先生様、お願いします 高梨ゆき子「大学病院の奈落」
2018年 01月 20日
今朝は3時に目が覚めて、いくら何でも起きるのは早すぎると八代目文楽の戦前の音源を聴いていた。
「満州派遣団の皆さま、東京からお笑いをお送りします」なんていう挨拶が入った「寝床」だったか「やかん泥」だったか。
若々しい声でどれも6分くらいの短い噺にしてある。
そのうち、うとうとして夢をみた。
友人と一緒に乗っていた電車を途中で一人で降りてしまう。吃驚する友人が窓から手を振る。
そこはいつも夢に現れる場所、現実には一度も行ったことがない場所なのに懐かしい場所だ。
駅周辺の賑わいからちょっと離れただけで険しい山がそびえ、美しい野原の中を通じる一本の道、今朝はその先にこんもりした小山が望めて、歩いて行くと不思議な集落にぶつかった。
アジア的な迷路のような集落には古着屋などもあるが、ドンドン奥に行くと人々の座敷みたいなものがあって、そこにいる大勢の顔は見えないが、みんな優しい。
そうこうするうちにスマホをさっきの電車に忘れてきたことに気がついた。
それなのに、カメラを構えて人々や風景の写真を撮ろうとしている。
脇にたっているのは誰だか知らないけれど、なぜか親しい「死んだ人」、必ず一人は死んだ人を連れて行かなければいけないと言われたのだ。
死んだ人は生きてるんだか死んでるんだか分からないような感じで、僕の写真に収まろうとしている。
ワン!一声吠えてサンチがやってきた気配に目が覚めたら、あらまあ、もう七時前、寝過ごした。
いつまで寝てるのか、と起こしに来たのか、それともぼくが寝言でも言ったのか。
夢の話ってのは、しっかり覚えているようで、頭の中にたしかにあるその内容を描いたり話したりしようとすると、どんどんぼやけてしまう。
昔、夢の話をしようとすると娘が嫌がった。
たしかに、見た本人はしゃべりたいけれど、聴かされる方は面白くもなんともない。
百閒や漱石のように描ければ別だろうが。
2011年から2014年にかけて群馬大学病院で腹腔鏡を使う高難度の肝臓手術を受けた患者が次々に死亡、同じ医師の執刀だった。
問題意識が希薄なのか、隠蔽しようとしたのか、なかなか真相究明と公表に立ちあがらない大学当局をメデイアや外部の人間をいれた調査機関が追及していく。
大学病院という「白い巨塔」は健在だった。
怒りをもって読み終えたが、驚きは少なかった。
こういう病院や医師は珍しくないのだろうな、という気持がある。
それでも病気になったら病院の世話にならなければならない。
群馬大学で理不尽な死を遂げた患者やその家族も「天下の群大だから」と信頼し、感謝しつつ治療を受けた。
「身体への負担が少ない」と言われてリスクの説明もなかったのに、術後苦しんで死んでいく家族を見て不審を抱いても、個人としては医師を糾弾することなど思いもよらず「泣き寝入り」した。
ぼくだってこういう理不尽な目にあわないとも限らないのだ。
大学時代に医学部の友人が「外科医ってのは、何人殺すかで腕があがる」と言っていたことも思い出す。
悲惨な事例に鑑みて、厚労省も含めた医学界が本気で安全な医療体制を作っていくことを祈るばかりだ。
読売新聞記者として本事件を徹底取材して新聞協会賞も受賞した著者の貢献も大きい。
講談社
「満州派遣団の皆さま、東京からお笑いをお送りします」なんていう挨拶が入った「寝床」だったか「やかん泥」だったか。
若々しい声でどれも6分くらいの短い噺にしてある。
友人と一緒に乗っていた電車を途中で一人で降りてしまう。吃驚する友人が窓から手を振る。
そこはいつも夢に現れる場所、現実には一度も行ったことがない場所なのに懐かしい場所だ。
駅周辺の賑わいからちょっと離れただけで険しい山がそびえ、美しい野原の中を通じる一本の道、今朝はその先にこんもりした小山が望めて、歩いて行くと不思議な集落にぶつかった。
アジア的な迷路のような集落には古着屋などもあるが、ドンドン奥に行くと人々の座敷みたいなものがあって、そこにいる大勢の顔は見えないが、みんな優しい。
そうこうするうちにスマホをさっきの電車に忘れてきたことに気がついた。
それなのに、カメラを構えて人々や風景の写真を撮ろうとしている。
脇にたっているのは誰だか知らないけれど、なぜか親しい「死んだ人」、必ず一人は死んだ人を連れて行かなければいけないと言われたのだ。
死んだ人は生きてるんだか死んでるんだか分からないような感じで、僕の写真に収まろうとしている。
いつまで寝てるのか、と起こしに来たのか、それともぼくが寝言でも言ったのか。
夢の話ってのは、しっかり覚えているようで、頭の中にたしかにあるその内容を描いたり話したりしようとすると、どんどんぼやけてしまう。
昔、夢の話をしようとすると娘が嫌がった。
たしかに、見た本人はしゃべりたいけれど、聴かされる方は面白くもなんともない。
百閒や漱石のように描ければ別だろうが。
問題意識が希薄なのか、隠蔽しようとしたのか、なかなか真相究明と公表に立ちあがらない大学当局をメデイアや外部の人間をいれた調査機関が追及していく。
大学病院という「白い巨塔」は健在だった。
日本は、医師の裁量権が大きい、「これちょっとやってみようかな」と思ったら、21世紀の臨床医学で標準的に行われているような安全性評価や有効性評価ではなくて、目の前の患者で試してしまう。その結果、失敗して患者が死んでも、それをチエックするシステムがなかったか、あっても機能していなかった。
怒りをもって読み終えたが、驚きは少なかった。
こういう病院や医師は珍しくないのだろうな、という気持がある。
それでも病気になったら病院の世話にならなければならない。
群馬大学で理不尽な死を遂げた患者やその家族も「天下の群大だから」と信頼し、感謝しつつ治療を受けた。
「身体への負担が少ない」と言われてリスクの説明もなかったのに、術後苦しんで死んでいく家族を見て不審を抱いても、個人としては医師を糾弾することなど思いもよらず「泣き寝入り」した。
ぼくだってこういう理不尽な目にあわないとも限らないのだ。
大学時代に医学部の友人が「外科医ってのは、何人殺すかで腕があがる」と言っていたことも思い出す。
悲惨な事例に鑑みて、厚労省も含めた医学界が本気で安全な医療体制を作っていくことを祈るばかりだ。
読売新聞記者として本事件を徹底取材して新聞協会賞も受賞した著者の貢献も大きい。
講談社
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そらぽん
at 2018-01-20 22:21
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全く酷い話ですね といって自分もお恥ずかしいですが
ニュースの記憶は遥か彼方でした。究明努力をされた方々により
僅かでも患者とご遺族の方の痛恨が癒されますことを祈ります
一方、当該医師や上司は今も何処かで医者をしているのでしょう
ワヤ。
ニュースの記憶は遥か彼方でした。究明努力をされた方々により
僅かでも患者とご遺族の方の痛恨が癒されますことを祈ります
一方、当該医師や上司は今も何処かで医者をしているのでしょう
ワヤ。
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cocomerita at 2018-01-21 08:07
Ciao saheiziさん
桃源郷に行ってたんじゃないですか?
、、、だから私は医者に行きません
基本的に 全く信用していないから
ただの砂糖も信じて飲めば薬ですから、
そういう自分が信用していない人になにを言われても、それが治癒に繋がると思えないのです 苦笑
桃源郷に行ってたんじゃないですか?
、、、だから私は医者に行きません
基本的に 全く信用していないから
ただの砂糖も信じて飲めば薬ですから、
そういう自分が信用していない人になにを言われても、それが治癒に繋がると思えないのです 苦笑
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saheizi-inokori at 2018-01-21 09:16
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saheizi-inokori at 2018-01-21 09:18
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j-garden-hirasato at 2018-01-21 09:57
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saheizi-inokori at 2018-01-21 11:57
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cocomerita at 2018-01-21 17:26
Saheiziさんって ちょっと昔の中国の賢人と言うか、仙人みたいなところあるから、きっと覗かせてもらったんですよ、桃源郷。
でもね、そこでそこの飲み物食べ物は食べてはいけないのです
帰れなくなりますから、
どんなに美味しそうなお酒が川を流れてても、ダメですよ
気をつけて 笑
でもね、そこでそこの飲み物食べ物は食べてはいけないのです
帰れなくなりますから、
どんなに美味しそうなお酒が川を流れてても、ダメですよ
気をつけて 笑
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saheizi-inokori at 2018-01-21 21:35
> cocomeritaさん、有難う、不思議に食い物は出てこないんです、でもこんばんはそうしましょう。
by saheizi-inokori
| 2018-01-20 11:50
| 今週の1冊、又は2・3冊
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