南北は一つ、それがなにか 金時鐘「朝鮮と日本に生きるー済州島から猪飼野へ」

知る、ということは大方、そのように生きようとする範囲内で蓄えられる知識です。自分の得ているものが限られた領域の中のものであることを知ることは、知っていくことの手始めのようにも思います。
日本による植民地支配の済州島に生まれ、皇民化教育を欣然としてうけて、言葉も土着語の済州弁しか話せないまま、17歳で解放を迎えた金時鐘の言葉だ。
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八紘一宇のためになるのだったら特攻隊員になる用意もあったという金は、「視野を狭めた教理に盲従するあまり自己を見失い、人とのつながりも社会との関りも教祖の専断に従って、無残な結果を招来した」オウム真理教に集まった若い秀才たちのことを、自らに重ねる。

植民地支配下の皇民化教育の実態、解放(日本敗戦)後の朝鮮、とくに南朝鮮・済州島の悲惨な実態、解放とは名ばかりあっという間にアメリカ軍政下におかれ、日本時代に威張り散らした連中(親日派)が支配する。
済州島4・3武装蜂起はなぜ起こったか、その経緯と実態、「火山島」の史実。
朝鮮の分断について、今の日本人はどれほどその歴史的経緯・事実を知っているのだろうか。

今開かれているオリンピックについて「政治的利用が目についてイヤダ」という人よ。
オリンピックが政治的・商業的に利用されなかったことが少しでもあると思っているのか。
原発は収束した、と世界に真っ赤なウソをついてまでオリンピックを招致した安倍は純粋にスポーツの祭典を開くために、そうしたのか。
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(緑ヶ丘「扇鮨」)

同じ民族が理不尽に分割され、今はいつ戦争の火ぶたが切られるやもしれない緊迫した状態だ。
本書のなかに戦後初の駐日大使・ロバート・マーフィの言葉が引かれている。
日本人は、驚くべき速さで、彼らの四つの島を一つの巨大な補給倉庫に変えてしまった。このことがなかったならば、(われわれは)朝鮮戦争を戦うことは出来なかった。
安倍はふたたび日本を米軍の出撃基地・補給倉庫とするばかりか、こんどは自衛隊も出撃させようとしている。
韓国の文大統領は、同じ民族同士の戦いを避けたい、ソウルを戦火から守りたい、そのためにはオリンピック(平和の祭典)だってなんだって利用する。
核の小型化を図り朝鮮に対して核攻撃をすることも選択肢だというアメリカには、「勘弁してよ」だろう。
あんたが南北の対立を作ってきたのじゃないか、と。
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日本人はどうなってしまったのか。
アベを支持して、対北強硬路線についていくのか。
朝鮮戦争で日本が攻撃されなかったといっても、今の北朝鮮はアメリカ本土すら窺う力を持っている。
みんなアベ教祖のオウムになったのか。

今年になってから18件もの学校銃撃事件が起きているというアメリカ政権なら銃撃をおそれはしないかもしれないが、平和憲法を守る日本国民はそうではない。
とくに僕は背中が痒いといっては背中をかく道具を探し、口の中に違和感があるといっては生きていくのが嫌になるような軟弱者だ。
「あらゆる選択肢」なんてまっぴらだ。
腰抜けと言われようと戦争はイヤダ!
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ベトナム戦争のときには「べ平連」ができた。
今こそ、「朝鮮半島に平和を!市民連合」ができないものか。
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岩波新書
Commented by そらぽん at 2018-02-15 20:19 x
本当に「日本人はどうなってしまったのか」なのでしょうか 
マーフィ大使の言葉でいくと、元々その傾向が。。? 
だめだめ。 国会で奮闘する人を見て、勇気を奮いました~
 Youtube 18年02月14日 予算委員会 立憲民主党
 枝野幸男 えだのん 午後の部

 
Commented by saheizi-inokori at 2018-02-15 20:38
> そらぽんさん、左翼、とまではいわなくても常識的な文化人が大人しすぎますね。

Commented by k_hankichi at 2018-02-15 20:59
ご紹介頂き、注文した本を待っています。
Commented by sheri-sheri at 2018-02-15 21:13
ハラハラします。
Commented by saheizi-inokori at 2018-02-15 21:24
> k_hankichiさん、ほんとは高校生の副読本にしてもいいのでしょうね。
Commented by saheizi-inokori at 2018-02-15 21:27
> sheri-sheriさん、韓国民の気持ちは数倍でしょうね。
Commented by そらぽん at 2018-02-15 21:40 x
追:
きょうの美味しいもの
写真が輝いています~ 器も姿も粋ですね 
Commented by テイク25 at 2018-02-15 22:20 x
12月に読んだ「オリンピック・ファシズムを迎え撃つために」という鵜飼哲さんの講演録のことをブログに書こうかと思っていたところです。
Commented by sweetmitsuki at 2018-02-15 23:19
「日本の先生たちも、私の知るかぎり個々人は皆いい人たちでありました。優しく折り目正しい人たちばかりでしたのに本当でない本当ばかりを知らされ、教えられていたために個人の善良さは集約されると全体のいけないことに還元されていました。」
金氏は教育についてこうとも書いてますね。
今、中盤まで読みました。コレラ禍のあたりからあまりの悲惨さにページをめくる手が動きません。
でも最後まで読んでみます。
Commented by たま at 2018-02-16 00:06 x
 同じ「白魚」と書いて、博多西部の室見川で捕れ、生で食していた「シラウオ」(⇒メゴチ類の稚魚?)と、ご飯に振りかけて食す死骸の「シロウオ」(⇒ いわゆる「チリメンジャコ」:カタクチイワシの稚魚)とが、似ていて異なものであることを知ったのは、ノンポリのまま上京して初めて食した「江戸前寿司」の親方からの「知る」でした由。
 最近の社員食堂では、白身の魚を、こともあらぬか、「白魚」と表示していました由。
Commented by Takeo at 2018-02-16 01:38 x
こんばんは佐平次さん。

>知る、ということは大方、そのように生きようとする範囲内で蓄えられる知識です。

「知る」或いは「知らされる」=「教えられる」と、主体的に学ぶということは截然と異なるということですね。

誰であれ「生きる範囲」とは先ずは母国の(言語・文化)の圏内ということ。そこで生きてゆくには必然的に「郷に入れば郷に従」うしかない。

だからこそ

>自分の得ているものが限られた領域の中のものであることを知ることは、知っていくことの手始めのようにも思います。

と、いうことですね。

>常識的な文化人が大人しすぎますね。

「常識的」な「文化人」がおとなしいのは当然だと思います。

何時もいろいろと考えるきっかけを与えてもらっています。



Commented by j-garden-hirasato at 2018-02-16 06:44
美味しそうなものばかりで、
そちらに目がいっちゃいました(笑)。
Commented by saheizi-inokori at 2018-02-16 09:34
> そらぽんさん、久しぶりにうまい鮨を食った感じでした。
近所の行きつけの寿司屋が親方の病気で休業しているのが切ないです。
ここは鮨もさることながら親方夫妻との時間がご馳走だった。
Commented by saheizi-inokori at 2018-02-16 09:36
> テイク25さん、羽生やサラなどの活躍を祈る一方で、どこかシラケる今日この頃でもあります。
Commented by saheizi-inokori at 2018-02-16 09:37
> sweetmitsukiさん、日本の多くの若者に読んでほしいです。
Commented by saheizi-inokori at 2018-02-16 09:38
> たまさん、苦みがうまい、春のご馳走です。
Commented by saheizi-inokori at 2018-02-16 09:41
> Takeoさん、ほんとうの教育とは、そういう主体的に知ろう・学ぼうという力・生きる姿勢を引き出すことかもしれないですね。
Commented by saheizi-inokori at 2018-02-16 09:41
> j-garden-hirasatoさん、うまかったですよ^^。
Commented by ikuohasegawa at 2018-02-16 10:22
今日の料理は一段と旨そうに写っています。
緑ヶ丘「扇鮨」遠いですね。
Commented by jarippe at 2018-02-16 11:29
最初の一節 ちょっとドキッとしました
何も知らない 興味あることの狭い範囲でしか
入っていかれずにいる自分
年を取ったから気づかされることも多いけれど
間に合わない事がほとんど
若いうちに広い気持ちで素直にいろんなことを吸収しないと・・
それを知っているはずの大人たち お偉い(?)方々
大きな日本になる為にいろんなこと開放してほしいです
Commented by saheizi-inokori at 2018-02-16 11:55
> ikuohasegawaさん、歩いて行けないことはない、帰りは電車かタクシ―ですが、横浜から30分かな。
Commented by saheizi-inokori at 2018-02-16 12:00
> jarippeさん、残された時間をどれだけ知ることに費やすことができるか、楽しみです。
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by saheizi-inokori | 2018-02-15 12:43 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(22)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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