なんだかなあ 道尾秀介「ソロモンの犬」
2018年 03月 24日
それは偶発事故だったのか。
惨劇の直前まで一緒にいた大学生男女4人は、風変わりな動物生態学の教授とともに事故の原因を探る。
彼らのうちの誰かの意図せざる動作が事故を引き起こしたかもしれない。
それが本線で、4人の、とくに語り手青年の女子学生にいだくほのぼのとした恋愛感情と4人の友情が副線だ。
犬のカーミング・シグナル、べったりと顎を地につけて大あくびをしたりして、いかにもやる気のなさそうなふりをする。
オオカミに始まるボデイランゲージの意味は、恐怖や緊張に襲われた時にこういう無気力な態度をとることにより相手の気持ちと自分の気持ちを落ち着かせて、状況の混乱・争いを回避する。
犬が縄張り防衛本能で郵便配達員に吠える。
配達員が仕事を終えてすぐに引き返すと犬は自分が吠えたことで相手を追い出したと勘違いし、そのことに満足感を覚える。
それを繰り返すことで、ますます自分の力を勘違いし、吠えまくる(「負の強化」)。
犬は、特徴の組み合わせで人間を記憶する。
ミステリ(?)として、青春小説としても、あまり面白くない・深みのない小説を最後まで読み通したのは、犬のことが興味を引いたからだ。
玄侑「竹林精舎」は、彼ら4人と大学教授の3.11後の物語というわけ、まさか男性二人が坊さんになるとは!
働き盛りの女性ばかり5人のなかで黒一点、花の下で鼻の下を長くして酔いました。