学大ぶらぶらで見かけた幻影

ラジオの住宅会社のＣＭで「おとこな物件を探す」と女性の声。
ヘンなことをいうなあ、と思ったら「お得な物件」、聴き間違いじゃなくてナマリだろう、そのあとも注意して聴いたけれど「男」探しと聞こえた。
隠居は男も女も探さないけれどぶらぶら散歩、膝の上を動こうとしないサンチを宥めて出かけると４時を回って、でも日が長くなった。
学芸大学前をうろつく。
マンションで囲まれた小さな公園、雪のトンネルの溶け残り、子供たちの雪遊びの歓声がきこえるようだ。
花屋のまえに金魚が泳いでいる。
あとになり先になりして歩いてきた、男のふたり連れ（僕より少し若いか）の一人が、かがみこんで金魚に「○○ちゃ～ん、元気かい」と話しかけている。
違いが分かるうろつき男。
「すき焼き割烹」という行灯が侘しいしもた屋。
こっちには酔った男たちの放歌吟唱の残響。
かつてあった学芸大学、学生たちのコンパか。
飲んで騒いだ、あいつらも今は隠居だろうか。
そうそう、今夜はすき焼きをカミさんに頼んできたのだった。
しもた屋の逆、普通の民家を小さな店にしていろんなものを売っている。
フット靴や（しゃれです）に寄ったら買わされそうになって思いとどまった。
土曜日にリハビリに行ったときに久しぶりに履いた靴の底がパカーンだったのよ。
履かないからパカーン、だから買わない。
捻挫が完治するまではゆっくり少し歩きで切り上げ。
グッと寒くなっても来たし。
家に帰ってニュースをみたら、栃ノ心が優勝に華を添えた。
栃錦のファンだった。
臍までつもった新雪をかき分けて登校、体育館で汗びっしょりになって相撲を取った小学校のことが思い出された。
一時間目、友だちの身体から湯気があがっていたっけ。
同級生だった亡妻の、明日（２９日）は誕生日だ。