始二時間で退席。
ちょっと物足りない気分もあって「はじめ」によって帰った。
大将の(タンクから)注いでくれる生ビールがうまくて、ほんの一杯のつもりが、、。
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そらぽん
at 2018-05-19 16:26
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ビールの美味しさが飛んできましたー!
国民の金を友人の加計へ440億円、麻生の娘婿の
水道会社に利益供与の「水道民営化」閣議決定と。
現在の世襲跋扈の狂乱の世で
「襲名」の記事に粛々と繋ぐ文化に嬉しくなりました。
国民の金を友人の加計へ440億円、麻生の娘婿の
水道会社に利益供与の「水道民営化」閣議決定と。
現在の世襲跋扈の狂乱の世で
「襲名」の記事に粛々と繋ぐ文化に嬉しくなりました。
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saheizi-inokori at 2018-05-19 16:53
> そらぽんさん、世襲は芸能の世界くらいにしておきたいですね。
文楽は力のない人の襲名はないと思いますけど。
文楽は力のない人の襲名はないと思いますけど。
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rinrin
at 2018-05-19 21:48
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盛り付けがおしゃれですね。さすが都会です。
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saheizi-inokori at 2018-05-19 22:02
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j-garden-hirasato at 2018-05-20 07:03
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saheizi-inokori at 2018-05-20 08:28
> j-garden-hirasatoさん、ズータイだけはね。
by saheizi-inokori
| 2018-05-19 13:57
| 能・芝居・音楽
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Comments(6)