花追いジジイ、スカイツリーから国会前緊急行動に

枝の先でなく幹からじかに咲く花が早いのは栄養分をごくごく飲んでいるからか。
ことしもこれから花追い老人の日々だ。
桜新町で用件をすませて夜まで時間がある。
まだ、どこと言って花の当てはない。
カフェもちょっと気が向かないまま電車に乗って、小説を読みながら、終点の押上まで行った。
トイレに入り、そのままおり返そうかと（小説もいいところだし）思ったが、そういえば押上で降りたことはないな、と思い改札を出てみた。
出口が悪かったのか無愛想な道、そこを夕陽に向かって歩くと、大きな通りに出た。
東武のスカイツリー駅の麓だ。
古本屋があるのは嬉しい、ましてまもなく閉店とあらば是非とも入ってみよう。
池上信一「落語倫理学」、箱入り限定版１５００円を手に取り思案のあげく却下、出ようとして目に入った古島敏雄「子供たちの大正時代」５００円を買った。
パソコンからチャイコフスキーを聴いていた店主に閉店のことを尋ねたが、まだ日程は決まっていないとのこと。
６時半からの国会前抗議行動、都営地下鉄「本所吾妻橋」から行けば障害者無料だと、スカイツリーの下を巻くようにしてそっちの方へ歩く。
思いがけず河津桜の木が一本、がんばって咲いている。
中国人の若者の真似をしてスマホをかざす。
こういう角度から撮ってる人はいなかったな。
浅草通りをこっちから歩いてアサヒビールのビルを裏から見るのは初めてだ。
せっかく回り道したのに都営地下鉄の改札は僕をはじく、パスの期限切れだ、くそ！
地下鉄のベンチで目薬を差す。
一つ差して目をつぶって１分、５分待ってもう一つを差して１分、それを日に４回、多めにさして花粉を洗い流す。
新橋で長い乗り換えをして銀座線で一駅、「虎の門」、そこから「すぐそこ」をえっちらおっちら坂を歩いて国会の前に着いたときは、あたしはずいぶん疲れた、アベノセイダ―。
昼間はあんなに暖かったのに、夜になって立ったままでいるとアベノセイで寒くなったのでリュックからショールを出してクビに巻く。

アベ強権政治の三大特徴
憲法の破壊　貧困と格差の深刻化　権力の私物化
絶対許せない！
権力の崩壊が始まった

そうだそうだ！と言いながら途中で失礼する。
これから参加する人とすれ違う。
「はじめ」で「お帰りなさ～い」の声に迎えられたのは８時過ぎ、熱燗三本、「太刀魚の塩焼き」脂がのってうまかった。