ありえた世界でありえたために クリストファー・プリースト「双生児」
2018年 02月 03日
ん?調べてみたら長野県独特の言葉で、上雪(カミユキ)は、主に長野県中南部、長野県の地図から言えば、真ん中よりも下半分を中心に降る雪。
気圧配置の関係で、いつもは雪の少ない南信濃に雪が多く、長野だの北信濃に少ない年がある。
地図で見たら下でも上り列車が向かうお江戸に近いから「上」ということかな。
長野育ちといっても引揚者、二親共に他県育ち、こういう深い言葉は知らなんだ。
懐かしい人の顔を思い浮かべて「ことしはカミユキだねえ」と言わせてみる。
ぱっと広がる北信濃の光景。
今ごろになって「故郷」の言葉を知って、心が温かくなった。
足裏の温かさが心地よい。
昨日ちょっと触れた↓本の残り300頁を一日家に籠って読了、ふうっとため息をついた、満腹のため息。
オックスフォード大学のボート部に属し、1936年のベルリンオリンピックに出場しヘスから銅メダルを授かった双生児の兄弟が主役。
同じ道筋を歩いてきた一卵性双生児は、この辺りから分岐した道を歩きはじめる。
一人は英空軍パイロットとして、一人は良心的兵役拒否者として。
ふたりが一人のユダヤ系ドイツ人の女を愛すときに道はクロスする。
戦闘あり、恋愛あり、チャーチル首相やヘスとの遭遇あり、戦時・空襲下のロンドンの描写あり、、多くの手紙や史料で紡ぎ出す物語はそれぞれ息詰まるような面白さだが、気をたしかにもっていないと眩暈を起こす。
死んだはずだよお富さんが生きていたり、第三次世界大戦が終わっていたり、、気をたしかに持てばなおのこと、つぎつぎ気づく相互矛盾や自分の歴史常識との齟齬に頭が混乱し、あわてて元に戻って読み直したりする。
原題の「The Separation」は、二人の離別・分岐の意味と同時に、歴史の分岐の意味もあるのだ。
歴史改変SFが基本、それに落語の「夢の酒」「天狗裁き」「鼠穴」のような夢と現実の交錯が加わって一筋縄ではいかない、どこに当たりがあるのか分からないあみだくじのようなタクラミに満ちている。
迷宮を出たかと思うと又迷宮。
ポンと読み終わって、さて、今僕はどこにいるのだろう、そして世界はどうなって、誰がどうなっているのだろう、もう一度自分の中の迷宮に戻っていく。
めくるめく展開はエンタメとして最高に面白い。
しかし感動にも満ちている。
愛国とは?戦争とは?リーダーの資質・責任とは?
記録に残る戦争で、勝利者の明言した目的と一致する結果を生みだしたものはありません。それはなぜかというと、明言した目的というのが、不正直なものであるか、仮に真摯な意図があったとしても、戦争に本来そなわっている暴力にむしばまれているかのどちらかだからです。なんていうセリフもチャーチル首相のまえで開陳されるのだ。
民主主義国家は、悪しきを糺すため、あるいは、人びとのあいだに平和的な関係を設立するためという意図を明言して戦争を戦っていると、つねに語りますが、現実には、彼らの動機は、投資した国益や、財政投資の保護であり、政治権力の追求なのです。専制君主がおこなう戦争は、うわべでは、論争を解決するため、あるいは失われた領土をとりもどすためと言われますが,じっさいには、彼ら専制君主たちは、自国民への違法な支配をつづけたいのです。
歴史は、また、軍事的な結果が表面上どうあれ、暴力によってくじかれた暴力は、つねに将来の暴力の種を播くことをあきらかにしています。暴力それ自体が、結果を歪曲するのです。
古沢嘉通 訳
早川書房
それにしてもサンチちゃんが可愛くて、参った参ったです。
お寒いですね。御自愛下さい。可愛い素敵な恵方巻、チャーミングな奥様ですねぇ。・・
南岸低気圧の雪はカミユキですね
北信より中南信のほうが多い雪
鉄道の上りと同じ表現だと思っていました
お膝につかまり立ちのサンちゃん なんてかわいいんでしょう
記事を読まないで サンチちゃんばかり見てしまいますよ~
> 懐かしい人の顔を思い浮かべて「ことしはカミユキだねえ」と言わせてみる。
笑 ほんのり、、、
かわいいsaheiziさん
私もしょっちゅうやるけど ははは
でもね、きっとその思い浮かべた懐かしい人 言わされたんではなく、その時きっとsaheiziさんにそう語ってたのだと思います