肘でつつくなよ! リチャード・セイラ―+キャス・サンスティーン「実践行動経済学」

今朝は循環器内科の月例診察、タイヤの空気を抜いたバスがこわごわと走る。
超満員、途中の停車所にも長い行列ができているが「すみません、あとのバスに乗ってください」と通過していく。
赤ちゃんを抱きしめた女性、滑らないかとこっちが心配する。
歩道で雪かきする人をみて、自分が雪かきを最後にしたのはいつだったか、思い出せない。
ほんとはマンションの玄関先くらいは自分でやればいいのだが、掃除のおばさん、ありがとうね。
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病院はガラガラ、ほとんど待たずに診察してもらえて拍子抜け。
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前にちょっと紹介した「行動経済学」を雪を見ながらモーツアルトを聴きながらサンチを撫ぜながら3分の一ほど読んだ(訳が悪いのか僕の頭が悪いのか集中するのに時間がかかる)。

人間は、直感的・自動的に考える(感じる)システムと熟慮的・合理的に考えるシステムの二つで考える。
直感的に考えても悲惨な結果にならないように、ちょっとした工夫で賢い選択をするように<ナッジ>(肘で突っつく)を社会のなかに組み込んでやれば人々はより快適に暮らせるのではないか。

そのために、人びとの直感的思考(反応)にはどんな特徴があるのかを知る必要がある。
〇 慈善団体が寄付を求めるときには、50ドル、75ドル、100ドル、150ドルという選択肢を与えるよりも100ドル、250ドル、1000ドル、5000ドルの選択肢の方が多くの寄付を集められる(アンカリング)
〇 結婚したカップルの約50%は離婚することを知っているのに、自分の結婚式の前後では、ほとんど全てのカップル(離婚経験者も含めて)が自分たちが離婚する可能性はゼロだと考える。
 ほとんどの人が自分は平均以上のユーモアのセンスがあると信じ、大学教授のほとんどが自分は平均的教授より有能だと考えている。(非現実的な楽観主義と自信過剰)
〇 コインの表が出ると100ドル払う、裏が出たらいくらもらうなら賭けに応じるか。
 ほとんどの人は200ドル前後と答える。(人は損失を嫌う、モノを喪うときの惨めさは、同じモノを得るときの幸福感の二倍になる。損失回避的)
〇 入った映画館の映画が退屈でも最後まで見ようとする。(これは僕の作った事例)
人は現状維持的だ。それと注意力の不足と損失回避性が加わると、あるオプションが”デフト”(初期値)として指定されると、それが大きな市場シエアを集める。
〇 「この手術を受けた100人のうち90人が5年後生存している」と言われるより「この手術を受けた100人のうち10人が5年後死亡している」と言われた方が不安に感じる。(フレーミング)
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いろんな社会心理学的事例・実験結果をなるほどなるほどと読んでいると、同調圧力のことが出てきた。

〇 一人なら正しく判断できることでも他人が違った考えを示すと、それに影響されてしまう場合が(無視できないほど)ある。
そのときの脳の画像は他の人の判断と同じ判断を正しいと考えていることを示す。
その原因は他人からの情報と「仲間からの圧力」(ビア・プレッシャ―)及び集団から非難されたくないという欲求だ。
そして集団が一旦そういう判断をすると、それは内部化してメンバーが変わっても維持される(集団的保守主義)。
これに「集合的無知」(集団のメンバーの大半が他のメンバーがどう考えているのかを知らない状態)が加わると、人は内心は望まない習慣や伝統に、他の人がそれを望んでいると思って従いつづける。
  
 ソロモン・アッシュの実験。
「言論の自由は権利というより恩恵であり、社会が脅かされている際には、その行使は停止されてしかるべきである」
この命題について、個別に質問したときは対照群の19%しか賛成しなかったが、同じ意見を持っている人が自分以外に4人しかいないという事実(虚偽の?)を突きつけられると、58%が賛成した。
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毎週、報じられる世論調査がどのようにつくられ、その報じられ方(見出しのつけ方)によって、国民世論も容易に影響を受けてしまうのだ。

どうも笑って読んではいられない本のようだ。

遠藤真美 訳
日経BP社
Commented by そらぽん at 2018-01-23 17:02 x
解説最後の、同調圧力の例を読み  
これから愈々コレが活躍かしらとぶるっとしました
之に「ホンネとタテマエ」の所作が絡むと最強集団ですね
Commented by cocomerita at 2018-01-23 20:24
Ciao saheiziさん
上の症例を自分自身に当てはめてみたら、、

どれも当てはまらなーーーい!!
やっぱり少数絶滅危機種なのかも、、苦笑

雪 たくさん降りましたね
都内じゃあないみたい
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-23 21:56
> そらぽんさん、アメリカでもこれほど、とすれば空気が支配し、忖度が必須道具たる我がニッポンはどこまでいくのか、その行く末を視ないで死にたいと思います。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-23 22:03
> cocomeritaさん、あなたはシステム二番目の熟慮的思考しかしないのかなあ。
私なんかそれぞれ身につまされましたよ。
Commented by sweetmitsuki at 2018-01-23 22:39
東京でも毎年雪が降るほどの寒さになるのに、ほとんどの人が地球温暖化を信じて疑わないというのもその症例に当てはまるのではないでしょうか。
偉い先生のいってることだから本当に正しいのかどうか。
行く末を見るまでせめてあと10年、いえ20年はお元気でいてください。
Commented by doremi730 at 2018-01-23 22:42
本当に!言い方一つで不安にも安心感にもなるのですね。
それをお上に利用されるのが怖い、、、
Commented by j-garden-hirasato at 2018-01-24 06:20
大雪で東京は大変だったみたいですね。
長野から見ると、
そんなに騒がなくても、
と思えるほど、
報道されていました。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-24 09:25
> sweetmitsukiさんは地球温暖化(気候変動)を否定されるんですね。
ではこの異常気象(酷暑、洪水、ハリケーン、豪雪、酷寒、、)は何が原因なのでしょう。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-24 09:27
> doremi730さん、既に利用されているのでしょう。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-24 09:29
> j-garden-hirasatoさん、歩き方、運転の仕方、服装、、万事に渡って微に入り細に入りご親切なアドバイスを繰り返すニュース番組でした。
Commented by jarippe at 2018-01-24 10:22
人って面白いですね いろいろ言動を分析して
解ったような気になるけれど
いざとなれば・・・・?
私は直感で後から熟慮とか合理性とかが付いてくるかな~
直感で合理性を感じてしまうところもあるような・・・・
この頃無駄と思われる事にも意味があるとも思いますし」
損得や自分を守る欲みたいなものも直感の中に入っていますねー
理屈はいろいろですが 現実ただ生きている婆さんです
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-24 11:56
> jarippeさん、直感が経験や長年の熟慮によって鍛えられると正鵠を射るのじゃないかと思います。
「ただ生きている」と本人が思っていても知らぬ間にいろんなナッジの影響を受けているのが面白くもまた怖くもあります。
Commented by sheri-sheri at 2018-01-24 14:00
なるほど・・さもありなんと思うのがありました。気をつけないといけませんね。色んな意味で。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-25 00:22
> sheri-sheriさん、無自覚でつつかれているかもしれないから。
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by saheizi-inokori | 2018-01-23 14:58 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(14)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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